Presentation Information
[P06-07]Three-dimensional S-wave attenuation structure around the Hida Mountains and frequency dependence
*Shoya Okada1, Akio Katsumata1, Kohe Hotta1 (1. University of Toyama)
飛騨山脈の周辺では, 地震波が大きく減衰することが以前から知られている. 例えば, 溝上・他 (1983) では, 飛騨山脈西側で発生する地震波動の振幅の減衰は著しく, 東側では検知できない場合が多いことを指摘した. 飛騨山脈およびその周辺における地震波の異常減衰を理解するためには, その定量的, 空間的把握が必要となる. しかし, これまでの研究では, 解析領域が必ずしも飛騨山脈を主対象としていなかったり, 地殻のどの部分で減衰が激しいのか必ずしも明確ではなかったりする. そこで本研究では, 減衰の程度を表すQS値をトモグラフィックインバージョンにより推定し, 飛騨山脈及びその周辺の三次元減衰構造を明らかにすることを目的として解析を行なった.
本解析では防災科学技術研究所 K-NET 及び KiK-net強震計の加速度強振記録, Hi-net地震計のイベント波形データ, 臨時観測地震計の波形データを用いた. 震源の緯度, 経度, 深さ, モーメントマグニチュードは防災科学技術研究所F-netの値を用た. K-NET, Kik-netでは436個の地震, Hi-netでは727個の地震, 臨時観測点では288個の地震データを解析に使用した.
本研究では, 三次元トモグラフィックインバージョンによる手法 (中村, 2009) を用いて飛騨山脈及びその周辺のQS値の推定を実施した. このとき, 1ブロックの大きさを緯度0.1°×経度0.1°×深さ10kmとした. 地震jによる観測点iでの加速度フーリエスペクトルは以下のように表すことができる.
αij(f) = Saj(f)・Ge・(ρSBβSB/ ρjβj)0.5・gi(f)・exp(-πfΣTijk/Qk(f))
ここで, Saj(f)は震源での加速度フーリエスペクトル, Geは震源距離の逆数, ρSBは地震基盤における密度, βSBは地震基盤におけるS波地震波速度, ρjは震源での密度, βjは震源でのS波地震波速度, giは観測点におけるサイト増幅特性, Qk(f)はk番目のブロックでのQS値. Tijkはk番目のブロックを通過するのに要する時間である.
本研究では, 1, 2, 4, 6, 8, 10Hzの各周波数におけるQS-1構造を推定した. 観測スペクトル振幅としては, 各周波数の±0.5 Hz帯域における加速度フーリエスペクトルの幾何平均を用いた. 推定したQS-1は内部減衰と散乱減衰の両方を反映していると考えられる. また, 解像度の解析としてチェカーボード解像度テストとスパイクテストを実施した.
解析の結果, 飛騨山脈直下の上部地殻では高減衰が推定された(図1左). また, 房総半島の上部地殻においても高減衰が推定され, これらは隆起速度が大きい地域として知られている. さらに, フィリピン海プレートの沈み込みに伴い高い変形速度を示す中部地方南岸でも高減衰が確認れた. これらの地域における高減衰は、地殻変形によって形成された亀裂と関連している可能性がある.
Q値の周波数依存性はべき乗則で表されることが多い(例えば, Shito et al., 2004).
Q = Q0(f/f0)α
ここで, Q0とf0は定数である. 本研究ではQSの周波数依存がべき乗則に従うと仮定し, αの空間分布を推定した. 深さ0-10kmにおけるαの分布(図1右)から, 地域差が認められ, 房総半島下では飛騨山脈下に比べてαの値が小さい. 中村・椎名(2019)はCarcolé and Sato(2010)の結果を参照し, 散乱減衰の周波数依存性は固有減衰より大きいことを示している. ある地域でαが他の地域より小さい場合, 固有減衰の影響が比較的優勢であると考えられる. したがって, 房総半島下の固有減衰の割合は飛騨山脈下よりも大きいと考えられる.
