Presentation Information

[P02-05]Experimental evaluation of the effect of the coupling between the fiber optic cable and the ground

*Kentaro EMOTO1, Kohei Yonemori1, Satoru Baba1, Syed Idros Bin Abdul Rahman1, Shonosuke Kawashima1, Akari Baba1 (1. Kyushu University)
PDF DownloadDownload PDF
近年,光ファイバーケーブルを用いたDAS(Distributed Acoustic Sensing)観測が広く普及してきた.数十kmの光ファイバーケーブルに沿って数m間隔で振動を計測することができ,従来の地震計による観測と比較して,超高密度観測を容易に行うことができる.そのため,詳細な浅部構造推定や,断層の検出,地下構造のモニタリングといった地球科学的な応用が行われている.通信用の既存光ファイバーケーブルを用いることができるため,敷設済みの光ファイバーケーブルを用いることで,観測コストを抑えることができる.ただし,地震計設置時に,地震計を地面に固定するのと同様に,地動を正しく計測するためには,光ファイバーケーブルが地面に固定されている必要がある.しかし,特に既存の通信ケーブルを利用する場合には,単に地中の管の中に通しているだけであったり,ケーブルが緩んでいたり,別なケーブルの上に重なったり,さらには空中架線である場合もある.光ファイバーケーブルの地面との接触状態(カップリング)が悪い場合には,波形の振幅にも影響するため,マグニチュード推定のように絶対振幅を必要とする場合には大きな問題となる(Hudson et al., 2025).また,ケーブルが地表に存在している場合には,カップリングが悪い場合には風の影響も強く現れる(Viens et al., 2025).そこで我々は,独自に光ファイバーケーブルを敷設し,いくつかの異なるカップリング状況を作り出し,カップリング状況がDAS記録に及ぼす影響を実験的に調べた.
 2025年4月9日から5月7日にかけて,福岡にある九州大学伊都キャンパスの地下道において実験を行った.全長600 mと700 mの光ファイバーケーブルを2本用意し,計測装置であるインテロゲーターに接続した.ゲージ長は1 m,空間サンプリング0.5 m,時間サンプリング1,000 Hzと設定した.地下道の地面はコンクリートである.光ファイバーケーブルを単純に置いただけの区間,養生テープで固定した区間,1 m毎に間隔をあけて養生テープで部分的に固定した区間,床に置いたPF管の中に通した区間,ケーブルラックの上に載せた区間,傾斜のある床に設置した区間のカップリング状況を作った.
 まず,地震の発生していない深夜の1時間の記録を調べた.同一区間内において,0.5 mしか離れていない隣の計測点においても波形の相関は低かった.スペクトルの概形は,どの区間においても大局的には,0.3 Hzまではべき乗で減少し,0.3~70 Hz程度まではフラットであった. インテロゲーターから遠くなる程,フラットレベルが大きくなる傾向が見られた.これらのことから,この時間帯における記録は,常時微動ではなく,計測に起因するノイズであることを示唆する.これは,ゲージ長を1 mと短く設定しているため,微小な常時微動に対する感度が低かったためだと考えられる.ケーブルラック上の区間と,PE管に通した区間においては,いくつかの周波数にスパイク状のピークが現れており,これらはケーブルラックやPE管の固有振動が現れていると考えられる.
 次に,熊本で発生したマグニチュード3.8の地震時の記録を調べた.1~10 Hzにおいて,P波到達前のノイズレベルより大きなシグナルが見られた.シグナルとノイズの比(S/N)は,養生テープで固定された区間で大きく,無固定区間では小さかった.部分的に固定した区間においては,S/Nの多少の改善が見られた.ケーブルラック上やPE管中の区間においては,ノイズにもシグナルにも,スパイク状のスペクトルのピークが見られた.PE管中の区間は,その他の区間と比べて,地震時のシグナルの振幅が小さかった.
 カップリングの悪いケーブルラック上の区間は,ケーブルラック自体の振動により,大きな振動となるものの,PE管中の区間においては,PE管自体のカップリングが悪く,地面の揺れが正しく反映されていない.このように,「カップリングが悪い」といっても,振幅が大きくなる場合も,小さくなる場合もあり,単純な評価は難しい.今後,同一区間内で記録をスタックし,機器ノイズを低減させることで,常時微動のスペクトルの特徴をさらに詳細に調べる予定である.