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[03心-ポ-38]中学校体育におけるフィードバックの認知と学習成果との因果関係の推定学年に焦点を当てた検討

*Koji Yamamoto1, Takumi Nakasuga2, Kohei Shimamoto3, Yoshio Sugiyama4, Hisahiro Amako1 (1. Kansai univ. of social welfare, 2. Hyogo Univ. of teacher education, 3. Hosei Univ., 4. Kyushu Univ.)
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本研究の目的は、中学校体育における生徒のフィードバックの認知と学習成果の因果関係を、先行研究の知見(スモール・スミス、2008)に基づき、学年の要因から検討した。 調査は、体育授業を受講した中学生596名(1年生:257名 2年生205名 3年生134名)を対象とし、2022年6から7月,11から12月,2023年2月に実施した。調査内容は「フィードバック認知測定尺度」(下位尺度:称賛、助言、授業態度に対する注意、運動技能に対する指摘 山本ほか、2022)と小野ほか(2018)を参考に作成した「体育授業の学習成果を評価する項目群(学習成果)」(運動技術の習得、コミュニケーション能力の涵養、運動と知識の修得、運動の魅力の感受、身体能力の向上)であった。分析は、学年を要因とする多母集団同時分析による交差遅れ効果モデルを用いて、フィードバックと学習成果の因果関係を推定した。その際、称賛と助言を肯定的フィードバック、授業態度に対する注意と運動技術に対する指摘を否定的フィードバックとし、それぞれを起点とした分析を実施した。 分析の結果、モデルの適合度は肯定的フィードバックおよび否定的フィードバックを起点とするモデルにおいて、それぞれ十分な値が示された。次に、肯定的フィードバックを起点とする因果関係について、1年生の2時点目の肯定的フィードバックが3時点目の学習成果に正の影響を、2年生の2時点目の学習成果が3時点目の肯定的フィードバックに正の影響を示した。3年生は1時点目の肯定的フィードバックが2時点目の学習成果に正に影響し、その学習成果が3時点目の肯定的FBに影響を示した。以上の結果から、学年による因果関係の違いは学年の進級による学習内容の難易度が挙げられた。また、体育授業において否定的フィードバックの活用には慎重な検討の必要性が示唆された。

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