[3b1251-281] コーチング学（偶数演題）／ポスター発表

[09コ-ポ-44] 日本における男女ラクロスのルールの違い

*Shinya Maruyama¹, Nobuyuki Ohashi² (1. Chuo Univ., 2. Teikyo Univ.)

ラクロスは数ある球技の中でも、男女で明確にルールが異なる競技であり、その違いが選手の身体的・精神的パフォーマンスに多大な影響を及ぼしている。男子ラクロスでは、ヘルメットやショルダーパッドなどの防具の着用が義務付けられ、ボディコンタクトが認められている。このため、プレーは高速かつ激しいものとなり、1対1の強さやチェック技術、ショットの威力など、フィジカルと個人技が重要視される。一方、女子ラクロスは原則非接触であり、スティックチェックにも厳格な制限がある。防具も最低限であり、競技は空間の活用や連携に重点を置いた戦術的なスタイルとなる。
本研究は、日本国内におけるラクロス競技において、男女間で適用されるルールの違いが、選手のプレースタイル、技術的要求、戦術理解、さらに指導・育成方法にどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的とした。
本研究で対象は、大学リーグおよび全日本選手権とし、ビデオ撮影を行った上でにおける試合の観察を通じて、両者のプレースタイルの違いを比較した。男子はテンポの速い展開の中で個人の突破力が勝敗を左右する場面が多く、女子はゾーンディフェンスや連携プレーの完成度がチームの成績を左右していた。また、コーチングにおいてもその違いは顕著であり、男子では筋力強化や個別の技術指導が重視されるのに対し、女子では戦術理解力や判断力の育成が重要視されていた。こうしたプレー傾向や指導方法の違いは、単なる生物学的性差によるものではなく、ルールによって形成される競技文化そのものが影響を与えていることが示唆された。
したがって、日本におけるラクロスの男女差は、競技設計そのものがもたらす文化的・戦術的な違いとして理解されるべきであり、今後は性別にかかわらず多様な戦術やプレースタイルを学び合えるような育成環境と指導法の整備が求められる。