Presentation Information

[P06-01]S-coda Simulation of Interplate Earthquakes under the 2.5 D Structure Model of NE Japan

*Youichi ASANO1 (1. NIED)
PDF DownloadDownload PDF
海域において顕著な低速度の堆積層や沈み込むプレートといった決定論的な不均質構造は,ランダム不均質構造とともに地震波コーダ波の形成に強い影響を及ぼしうるものと考えられる.浅野(2024JPGU)では,三陸沖で発生するプレート間地震のSコーダ波形状を調べ,沿岸付近の地震では海域遠方の観測点においても直達波が比較的明瞭で最大振幅出現までの時間遅れが短いのに対して,海溝側の地震では震源近傍の一部観測点を除けば直達波は不明瞭で,最大振幅出現までの時間遅れ時間が長いことを指摘した.また,浅野(2024, 2025JPGU)では,このようなSコーダ波の特徴を説明する上で,沈み込む海洋プレート内を伝わる波や速度勾配の強い堆積層を伝わるsS波が重要であることを明らかにした.本研究ではこれらの研究をさらに進めて,観測される波形やエンベロープ波形をより良く説明するためのモデル改良を検討する.まず初めに,浅野(2024, 2025JPGU)による海陸遷移域を模した2.5次元構造モデルで,プレート間地震について観測されたP波初動極性(押し引き)の空間分布を説明できるかどうかを調べた.解析には防災科研S-netおよびHi-netで2019年から2023年に観測されたプレート間地震66個の記録を使用した.震央距離が近い観測点には震源断層上盤側から射出される地震波が到達するが,ある震央距離より遠方では下盤側から射出されて海洋プレート内を伝わる地震波が初動として到達することが期待され,実際の観測記録からもこれに対応するとみられる初動極性の押し引き変化が見られる.構造モデル内に仮定したプレート間地震から波線追跡を行い,地表において理論的に期待される極性の空間分布を調べたところ,観測によるそれと概ね一致した.一方で,海陸プレート境界上面を深さ15km~50kmの区間で平面近似する本モデルでは,海洋プレート内を伝わる地震波が地表に到達しづらい領域があることも明らかとなった.海洋プレート内を伝わる地震波がより広範囲で観測されている状況を説明するためには,深さとともに次第に急勾配となる,より滑らかなプレート境界モデルとする必要がある.また,S波エネルギー輸送のシミュレーションによって,エンベロープ波形についても観測と理論との比較を行った.観測されたエンベロープ波形に見られる振幅の顕著な増大には沈み込む海洋プレート内を伝わる波やsS波が関係しているものと考えられるが,シミュレーションによる理論エンベロープでは海洋プレート内を伝わる波の大振幅を十分には再現できなかった.今後は,モデルにおけるプレート形状の改善や海洋プレート内の強い散乱や低減衰の導入によって再現性が高められるよう検討を進めたい.