Presentation Information
[P03-03]Detailed crustal strain field and its related seismic activity along northern Hokkaido to the Ishikari lowland area
*Mako OHZONO1, Hiroaki Takahashi1 (1. ISV, Faculty of Science, Hokkaido University)
北海道北部から中央部の石狩低地周辺(北緯42.4〜45.6度,東経140.0〜143.4度)を対象に,GNSS観測データに基づいて詳細なひずみ場を推定し,その結果を活断層や地震活動分布と比較した。この地域は,地震活動,重力異常,活断層分布などから地下構造が一様でないことが知られている。先行研究の Ito et al. (2019) は,北緯43.5度以北を対象に,2008〜2010年の国土地理院が展開するGNSS連続観測網GEONETの日座標値(F3解)を用いて地殻変動解析を行い,南北方向に伸びる地質境界付近でブロック境界の存在とその収束速度を推定している。
本研究では,GEONETに加えソフトバンク独自基準点のデータを用いることで,より稠密な観測に基づく詳細な地殻変動場を推定した。また解析範囲を南部の活断層分布地域まで拡大し,ブロック境界の有無や南北方向のひずみ場の空間変化の特性を明らかにすることを目的とした。
GNSSデータは,東北大学がルーチン的に解析している日座標解(Gipsy-X Ver.2.3を用いた PPP-AR解析,IGS2020準拠)を使用した。解析期間は2023年1月〜2025年6月であり,座標時系列に含まれる人為的オフセット等を補正後,直線・年周・半年周期成分を近似して各観測点の速度を求めた。使用した観測点数は計422点(GEONET 96点,ソフトバンク独自基準点 326点)である。南北0.2度に区切った帯状領域ごとに東西にかけての速度プロファイルを作成し,活断層分布や地震活動と比較した結果,以下の特徴が得られた。
1. 北緯44.8度以北の地域では,サロベツ断層帯などの活断層を挟んで東西速度変化が大きい。
2. 北緯44.0〜44.8度付近では,地震活動が少ない地域の周辺で比較的大きい速度変化がみられる。
3. 北緯43.8度以南の増毛山地東縁断層帯や石狩低地東縁断層帯北部付近では,断層の有無にかかわらず一定の割合で速度が変化する。
4. 北緯43度以南の石狩低地東縁断層帯南部がある地域では,この活断層よりも西側から速度が変化する様子がみられ,また,東側ほど速度変化が大きい。
これらの結果から,1の地域(北部)では活断層でのひずみ・応力蓄積が進んでいる可能性がある。一方,3・4の地域(南部)では,速度変化のパターンが活断層を挟んで一定しており,また速度変化の開始場所が,それらのトレース位置とは一致しないことから,堆積平野の非弾性変形や伏在断層の影響などによる変形も検討する必要があるかもしれない。また2の領域では,深さ5〜20 kmに低Vp/Vs領域が存在することが報告されており(Matsubara et al., 2022),これが地震活動の少ない領域とも対応することから,このような不均質構造をもつ領域が幅を持って変形を受け止めている可能性がある。南北に沿って空間的な変形パターンの詳細が得られたことから,今後,各地域に対応する変形モデルを構築することで,活断層活動の可能性や変形メカニズムの理解が進むと期待される。
謝辞:本研究では国土地理院のGEONETおよび気象庁の一元化震源のデータを使用しました。本研究で使用したソフトバンクの独自基準点の後処理解析用データは「ソフトバンク独自基準点のデータの宇宙地球科学用途利活用コンソーシアム」の枠組みを通じて,ソフトバンク株式会社およびALES株式会社より提供を受けたものを使用しました。また本研究の一部は,公益財団法人東京海上各務記念財団の地震研究助成金の支援を受けて実施しました。記して感謝申し上げます。
本研究では,GEONETに加えソフトバンク独自基準点のデータを用いることで,より稠密な観測に基づく詳細な地殻変動場を推定した。また解析範囲を南部の活断層分布地域まで拡大し,ブロック境界の有無や南北方向のひずみ場の空間変化の特性を明らかにすることを目的とした。
GNSSデータは,東北大学がルーチン的に解析している日座標解(Gipsy-X Ver.2.3を用いた PPP-AR解析,IGS2020準拠)を使用した。解析期間は2023年1月〜2025年6月であり,座標時系列に含まれる人為的オフセット等を補正後,直線・年周・半年周期成分を近似して各観測点の速度を求めた。使用した観測点数は計422点(GEONET 96点,ソフトバンク独自基準点 326点)である。南北0.2度に区切った帯状領域ごとに東西にかけての速度プロファイルを作成し,活断層分布や地震活動と比較した結果,以下の特徴が得られた。
1. 北緯44.8度以北の地域では,サロベツ断層帯などの活断層を挟んで東西速度変化が大きい。
2. 北緯44.0〜44.8度付近では,地震活動が少ない地域の周辺で比較的大きい速度変化がみられる。
3. 北緯43.8度以南の増毛山地東縁断層帯や石狩低地東縁断層帯北部付近では,断層の有無にかかわらず一定の割合で速度が変化する。
4. 北緯43度以南の石狩低地東縁断層帯南部がある地域では,この活断層よりも西側から速度が変化する様子がみられ,また,東側ほど速度変化が大きい。
これらの結果から,1の地域(北部)では活断層でのひずみ・応力蓄積が進んでいる可能性がある。一方,3・4の地域(南部)では,速度変化のパターンが活断層を挟んで一定しており,また速度変化の開始場所が,それらのトレース位置とは一致しないことから,堆積平野の非弾性変形や伏在断層の影響などによる変形も検討する必要があるかもしれない。また2の領域では,深さ5〜20 kmに低Vp/Vs領域が存在することが報告されており(Matsubara et al., 2022),これが地震活動の少ない領域とも対応することから,このような不均質構造をもつ領域が幅を持って変形を受け止めている可能性がある。南北に沿って空間的な変形パターンの詳細が得られたことから,今後,各地域に対応する変形モデルを構築することで,活断層活動の可能性や変形メカニズムの理解が進むと期待される。
謝辞:本研究では国土地理院のGEONETおよび気象庁の一元化震源のデータを使用しました。本研究で使用したソフトバンクの独自基準点の後処理解析用データは「ソフトバンク独自基準点のデータの宇宙地球科学用途利活用コンソーシアム」の枠組みを通じて,ソフトバンク株式会社およびALES株式会社より提供を受けたものを使用しました。また本研究の一部は,公益財団法人東京海上各務記念財団の地震研究助成金の支援を受けて実施しました。記して感謝申し上げます。
