Presentation Information
[03心-ポ-08]走運動の上下反転が勢い知覚に与える影響
*Shinji Yamamoto1, Masanobu Araki1,2 (1. Nihon Fukushi University, 2. Osaka University of Health and Sport Sciences)
重力は、スポーツをはじめとする私たちの身体運動における強力な制約因子である。点光源から成るバイオロジカルモーション刺激を知覚する際、その刺激を上下反転させると知覚パフォーマンスが低下することが知られており、これは私たちに備わる重力バイアスに起因すると考えられている。最近私たちは、走運動のバイオロジカルモーション刺激が有する「運動の勢い」の知覚特性を調査し、その成果を報告した(Yamamoto & Araki 2025)。本研究では、刺激の上下反転がこの勢い知覚に及ぼす影響を検討した。実験には19名が参加したが、1名のデータが欠損したため、18名のデータを分析対象とした。使用した刺激は、5.6、8.0および10.4km/hで走行するバイオロジカルモーション刺激であった。参加者には、標準刺激(正立かつ8.0km/h)と比較刺激(正立または反転、および5.6、8.0または10.4km/h)を呈示し、どちらの刺激の勢いが大きいと感じたかを判断させた。その結果、刺激方向と速度との間に有意な交互作用が認められた(p<.001)。下位検定の結果、正立刺激では5.6km/hが他の2速度よりも高い正答率を示し(いずれもp<.01)、反転刺激では10.4km/hが他の2速度よりも高い正答率を示した(いずれもp<.05)。さらに、5.6および8.0km/hでは、反転よりも正立で高い正答率が示された(いずれもp<.001)。一方、10.4km/hでは、正立よりも反転で高い正答率が認められた(p<.01)。これらの結果は、走運動刺激が上下反転されることで、その勢いが大きく知覚されやすくなることを示しており、5.6および8.0km/hでは誤知覚が増加する一方で、10.4km/hでは反転によってむしろ判断の正確性が高まる方向に働いたことを示唆している。
Comment
To browse or post comments, you must log in.Log in
