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[P06-05]Application of the Seismic Ambient Noise Tomography in Mt. Ontake, Central Japan

*Misaki Asai1, Yuta Maeda1, Toshiki Watanabe1 (1. Graduate School of Environmental Studies Nagoya University)
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1.研究背景と目的
 地震波干渉法の理論に基づき,地震雑微動の相互相関関数(CCF)から仮想的な地震信号を導出しトモグラフィ解析に応用する地下構造探査手法を地震雑微動トモグラフィと呼ぶ.特に,0.02-0.5 Hzの周波数帯で卓越する脈動を受動ソースとして扱う実用例が近年に多く報告され,その有用性が認められている.先行研究による事例は広域なフィールドを対象としたものばかりではなく,火山のような急峻な地形を伴う局所的なフィールドに対してもその有意性を認めている.本研究では,中部日本に位置する活火山である御嶽山を解析対象とし,地震雑微動トモグラフィによる三次元S波速度構造推定を行った.戦後最大級の火山災害をもたらした2014年噴火を機に御嶽山の地震観測体制は急速に整備され,現在では世界でも有数の高密度常設観測網を実現している.本研究の目的は,この常設観測網に受動ソース由来の地震雑微動トモグラフィを適用することで,中長期単位での地下構造モニタリングを達成し火山防災に貢献することである.
2.手法
 御嶽山山頂を中心とした50×50 km2 内に位置する計43点の地震観測点(図1の緑点)を用いた.2019/01/01-2019/12/31の期間で記録されたデータに前処理を行い,一時間単位に分割した波形全てに対してCCFを求めスタッキングを行った.得られたCCFに対してmodified multicomponent frequency-Bessel transform method(MMFJ法)を適用することでマルチモードのレイリー波位相速度分散曲線を抽出し,レファレンスモデルとなる一次元S波速度構造を逆解析した.次いで,先のCCFに周波数-時間解析(FTAN)を適用することで各レイパス上の分散曲線を導出し,周期0.1 s 刻みの二次元位相速度マップへと逆解析した.マップ上のグリッドの大きさは0.025×0.025 deg2 とし,レイパス数が不充分なグリッドは解析対象外とした.最後に位相速度マップの各グリッドにおいて分散曲線をそれぞれ抽出し,三次元S波速度構造へと逆解析した.
3.結果
 図1に位相速度計測の一例を示す.周期2.5-10.0 s において複数のレイパスにおける位相速度計測に成功したため,この周期範囲においてそれぞれ位相速度マップを求めS波速度構造への逆解析に用いた.
 本研究で得られたS波速度構造とDoi et al. (2013) による一次元S波速度構造との同一深さにおける速度比dVsの分布を図2に示す.尚,Doi et al. (2013) の速度構造は山麓領域の地震観測点を用いた地震波トモグラフィに基づくものであるため,山麓部を含めた御嶽山領域の平均的な速度構造を反映していると見なせる.東部から北東部にかけて分布する低速度異常は浅部から深部にかけて一様に存在する一方で,北部から北東部にかけて分布する低速度異常は深さ2.5-10.0 kmにかけて集中的に分布し,その上下部を高速度異常に囲まれている.又,山頂領域直下においても低速度異常が確認され,これらの低速度異常は連続性をもって分布しているように見える.
4.考察と展望
 低速度異常が確認される東部から北西部は,深さ10 km以浅でマグニチュード4未満の地震活動が活発に見られる群発地震領域であるため,この異常によって存在が示唆される火山流体の移動経路や貯留層などが群発地震の発生要因となっている可能性がある.又,山頂直下でも同様にして低速度異常が見られることから,これらの火山流体は過去の水蒸気噴火とも因果関係をもつと考えられる.一方で,高速度異常は固結して高密度となった火成岩の存在を示唆していると言え,火山流体の分布に制約をもたらしている可能性がある.
 今後,深さ方向の感度カーネルや逆解析時における分散曲線のフィッテング度合いを評価することで各深さおよびグリッドにおける品質評価を行い,より信頼性の高いモデルを作成する.又,データの解析期間を差し替えることによって,速度異常分布の中長期変動や火山活動との関連性について議論を与える.
5.謝辞
 JSPS科研費JP19K04016の助成を受けた.使用した地震観測点は,名古屋大学,気象庁,岐阜および長野県,防災科研によって維持管理されている.データ解析においては,WIN System (Urabe and Tsukada, 1992), Seismic Analysis Code (Goldstein et al., 2003; Goldstein and Snoke, 2005),Automatic Frequency-Time Analysis (Barmine, 2018),DisbaTomo (Pan et al., 2019) ,SeisLib (Magrini et al. 2022), ymaeda_opentools (Maeda, 2022)を使用した.