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[09コ-ポ-60]日本におけるサッカー女性審判員の男子トップカテゴリー参画に関する一考察

*ASAKA KOIZUMI1, AYAKO TATEISHI2, KAORI YAMAGUCHI3 (1. Tridente Inc., 2. Adecco Ltd., 3. University of Tsukuba)
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女性の活躍推進は、システムと同様に組織・グループのインクルージョンされている状態が望ましい。そこで、本研究の目的は、サッカー男子トップカテゴリーで審判経験を有する女性たちが感じるインクルーシブな状態とは何かを明らかにすることとした。また、JFA審判委員会が行ってきた女性審判員の登用システムの構築およびインクルーシブな環境整備に関する取り組みについても検証し、課題と取り組むべき方策を検討した。調査対象者は、日本国内の男女トップリーグで審判を行った経験のあるサッカー女性審判員5名、JFA審判委員会委員長もしくは審判委員会女子部会長の役職経験のある5名とした。半構造化インタビューを行い、得られた発言をもとに修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った。結果は、女性審判員は、周囲や自らの《無意識のバイアス》を実感するも、徐々に周囲から《受容達成》が行われ、女性審判員は《自分らしさの発揮》や《帰属感》を獲得していった。JFA関係者は、《無意識のバイアス》が存在しながらも、社会的背景もあいまって女性審判員を男子リーグに登用することに強い関心を持ち始め、《組織の風土醸成》に努めていた。女性審判員に実践の機会を与えながら周囲との相互理解を進め《女性審判員への適切な理解》が広がっていた。現在は、 女性審判員の登用システムが構築され、表面的には成功しているように見えるが、今後は、女性審判員が「自らが選んだ場所で、自分らしくやりがいを持って取り組む」環境作りが必要である。また、フィールド外においても能力が認められ、期待されているという受容感を得ていくことが、更なるインクルーシブな状態に繋がっていく可能性がある。今後は、審判員において、外見(性別)に関する認知傾向が他者の評価に及ぼす影響を定量的に解明し、無意識のバイアスに寄らない能力の特性を評価する指標の構築を検討したい。

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