Presentation Information
[09コ-ポ-04]トレーニング日誌の記述情報と心拍変動による自律神経コンディションとの関係陸上競技女子七種競技者を対象として
*Akiko Ito1,2, Kiyonobu Kigoshi3 (1. CERESPO CO., LTD., 2. University of Tsukuba Graduate School of Comprehensive Human Science, 3. University of Tsukuba faculty of Health and Sports Sciences)
トレーニング日誌には、練習内容に加え、体調や日々の出来事、それに対する主観的な反応が「生きた言葉」で綴られている。しかし自由記述情報は、心拍変動(HRV)のような定量的な指標と結びつけるのが難しく、従来の指標とは分離して扱われてきた。本研究では、自然言語処理分野で用いられる代表的なテキスト指標を用いてトレーニング日誌の自由記述情報を定量化することで、コンディション評価におけるトレーニング日誌の記述情報の有用性を検証する。
本研究では、七種競技者1名を対象に、365日分のトレーニング日誌を収集し、テキスト指標(文長・トーン・可読性)を算出した。コンディション指標には、副交感神経活動を反映する指標として競技者に用いられている、隣接RR間隔の差の二乗平均平方根(RMSSD)を使用した。具体的には、従属変数に翌日のRMSSDの変化量を、独立変数に文長、トーン、可読性を含めた。さらに、RMSSDに影響を及ぼす他の要因をコントロールする目的で、前日のRMSSD、直近7日間のCV RMSSD、トレーニングの有無、Session RPE、および主観的指標(睡眠・疲労・ストレス・筋痛)をコントロール変数に含めた。全ての変数が取得可能な255観測値を用いて重回帰分析を実施し、将来コンディションとトレーニング日誌の自由記述情報の関係性を定量的に評価することを試みた。
回帰分析の結果、文長とトーンについては有意な結果は得られなかったものの、可読性スコアは10%水準で負の関連を示し、可読性が高い日誌の翌日はRMSSDが低下する傾向がみられた。本研究の結果は、日誌の記述方法の違いが、コンディションに影響を及ぼすような心身の状態を反映することを示唆するものである。今後は、分析手法の精緻化を図りつつ、対象者を拡大し、個々の競技者に特有の反応を捉えることで、コーチング現場で応用可能な共通した指標の抽出を目指す。
本研究では、七種競技者1名を対象に、365日分のトレーニング日誌を収集し、テキスト指標(文長・トーン・可読性)を算出した。コンディション指標には、副交感神経活動を反映する指標として競技者に用いられている、隣接RR間隔の差の二乗平均平方根(RMSSD)を使用した。具体的には、従属変数に翌日のRMSSDの変化量を、独立変数に文長、トーン、可読性を含めた。さらに、RMSSDに影響を及ぼす他の要因をコントロールする目的で、前日のRMSSD、直近7日間のCV RMSSD、トレーニングの有無、Session RPE、および主観的指標(睡眠・疲労・ストレス・筋痛)をコントロール変数に含めた。全ての変数が取得可能な255観測値を用いて重回帰分析を実施し、将来コンディションとトレーニング日誌の自由記述情報の関係性を定量的に評価することを試みた。
回帰分析の結果、文長とトーンについては有意な結果は得られなかったものの、可読性スコアは10%水準で負の関連を示し、可読性が高い日誌の翌日はRMSSDが低下する傾向がみられた。本研究の結果は、日誌の記述方法の違いが、コンディションに影響を及ぼすような心身の状態を反映することを示唆するものである。今後は、分析手法の精緻化を図りつつ、対象者を拡大し、個々の競技者に特有の反応を捉えることで、コーチング現場で応用可能な共通した指標の抽出を目指す。
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