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[11教-ポ-28]新任体育教師における運動観察内容の変容過程
*Shinozaki Akihiko1, Ryoji Isano2, Osamu Suzuki2 (1. Graduate school of Literature and Social Sciences, Nihon University, 2. Nihon University, 2. Graduate school of Literature and Social Sciences, Nihon University. Nihon University)
体育授業において教師は,「明確な指導性」(高橋,2010)を発揮することが求められているため,その育成が養成課程から体系的に取り組まれている.その際,教師の運動指導を支える運動観察能力の育成にも焦点化され,養成段階における知見も蓄積されている(佐藤,2001:中村,2010).一方,運動観察能力は長年にわたる激しい意図的訓練の中でしか獲得することはできないと指摘(マイネル,1960)されながらも,教師として着任以降の研究には課題が残されており,教師自身の自己研鑽に委ねられているのが現状である.とりわけ,熟達化の素地となる新任体育教師の運動観察力の育成に焦点を当てることは,現状の課題解決と共に採用後の研修やOJTなどの専門性向上の観点からも喫緊に取り組むべき事項と位置づけられる.そこで本研究は,新任体育教師の運動観察内容の変容過程を記述し,解釈することを目的とした.本研究では,「自らの身体感覚や思考,感情等の記述」(沖潮,2013)するオートエスのグラフィの手法を採用し,新任教師である筆頭筆者が中学校体育授業における生徒の所定の運動を継続的に観察した際の内観を記述した.なお,実践にあたっては所属長に承認を得た上で,実施した.単元当初,新任教師は自身の運動経験から生徒の運動の図形的諸徴表を捉えていることを自覚し,運動共感に基づく観察・修正を試みたが,生徒が運動感覚的に了解するには至らなかった.そのため,教師自身の運動感覚に依拠した観察態度を保留したところ,運動の遂行に伴う生徒の情念を捉えるに至った.しかしながら,生徒が運動に抱く情念が情況により流動的であることから,その情念の現れに応じて自らの観察を変奏させる必要性が立ち現れていた.
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