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【シンポジウム29】日本医学会連合TEAM事業『「いつまでも健康で美味しく食べる」ための、多学会連携による嚥下障害対策の普及活動』~在宅高齢者の「食べる力」を地域で支える:多職種連携の展望~

Thu. Oct 30, 2025 4:10 PM - 5:40 PM JST
Thu. Oct 30, 2025 7:10 AM - 8:40 AM UTC
Room 1 (Medium Hall)
座長:三浦 宏子(北海道医療大学歯学部保健衛生学分野)
   熊井 良彦(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科)
指定発言者:小坂 健(東北大学大学院歯学研究科)
わが国では急速な高齢化が進行する中、在宅高齢者が増加している。在宅において高齢者が安心かつ安全に食べ続けることは、QOLや生存そのものに直結する極めて重要な課題である。その実現には、個別の医療・介護サービスの提供だけでは不十分であり、地域社会に根ざした多職種連携の取り組みが不可欠である。
 本シンポジウムは、日本医学会連合TEAM事業『「いつまでも健康で美味しく食べる」ための、多学会連携による嚥下障害対策の普及活動』の一環で開催されるものである(本学会の担当委員会:歯科保健のあり方に関する委員会)。在宅高齢者の「食べる力」を地域で維持・向上させる具体的方策について、多職種連携の立場から検討することを目的とする。
 本シンポジウムでは、高齢期の摂食嚥下障害への対策に実績を有する医師、歯科医師、管理栄養士、言語聴覚士の4名のシンポジストを迎え、各専門職の視点から、現場における実践と課題について報告を受ける。発表内容は、認知症高齢者に対する食支援、地域高齢者の食と栄養を支えるための食環境整備、地域ケア会議における支援体制と多職種連携による嚥下障害への対応、および在宅高齢者の誤嚥リスクに対するスクリーニングと予防に関する取り組みなど多岐にわたる。これらはすべて、地域での多職種連携によって初めて成立する支援の好例であり、今後の全国展開を見据えた示唆に富むものと考えられる。
 さらに、シンポジストと指定発言者とのパネルディスカッションおよび会場参加者との質疑応答を通じて、地域における「食べる力」支援の在り方について議論を深める予定である。「誰が」「どのように」支援に関与し、「何を共有し」「どこで連携するか」といった論点について、多角的かつ実践的な視座から掘り下げていきたい。高齢者の「食べる力」を支えることは、「自らの力で食べること」によって生活の主体性を保ち、尊厳を守る営みである。この営みを地域社会全体で支えることは、今日的な公衆衛生課題であると考えられる。
 本シンポジウムが、在宅高齢者の「食べる力」を支える多職種の連携体制のあり方をアップデートし、地域の実情に応じた新たな支援モデルを構築する一助として役立てていただければ幸いである。

[シンポジウム29-1]Home-Based Support for Eating and Swallowing Difficulties in Older Adults with Dementia and Other Conditions

*Ayako Edahiro (Tokyo Metropolitan Institute for Geriatrics and Gerontology)

[シンポジウム29-2]地域高齢者の食と栄養を支えるための食環境整備(配食サービス事業者等との連携)

*AYUMI MOROOKA (Hyogo Prefectural Itami Health and Welfare Office)

[シンポジウム29-3]地域ケア会議における高齢者の「食べる力」を支援する多職種連携

*Hara Shuichi (Department of Speech, Language, and Hearing Sciences, Niigata University of Health and Welfare)

[シンポジウム29-4]高齢者嚥下障害の早期発見:高齢者施設における誤嚥検診の有用性

*MITSUYOSHI IMAIZUMI (Fukushima Medical University)