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[03心-ポ-18]ラグビー選手の有効視野におけるポジション間の比較

*Masahiro Kokubu1, Katsuma Kondo2, Soshiro Ueno2, Teppei Saegusa2 (1. University of Tsukuba, 2. Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba)
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本研究の目的は、視野内の様々な情報をもとに状況判断や意思決定を行うことが求められるラグビー選手を対象に、有効視野の観点からポジションの特性を比較検討することであった。大学ラグビー選手26名が参加し、ポジションはフォワード(FW)10名、ハーフバックス(HB)6名、バックス(BK)10名であった。有効視野の測定は、暗室にて立位でディスプレイ中央の注視点を注視した状態で行った。注視点の位置に50ms間文字が呈示される中心課題(4種類の文字を識別)、および中心課題と同時に6つの視野偏心度(5~30度)で4方向(左上、左下、右上、右下)のいずれかに50ms間光点が呈示される周辺課題(光点呈示方向を識別)について、キー押しにより回答した。その際、中心課題を必ず正答するよう注意を向けた上で周辺課題に対しできるだけ正確に回答するよう教示した。48試行の練習後、本試行を360試行行った。周辺課題の誤答率について分散分析を行った結果、視野偏心度に有意な主効果が認められ(p<.001)、30度では他の視野偏心度に比べて誤答率が高くなった。また、ポジションに有意な主効果が認められ(p<.01)、誤答率はHBにおいて最も低かった。要因間の交互作用はみられなかった。大きな視野偏心度で誤答率が高い結果は先行研究と類似していたが、非運動選手を対象とした先行研究の結果と比較すると誤答率が低かったことから、ラグビー選手は競技経験により広い有効視野を有している可能性が考えられる。また、ポジション間比較の結果から、特にHBの選手は有効視野が広いことが示唆された。HBの選手はFWやBKに比べて、プレー時に広い視野を用いて判断することが求められることから、有効視野の広さはHBのポジション特性を反映していることが考えられる。有効視野の測定により、スポーツ選手の視覚情報処理特性の一端が明らかになることが期待される。

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