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[09コ-ポ-55]日本体育大学のアスリートにおけるメンタルヘルスの特徴と対応策の検討NASSを利用したアスリートを対象に
*Sae Orimo1, Ai Nakagawa2, Hideaki Takai1, Masaaki Sugita1 (1. Nippon Sport Science University, 2. Tokyo Public School Counselor)
日本体育大学アスリートサポートシステム(以下、NASS)では、同大学に関係するアスリートに対して、医・科学的な観点から包括的なサポートを行っている。その中でも心理サポート部門では、年々支援対象者数や相談対応件数が増加しており、アスリートの心理的支援に対する需要の高まりと重要性がうかがえる。相談内容には、精神的に重篤な問題を抱えるケースもあり、迅速な現状の把握と的確な介入が必要とされる。本研究では、本学に関係するアスリートのストレス状態を把握するため、職業性ストレス簡易調査票をアスリート向けに改編したものを用い、NASSを利用している学生を対象とし、Formsによる質問紙調査を実施した。得られた回答のうち、不備を除いた516名(男性235名、女性281名、平均年齢20.37±1.53歳)を分析対象とした。回答により「心身のストレス反応」が31点以上の者を高ストレスA群、「競技のストレス要因」と「周囲のサポート」の合計が48点以上かつ「心身のストレス反応」が23点以上の者を高ストレスB群、それ以外を低ストレス群と分類した。その結果、高ストレスA群は73名(14.1%)、高ストレスB群は54名(10.5%)、低ストレス群は389名(75.4%)であり、全体の約3割が高ストレス状態であった。さらに、性別や競技種目、競技生活における満足度との関連についてカイ二乗検定を実施した結果、女性やチーム競技を実施するアスリート、オープンスキルの競技を実施するアスリート、競技生活への満足度が低いアスリートでは、有意に高ストレス者の割合が高かった。これらの結果から、大学生アスリートのメンタルヘルスは実施する競技環境と密接に関連していることが明らかとなった。今後は、上記の結果を考慮し、心理支援者はアスリートの競技特性や環境を考慮したサポートを提供することが望まれる。
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