Presentation Information
[P06-04]Seismic Exploration of Crustal Structure from the Eastern Tanzawa Mountains to the Miura Peninsula Using Vibrators
*Eiji KURASHIMO1, Tatsuya ISHIYAMA1, Shin’ichi SAKAI2 (1. Earthquake Research Institute, the University of Tokyo, 2. Interfaculty Initiative in Information Studies, the University of Tokyo)
はじめに
関東地域下は,フィリピン海プレートが陸側プレートと太平洋プレートとの間に沈み込むという複雑なプレート配置を形成している.首都圏で発生する地震を考察する上で,関東地域下におけるプレートの配置・形状を詳細に把握することは必要不可欠である.このため,これまでに数多くの制御震源地殻構造探査や稠密地震観測が関東地域で実施され,フィリピン海プレート上面の形状や上盤側の構造が明らかになってきた(例えば,Sato et al, 2005). しかしながら,1923年大正関東地震の破壊域と推定されている丹沢山地東部から房総半島南部下にかけてのフィリピン海プレートの形状,プレート境界面近傍の不均質構造,上盤側の構造に関しては十分に把握できていない.大正関東地震破壊域の直上にあたる三浦半島では,2024年1月に文部科学省「三浦半島断層群(武山断層帯)の重点的な調査観測」(重点調査観測)の一環として,三浦半島断層群を横断する構造探査が実施された(石山・他,2024).そこで,重点調査観測で実施する構造探査の機会を最大限に利用し,相模トラフから沈み込むフィリピン海プレート上面の形状や上盤側の構造を明らかにすべく,重点調査観測と連携した制御震源地殻構造探査を丹沢山地東部から三浦半島にかけての地域で実施した.本講演では制御震源地殻構造探査の概要と,得られた探査データに対して,2次元波線追跡法解析を行うことによって得た測線下のP波速度構造について報告する.
観測とデータ
制御震源地殻構造探査測線は,重点調査観測で実施する探査測線と直交する方向の神奈川県清川村から葉山町に至る地域に設定した.測線長は約47kmで,測線上に約200m間隔で独立型地震観測装置を246カ所に設置した.各観測点では,固有周波数4.5Hzの上下動地震計を使用し,Geospace社製GSX-1を用いて連続収録を行なった.収録の期間は,2024年1月20日から2024年1月28日であった.収録期間中の1月25日から1月26日にかけて,探査測線上の7カ所で,大型バイブレータ震源(UNIVIB2)4台による多重発震を行った.バイブレータの発震は,スイープ周波数 3-30Hz,スイープ長 24秒とし,発震地点におけるスイープ回数は,50回とした点が3ヵ所,100回とした点が4ヵ所であった.得られた発震データを用いて作成した距離-時間軸断面図からは,震央距離5km程度まで,見かけ速度1.8㎞/sの相が初動として確認できる記録もあれば,発震点近傍から見かけ速度3.7㎞/sの相が初動として確認できる記録もある.また,初動到達後にもフェイズが確認できる.
解析と結果
発震点毎に作成した距離-時間軸断面図から読み取った初動走時データを用いて,2次元波線追跡法(Červený and Pšenčik, 1983)を用い,試行錯誤的に各発震での観測走時を満足する測線下の2次元P波速度構造を求めた.得られた2次元P波速度構造からは,表層の速度が測線北部の丹沢山地では3km/s程度,測線南部の三浦半島では2.5㎞/s程度であるの対し,それらの間では1.8km/s程度と,水平方向における顕著な変化が確認できる.これら表層近傍でのP波速度の変化は,測線下の表層地質と良い対応を示している.また,5.1㎞/s層上面の深さは丹沢山地東縁下で変化していることが確認でき,丹沢山地側で約2㎞,三浦半島側では3~3.5㎞の深さにあり,丹沢山地下で浅くなる特徴を示す.
謝辞:本研究を実施するにあたり,文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の支援を受けました.ここに記して深く感謝の意を表します.
関東地域下は,フィリピン海プレートが陸側プレートと太平洋プレートとの間に沈み込むという複雑なプレート配置を形成している.首都圏で発生する地震を考察する上で,関東地域下におけるプレートの配置・形状を詳細に把握することは必要不可欠である.このため,これまでに数多くの制御震源地殻構造探査や稠密地震観測が関東地域で実施され,フィリピン海プレート上面の形状や上盤側の構造が明らかになってきた(例えば,Sato et al, 2005). しかしながら,1923年大正関東地震の破壊域と推定されている丹沢山地東部から房総半島南部下にかけてのフィリピン海プレートの形状,プレート境界面近傍の不均質構造,上盤側の構造に関しては十分に把握できていない.大正関東地震破壊域の直上にあたる三浦半島では,2024年1月に文部科学省「三浦半島断層群(武山断層帯)の重点的な調査観測」(重点調査観測)の一環として,三浦半島断層群を横断する構造探査が実施された(石山・他,2024).そこで,重点調査観測で実施する構造探査の機会を最大限に利用し,相模トラフから沈み込むフィリピン海プレート上面の形状や上盤側の構造を明らかにすべく,重点調査観測と連携した制御震源地殻構造探査を丹沢山地東部から三浦半島にかけての地域で実施した.本講演では制御震源地殻構造探査の概要と,得られた探査データに対して,2次元波線追跡法解析を行うことによって得た測線下のP波速度構造について報告する.
観測とデータ
制御震源地殻構造探査測線は,重点調査観測で実施する探査測線と直交する方向の神奈川県清川村から葉山町に至る地域に設定した.測線長は約47kmで,測線上に約200m間隔で独立型地震観測装置を246カ所に設置した.各観測点では,固有周波数4.5Hzの上下動地震計を使用し,Geospace社製GSX-1を用いて連続収録を行なった.収録の期間は,2024年1月20日から2024年1月28日であった.収録期間中の1月25日から1月26日にかけて,探査測線上の7カ所で,大型バイブレータ震源(UNIVIB2)4台による多重発震を行った.バイブレータの発震は,スイープ周波数 3-30Hz,スイープ長 24秒とし,発震地点におけるスイープ回数は,50回とした点が3ヵ所,100回とした点が4ヵ所であった.得られた発震データを用いて作成した距離-時間軸断面図からは,震央距離5km程度まで,見かけ速度1.8㎞/sの相が初動として確認できる記録もあれば,発震点近傍から見かけ速度3.7㎞/sの相が初動として確認できる記録もある.また,初動到達後にもフェイズが確認できる.
解析と結果
発震点毎に作成した距離-時間軸断面図から読み取った初動走時データを用いて,2次元波線追跡法(Červený and Pšenčik, 1983)を用い,試行錯誤的に各発震での観測走時を満足する測線下の2次元P波速度構造を求めた.得られた2次元P波速度構造からは,表層の速度が測線北部の丹沢山地では3km/s程度,測線南部の三浦半島では2.5㎞/s程度であるの対し,それらの間では1.8km/s程度と,水平方向における顕著な変化が確認できる.これら表層近傍でのP波速度の変化は,測線下の表層地質と良い対応を示している.また,5.1㎞/s層上面の深さは丹沢山地東縁下で変化していることが確認でき,丹沢山地側で約2㎞,三浦半島側では3~3.5㎞の深さにあり,丹沢山地下で浅くなる特徴を示す.
謝辞:本研究を実施するにあたり,文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の支援を受けました.ここに記して深く感謝の意を表します.
