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[05バ-ポ-04]漸増負荷ペダリング運動中の筋電図周波数様相の変化
*Kengo Wakui1, Yukihiko Ushiyama1 (1. Niigata Univ.)
【背景・目的】乳酸性作業閾値(LT)や換気性作業閾値(VT)は,個々人の有酸素性作業能力を評価する指標として有用な情報をもたらす一方で,その測定は侵襲性や経済的な問題で被験者または験者に負担がかかる.こうした問題の解決を主な目的として,表面筋電図(EMG)を用いた代替指標に関する研究が行われ,漸増負荷運動中のLTやVTに相当する運動強度において,筋電位が急増する時点(筋電図閾値:EMGT)が存在すると報告されている.運動強度の増加に伴う筋線維タイプ動員割合の変化により筋電位の非線形増加が生じると考えられているが,EMGTの発生機序は明らかにされていないのが現状である.本研究では,動的運動時の筋電図周波数解析に適するとされるウェーブレット変換を用いて漸増負荷運動時の筋線維タイプ動員割合の変化を調査することで,EMGT発生機序の解明に資する知見を得ることを目的とする.【方法】健康な男子大学生および大学院生を対象に,漸増負荷ペダリング運動を実施し,運動中の右大腿直筋(RF)及び外側広筋(VL)の表面筋電位を測定した.得られた筋電図にフィルタ処理を施した後,ウェーブレット変換を用いて周波数帯域ごとのスペクトルパワーを算出し,全周波数帯域におけるスペクトルパワーの総和に対する割合を求めた.運動強度間における変化から筋線維動員割合の動態を検討した.【結果・考察】運動強度の増加に伴い,低周波域のスペクトルパワーの割合が徐々に増加し,中〜高周波域のスペクトルパワーの割合が徐々に低下する傾向が見られた.これは運動強度増加に伴うタイプⅠ線維動員割合の増加を示唆する.サイズの原理に基づきタイプⅡ線維の追加動員が生じることによりEMGTが出現するという先行研究の見解と異なり,筋疲労によるタイプⅡ線維の出力低下を補填するためのタイプⅠ線維の活発な追加動員が筋電位急増の要因である可能性が考えられる.
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