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[09コ-ポ-14]保守的コーチングからの脱却プロセス大学部活動若手指導者のコーチングのゆらぎ

*Yuko Tokairin1, Ryosuke Kato2, Hajime Fujimoto2, Hiroshi Aida2 (1. Graduate School of Media and Governance, Keio University, 2. Institute of Health and Sport Sciences, University of Tsukuba)
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【背景】コーチングには指導者の経験知による従来からの保守的な手法に疑いを持たない「思い込み」が見られることがある.望ましいコーチングに至るまでのプロセスを可視化した「ARAP モデル」(東海林・金子,2013)において,「①迷いのコーチング」には,過去の成功体験や従来手法への盲目的な信奉(例えばヒエラルキーの強制コーチング)がベースにある「保守的コーチング」の側面が含まれている.この「保守的コーチング」を脱却しようと選手とのコミュニケーションを重視しすぎると,チームはコンフォートゾーンに留まり勝利へと導くことが難しくなることが考えられる. 【目的】本研究は指導経験の浅い指導者が,試合の采配や選手起用を通じて生じる「迷いのコーチング」について,どのような過程を経て「保守的コーチング」の脱却へ向かうのかを明らかにすることを目的とした. 【調査方法】調査期間は2025年3月~2025年5月末までの関東学生春季リーグを挟む期間であった.大学男子ハンドボール部に所属する26名(19.69±1.26)を対象に春リーグに向けた「目標設定」と「振り返り」および「チーム内での課題」をリーグ戦前後の2時点で回答を求めた.また指導者の試合の選手起用と采配の背景について,リーグ戦期間中の4回のスタッフミーティングの議事録から検討した. 【結果と考察】リーグ戦前のチーム内課題は「指導者や選手間でのコミュニケーション」が見られたことから,指導者はこれらの課題の解決に向けて選手とのコミュニケーションを図り,選手の特性に応じた起用を心がけていた.それは「保守的コーチング」の脱却へ向かう重要な過程であることがわかった一方で,選手がコンフォートゾーンに停滞してしまう勝利への導きが困難な状態をもたらすことも明らかになった.

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