深さ30-60kmにおけるαの水平分布を示す(図2). 能登半島付近に大きなα値を示す領域が確認できる.このような大きなQSの周波数依存性は他の地域には見られない. この地域には何らかの特異な特徴があると考えられるが, 火山地域でも衝突帯でもなく顕著な構造的特徴は確認できない. 高いαの解釈については今後の課題である.
謝辞
本研究では防災科学技術研究所K-NET, Kik-net, Hi-netの観測データ, F-netのメカニズム解を使用しました.
本解析では防災科学技術研究所 K-NET 及び KiK-net強震計の加速度強振記録, Hi-net地震計のイベント波形データ, 臨時観測地震計の波形データを用いた. 震源の緯度, 経度, 深さ, モーメントマグニチュードは防災科学技術研究所F-netの値を用た. K-NET, Kik-netでは436個の地震, Hi-netでは727個の地震, 臨時観測点では288個の地震データを解析に使用した.
本研究では, 三次元トモグラフィックインバージョンによる手法 (中村, 2009) を用いて飛騨山脈及びその周辺のQS値の推定を実施した. このとき, 1ブロックの大きさを緯度0.1°×経度0.1°×深さ10kmとした. 地震jによる観測点iでの加速度フーリエスペクトルは以下のように表すことができる.
αij(f) = Saj(f)・Ge・(ρSBβSB/ ρjβj)0.5・gi(f)・exp(-πfΣTijk/Qk(f))
ここで, Saj(f)は震源での加速度フーリエスペクトル, Geは震源距離の逆数, ρSBは地震基盤における密度, βSBは地震基盤におけるS波地震波速度, ρjは震源での密度, βjは震源でのS波地震波速度, giは観測点におけるサイト増幅特性, Qk(f)はk番目のブロックでのQS値. Tijkはk番目のブロックを通過するのに要する時間である.
本研究では, 1, 2, 4, 6, 8, 10Hzの各周波数におけるQS-1構造を推定した. 観測スペクトル振幅としては, 各周波数の±0.5 Hz帯域における加速度フーリエスペクトルの幾何平均を用いた. 推定したQS-1は内部減衰と散乱減衰の両方を反映していると考えられる. また, 解像度の解析としてチェカーボード解像度テストとスパイクテストを実施した.
解析の結果, 飛騨山脈直下の上部地殻では高減衰が推定された(図1左). また, 房総半島の上部地殻においても高減衰が推定され, これらは隆起速度が大きい地域として知られている. さらに, フィリピン海プレートの沈み込みに伴い高い変形速度を示す中部地方南岸でも高減衰が確認れた. これらの地域における高減衰は、地殻変形によって形成された亀裂と関連している可能性がある.
Q値の周波数依存性はべき乗則で表されることが多い(例えば, Shito et al., 2004).
Q = Q0(f/f0)α
ここで, Q0とf0は定数である. 本研究ではQSの周波数依存がべき乗則に従うと仮定し, αの空間分布を推定した. 深さ0-10kmにおけるαの分布(図1右)から, 地域差が認められ, 房総半島下では飛騨山脈下に比べてαの値が小さい. 中村・椎名(2019)はCarcolé and Sato(2010)の結果を参照し, 散乱減衰の周波数依存性は固有減衰より大きいことを示している. ある地域でαが他の地域より小さい場合, 固有減衰の影響が比較的優勢であると考えられる. したがって, 房総半島下の固有減衰の割合は飛騨山脈下よりも大きいと考えられる.
深さ30-60kmにおけるαの水平分布を示す(図2). 能登半島付近に大きなα値を示す領域が確認できる.このような大きなQSの周波数依存性は他の地域には見られない. この地域には何らかの特異な特徴があると考えられるが, 火山地域でも衝突帯でもなく顕著な構造的特徴は確認できない. 高いαの解釈については今後の課題である.
謝辞
本研究では防災科学技術研究所K-NET, Kik-net, Hi-netの観測データ, F-netのメカニズム解を使用しました.

