Session Details
【シンポジウム36】中高年者における経済格差から社会的孤立の連鎖予防に向けて
Thu. Oct 30, 2025 2:40 PM - 4:10 PM JST
Thu. Oct 30, 2025 5:40 AM - 7:10 AM UTC
Thu. Oct 30, 2025 5:40 AM - 7:10 AM UTC
Room 3 (Conference Hall)
座長:村山 陽(東京都健康長寿医療センター研究所)
長谷部 雅美(聖学院大学)
ファシリテーター:元田 宏樹(聖学院大学)
山崎 幸子(文京学院大学)
長谷部 雅美(聖学院大学)
ファシリテーター:元田 宏樹(聖学院大学)
山崎 幸子(文京学院大学)
1990~2000年代の厳しい雇用環境下で就職活動を経験した「就職氷河期世代」は、非正規雇用や単身世帯の割合が高く、現在では中高年層の中核を成している。この世代は、バブル崩壊後の経済停滞と雇用構造の変化のなかで安定的なキャリア形成が困難であり、経済的・社会的基盤の脆弱性を抱えたまま中年期を迎えている。
この世代が高齢期に達する2040年には、経済的困窮、健康格差、孤独・孤立といった課題が一層深刻化し、社会保障制度や地域福祉の持続可能性にも影響を及ぼすことが懸念される。これらの問題は個別に生じるものではなく、相互に関連しながら連鎖的に生活の質を低下させるため、断片的な対応ではなく、総体的な理解と予防的アプローチが不可欠である。
しかしながら、支援の実践現場からは、孤立や困窮の状態にあっても自ら援助を求めない中高年者が多く存在することが報告されている。その背景には、制度への不信感、支援を受けることへの心理的抵抗、自己責任意識や自己解決志向の強さなど、複雑に絡み合った要因が存在する。また、現行の制度や支援体制が彼らの実情に十分に対応しきれていない現状も否めない。
こうした課題に対応するうえで、支援のあり方や接点の持ち方を再考することが求められ、社会福祉協議会や特定非営利活動法人などの地域資源が果たす役割は極めて大きい。加えて、2019年には米国心理学会(APA)が低所得層への支援に関するガイドラインを発表するなど、国際的にも経済的弱者への支援の枠組みが再構築されつつあるが、とりわけ中高年層に特化した実証的研究は、国内外を問わずいまだ乏しいのが実情である。
本シンポジウムでは、中高年者の孤立・困窮に関する最新の研究成果および実践現場の知見を共有し、支援の在り方や公衆衛生学の応用可能性について多角的に議論する予定である。個人の生活課題と社会構造的要因との関係性を可視化し、予防政策やエビデンスに基づく支援の構築に向けて、学際的な視点から展望を深める機会としたい。参加者各位の積極的な参画と活発な議論を期待する。
この世代が高齢期に達する2040年には、経済的困窮、健康格差、孤独・孤立といった課題が一層深刻化し、社会保障制度や地域福祉の持続可能性にも影響を及ぼすことが懸念される。これらの問題は個別に生じるものではなく、相互に関連しながら連鎖的に生活の質を低下させるため、断片的な対応ではなく、総体的な理解と予防的アプローチが不可欠である。
しかしながら、支援の実践現場からは、孤立や困窮の状態にあっても自ら援助を求めない中高年者が多く存在することが報告されている。その背景には、制度への不信感、支援を受けることへの心理的抵抗、自己責任意識や自己解決志向の強さなど、複雑に絡み合った要因が存在する。また、現行の制度や支援体制が彼らの実情に十分に対応しきれていない現状も否めない。
こうした課題に対応するうえで、支援のあり方や接点の持ち方を再考することが求められ、社会福祉協議会や特定非営利活動法人などの地域資源が果たす役割は極めて大きい。加えて、2019年には米国心理学会(APA)が低所得層への支援に関するガイドラインを発表するなど、国際的にも経済的弱者への支援の枠組みが再構築されつつあるが、とりわけ中高年層に特化した実証的研究は、国内外を問わずいまだ乏しいのが実情である。
本シンポジウムでは、中高年者の孤立・困窮に関する最新の研究成果および実践現場の知見を共有し、支援の在り方や公衆衛生学の応用可能性について多角的に議論する予定である。個人の生活課題と社会構造的要因との関係性を可視化し、予防政策やエビデンスに基づく支援の構築に向けて、学際的な視点から展望を深める機会としたい。参加者各位の積極的な参画と活発な議論を期待する。
[シンポジウム36-1]インフォーマル・フォーマルな支援の受領と関連要因:経済的階層差の検討
*Erika Kobayashi (Research Team for Social Participation and Healthy Aging, Tokyo Metropolitan Institute for Geriatrics and Gerontology)
[シンポジウム36-2]社会的孤立・困窮状態にある人に向き合う支援の現場から~コロナ特例貸付を通じて見えてきた課題
*Eri Yokota (Shinjuku Social Welfare Conference)
[シンポジウム36-3]社会的孤立・困窮状態にある人に向き合う支援の現場から〈もやい〉交流事業での取り組み
*Chinatsu Matsushita (Moyai Support Centre for Independent Living)
[シンポジウム36-4]孤立・困窮状態にある単身中高年者の援助要請が抑制される心理的プロセス
*Yoh Murayama (Tokyo Metropolitan Institute for Geriatrics and Gerontology)
