Presentation Information
[P03-07]GNSS-A Seafloor Geodetic Observation of Crustal Deformation in the Southern Ryukyu Trench, off Miyako Island
*Atsuhiro Shibata1, Masaki Mizuno1, Ryoya Ikuta1, Yasushi Harada2 (1. Shizuoka university, 2. Tokai university)
2023年に琉球海溝南部に設置したGNSS-A測地観測点の、曳航ブイシステムを用いた2年間計3回のキャンペーン観測の結果を紹介する。
琉球海溝南部では背弧拡大により琉球弧が年間約5cmの速度で南進しており、島弧下にはプレート境界の大地震を起こせるようなプレート間固着があるとは考えられない。より前弧側のプレート間固着を調査するため、我々は2012年から2022年、琉球弧最南端の波照間島南方50km沖の波照間海盆内に海底局OHTMを設置してGNSS-A観測を行い、直下にプレート間固着が無いことを明らかにした。
我々は2023年、宮古島南東沖70 km、波照間海盆の東側に隣接する宮古深海平坦面上に新たな海底局OMYKを設置し、GNSS-Aによる測位を開始した。OHTMの下では活発な低周波地震が報告されているのに対し、東側に隣接する宮古深海平坦面では活動度が低く、またOHTMの水深3,500mに対してOMYKは700m程度と浅く、フリーエア異常もOHTMでのマイナス50 mgalに対してOMYKではプラス50mgalと対照的である。OMYK海底局には3台の海底音響トランスポンダーが辺長約500mの正三角形をなして設置されている。各観測は石垣島および宮古島でそれぞれ9.8tと9.7tの漁船をチャーターし、トランスデューサ(3013@ITC)、MEMSジャイロセンサー(Ellipse-N@ SBG systems)、GNSSアンテナ(HX-CSX601A@Harxon Corp.)を備えたブイを曳航して行った。この際、船とブイの距離は約20 m、GNSS受信機や電源、音響信号の送受信コントローラー等は船に設置しブイと有線でつないでいる。ブイは高さ1.7 m×幅30 cm、重さ13 kgとコンパクトで取り回しにすぐれ、人員2名で容易に投入、回収できる。各観測ではブイを速度約5 ktで曳航して空間バランスの良い航跡を描きながら、海底トランスポンダーとの間で3,000~5,000回の音響測距を10~15時間かけて行った。2023年から2025年の間で、12カ月間隔で3回の観測を行った。
観測中の曳航ブイの位置は、0.2秒サンプリングで取得したGNSSデータを、RTKLIB(Takasu 2009)を用いて精密単独キネマティック測位(PPP kinematic)解析を行って得た。ジャイロによる姿勢も0.2秒サンプリングで取得した。これらと音響測距データをプログラム群OCDASANを用いて解析し (Ikuta et al. 2008)、海底局座標を推定した。
3回のキャンペーン観測データから2年間のOMYK海底局座標の推移を得た。ただし初回の2023年のデータで走時残差のばらつきが大きく、2024年、2025年の往復走時の標準偏差が共に0.100msを下回ったのに対し2倍程度となった。この観測ではジャイロコンパスとの接続が頻繁に途絶するトラブルがあり、この影響が考えられるが、詳細な原因は現在データを精査して検討中である。
本発表では、残差の原因について検討を進めた結果とこれを踏まえた暫定的な海底局座標の推移を紹介する。
<謝辞>
本研究はJSPS科研費22H01335の助成を受けたものです。
<参考文献>
Takatsu 2009
Ikuta et al. 2008
琉球海溝南部では背弧拡大により琉球弧が年間約5cmの速度で南進しており、島弧下にはプレート境界の大地震を起こせるようなプレート間固着があるとは考えられない。より前弧側のプレート間固着を調査するため、我々は2012年から2022年、琉球弧最南端の波照間島南方50km沖の波照間海盆内に海底局OHTMを設置してGNSS-A観測を行い、直下にプレート間固着が無いことを明らかにした。
我々は2023年、宮古島南東沖70 km、波照間海盆の東側に隣接する宮古深海平坦面上に新たな海底局OMYKを設置し、GNSS-Aによる測位を開始した。OHTMの下では活発な低周波地震が報告されているのに対し、東側に隣接する宮古深海平坦面では活動度が低く、またOHTMの水深3,500mに対してOMYKは700m程度と浅く、フリーエア異常もOHTMでのマイナス50 mgalに対してOMYKではプラス50mgalと対照的である。OMYK海底局には3台の海底音響トランスポンダーが辺長約500mの正三角形をなして設置されている。各観測は石垣島および宮古島でそれぞれ9.8tと9.7tの漁船をチャーターし、トランスデューサ(3013@ITC)、MEMSジャイロセンサー(Ellipse-N@ SBG systems)、GNSSアンテナ(HX-CSX601A@Harxon Corp.)を備えたブイを曳航して行った。この際、船とブイの距離は約20 m、GNSS受信機や電源、音響信号の送受信コントローラー等は船に設置しブイと有線でつないでいる。ブイは高さ1.7 m×幅30 cm、重さ13 kgとコンパクトで取り回しにすぐれ、人員2名で容易に投入、回収できる。各観測ではブイを速度約5 ktで曳航して空間バランスの良い航跡を描きながら、海底トランスポンダーとの間で3,000~5,000回の音響測距を10~15時間かけて行った。2023年から2025年の間で、12カ月間隔で3回の観測を行った。
観測中の曳航ブイの位置は、0.2秒サンプリングで取得したGNSSデータを、RTKLIB(Takasu 2009)を用いて精密単独キネマティック測位(PPP kinematic)解析を行って得た。ジャイロによる姿勢も0.2秒サンプリングで取得した。これらと音響測距データをプログラム群OCDASANを用いて解析し (Ikuta et al. 2008)、海底局座標を推定した。
3回のキャンペーン観測データから2年間のOMYK海底局座標の推移を得た。ただし初回の2023年のデータで走時残差のばらつきが大きく、2024年、2025年の往復走時の標準偏差が共に0.100msを下回ったのに対し2倍程度となった。この観測ではジャイロコンパスとの接続が頻繁に途絶するトラブルがあり、この影響が考えられるが、詳細な原因は現在データを精査して検討中である。
本発表では、残差の原因について検討を進めた結果とこれを踏まえた暫定的な海底局座標の推移を紹介する。
<謝辞>
本研究はJSPS科研費22H01335の助成を受けたものです。
<参考文献>
Takatsu 2009
Ikuta et al. 2008

