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[P03-04]Strain and Tilt Changes Near the Hypocentral Region of the 1997 Izu Earthquake Swarm Using a Deep Borehole Device and the Mechanism of the Swarm
*Atsushi MUKAI1, Hiroshi ISHII2 (1. Faculty of Urban Management, Fukuyama City University, 2. Association for the Development of Earthquake Prediction)
東京から南西約100 kmに位置する伊豆半島東部において,1997年3月に活発な群発地震活動が発生した.群発地震は3月3日0:00頃から始まり,23:09にはM5.5の地震が発生した.東京大学地震研究所は伊豆半島東部にボアホールを掘削し,1995年に独自開発の深部ボアホール地殻活動総合観測装置を設置して観測を開始していた.この装置には歪計,傾斜計,地震計,磁力計および温度計が搭載されている.M5.5の地震を含め,本群発地震は観測点からの震央距離が約5 km以内の地域で発生した.このとき,群発地震発生前後の歪および傾斜観測値に特異な変動が記録された.本発表では,歪・傾斜観測値および気象庁が決定した震源データに基づいて, 群発地震の発生メカニズムおよび前兆変動,群発地震に関連した歪・傾斜変動,M5.5地震発生前に観測された地震活動や歪・傾斜の変動に注目して解析した結果を報告する.研究の流れは次の通りである.まず,決定精度の良い震源分布からマグマ貫入域と考えられる震源の空白域の存在を明らかにした.震源の時間的変化および歪・傾斜変動からマグマ貫入域が地下深部のマグマだまりと連結していることを示し,マグマ貫入域の構造や形成過程を推定した.貫入域へのマグマ侵入によるマグマ圧分布の変動が媒質内の応力蓄積を生じさせて群発地震が発生したと考え,マグマ貫入の進行に対応した震源域の移動や歪・傾斜変動およびマグマ貫入終了に向かう変動などを調べた.群発地震は1997年3月3日0:00頃に始まり,同日10:00頃からM2以上の地震も発生するようになった.この群発地震はボアホール観測点近傍で発生した地震活動であり,10分間隔で地殻変動観測値が得られた.群発地震活動初期の0:00~10:00における最大主歪は東北東-西南西方向に伸張し続け,その方位は反時計回りに約5°回転した.また,傾斜変化は継続的な北側下降が生じた.同時間帯の震源の多くは観測点南側の深さ8km付近から東北東方向に広がっており,地下深部から上昇してきたマグマの進行方向が硬い岩盤によって水平な東北東方向へと変わったことが想定される.上記の地殻変動は,観測点南側深部のマグマ圧の上昇によって説明できる.10:00~18:00頃には,M4前後の地震による北東-南西伸張の歪ステップが観測され,ステップ後は元の歪状態に戻る傾向がみられた.一方,傾斜観測値は地震動によって乱されたため傾斜ステップを検出することはできなかったが,下降方向が北から北西に変化したことが確認できた.同時間帯の震源は南南東方向に移動しながら,深さ5km付近の浅部へと上昇していった.そうした中で,観測点の東南東約3km付近に震源分布が欠落した空白域が現れた.この空白域は脆弱な地質境界付近からマグマが浅部へと上昇し,マグマで満たされたと推察される.このマグマ貫入域は観測点の東南東に位置しており,地下深部のマグマ溜りと連結している.マグマ貫入域のマグマ圧は北北東-南南西方向の歪の伸張および西北西方向の下降傾斜を引き起こすことになり,おおむね上記の地殻変動観測結果を説明することができる.18:00以降の最大主歪はM4.8の地震発生に伴う南北方向の歪ステップをはさみつつ,継続的な東西伸張を示した.また,傾斜は東北東方向へ下降した.これらの地殻変動は,マグマ貫入域内の温度が低下して浅部からマグマの粘性化および固形化が進んだ結果,浅部のマグマ圧が減衰し,主に深部のマグマ圧が作用するようになったことによるものと推察される.こうしたマグマ圧分布の変動を経て,同日23:09にM5.5の地震が発生した.同地震発生直前には,東西方向に加速する最大主歪の伸びや南東方向に下降加速する最大傾斜など,ともに地震発生時に生じたステップ方向の変化が観測された.本発表のように震源域に近いボアホールで地殻変動連続観測した事例は過去になく,その解析によって群発地震の挙動に関する詳細な情報が得られるものと期待される.
