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[ランチョン4]スポーツの歴史と文化と価値

*阿部 衛1、三谷 舜2 (1. 東京大学大学院総合文化研究科、2.中京大学スポーツ科学部)
公益財団法人ヤマハ発動機スポーツ振興財団は、スポーツを通じ、夢の実現や、より高い目標に向かってチャレンジするアスリートや研究者を応援しています。本セミナーでは、YMFSスポーツチャレンジ研究助成卒業生による、研究発表を行います。
◆阿部 衛 東京大学大学院総合文化研究科(YMFS研究助成 第17・18期)
「古代ローマ帝政前期における運動競技」
「ローマ帝政前期、ローマ帝国が地中海世界で覇権を確立する中、オリンピア祭に象徴される古代ギリシアの運動競技祭は急増し、地中海全域に広がって国際的な性格を強めた。本報告では、これまでの政治的・文化的な視点に偏った分析を見直し、競技そのものの社会的意義に注目する。特に競技を担った「競技者」の活動や社会との関わりを明らかにすることで、当時の運動競技のあり方や身体文化の特徴を新たに考察しようとするものである。」
◆三谷 舜 中京大学スポーツ科学部(YMFS研究助成 第14期)
「スポーツ用具と社会の関連に着目した研究の着想と展開:『軟式ボールの社会学』より」
「近代スポーツの日本的解釈」として、軟式ボールによる野球、ソフトボール、テニスを位置付けた『軟式ボールの社会学』(三谷舜2025)は、スポーツ用具と社会の関係に着目した研究である。本書は、「軟式ボール」に注目することで、スポーツを構成する「用具」が、おもしろさなどの内在的価値をいかに創造し、それを人々がどのように受容・発展させてきたのか、その力学を明らかにしようとするものである。本ランチョンセミナーでは、軟式ボールによる競技を「近代スポーツの日本的解釈」として位置付けるまでの検討過程と、その社会学的な射程に加え、着想の契機や研究デザインの構築過程について報告する。