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[03心-ポ-78]スポーツ版不合理な信念尺度の再検討
*Hideyuki Ito1, Hironobu Tsuchiya2 (1. Kokugakuin Univ., 2. OSAKA UNIVERSITY OF HEALTH AND SPORT SCIENCES)
不合理な信念は、ネガティブな思考や感情、行動を生起させる原因であることが指摘されており、選手の競技パフォーマンスだけでなく競技生活にも影響しうるものと認識されている。これまで、不合理な信念を評価するための心理尺度の作成は試みられているものの、研究や心理サポートにおいて広く活用されているものはみられない。現状では、これまで作成された尺度の妥当性や信頼性に課題がある可能性が考えられ、まずは既存の尺度を再検討する必要があると思われる。そこで、本研究は、伊藤ほか(2008)のスポーツ版不合理な信念尺度(SIBT)の再検討をすることを目的とした。202X年12月および202X+1年5月に、3つの大学(関東2大学、関西1大学)にて、競技スポーツを行っている大学生392名を対象に調査を実施した。質問項目は、SIBTの作成の手続きにならい、森ほか(1994)が作成したJIBT-20の20項目を、スポーツ場面に適応する表現に改変して作成した。分析は、質問項目の天井・床効果の有無を検討した後、因子分析(最尤法、プロマックス回転)を行い、Cronbachのα係数を算出した。その結果、JIBT-20における「自己期待」の1項目、「依存」の4項目、「倫理的非難」の2項目、「問題回避」の4項目、「無力感」の1項目の計12項目が、天井・床効果や因子負荷量による質問項目の採用基準を満たせず削除され、最終的に3因子・8項目(「自己期待(3項目、α=.731)」、「無力感(3項目、α=.670)」、「倫理的非難(2項目、α=.486)」)が抽出された。以上の結果より、SIBTは、本来の不合理な信念尺度のモデルを反映する因子構成がなされなかったことが示された。このことより、今後、有用な尺度作成を目指し、スポーツ選手特有の不合理的信念を探求する必要があると考えられる。
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