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[P06-10]Spatial variation of anisotropic features of the upper crust beneath SW Japan inferred from the receiver functions

*Katsuhiko SHIOMI1 (1. NIED)
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はじめに
 地殻内の地震波速度異方性は,主に最大水平圧縮軸に平行な微小クラックの存在により形成されている.言い換えれば,異方性構造はその地域の応力場を反映していることが期待される.地震波速度異方性の推定にはS波スプリッティング解析やトモグラフィ解析が多く用いられるが,解析に用いる地震活動の空間的な偏りの影響を強く受ける等の短所がある.汐見(2024; SSJ)は,四国内に設置された定常観測点並びに臨時観測点で収録された遠地地震記録からレシーバ関数(RF)を推定し,その地震波到来方向依存性の調和成分を抽出,評価する方法を用いて,上部地殻の異方性として「速い軸の方位」を推定した.今回,四国地方の解析結果を更新するとともに,中国地方及び九州地方の観測点にも適用した.

データ・解析方法
 解析には,中国・四国地方,九州地方(島嶼部を除く)及び兵庫県西部に設置された防災科研Hi-net(doi:10.17598/NIED.0003),F-net(doi:10.17598/NIED.0005)観測点,大学,気象庁,産業技術総合研究所が設置した定常点,文部科学省「南海トラフ広域地震調査研究プロジェクト」の一環として設置した臨時観測点(doi:10.17598/NIED.0027, doi:10.17598/NIED.0030)で収録された遠地地震波形記録を用いた.まず,USGSが公開している震源カタログより,2000年10月から2025年2月に発生したM≥5.8の地震のうち,各観測点からの震央距離が30°から90°となる地震を選択し,該当する波形記録を切り出した.S/Nの良好な記録を自動及び目視により選択した後,コーナー周波数1.5 Hzの低域通過フィルタを適用した.各観測点で得られたRFにHarmonic decomposition解析(HD解析.Bianchi et al., 2010; JGR)を適用し,得られた調和成分の粒子軌跡に対して主成分分析を行うことで,上部地殻の異方性媒質の特徴を調べた.なお,解析には,水平面内の異方性構造の特徴を反映する二次項(180°周期成分)を用いた.ブートストラップ法による誤差評価を行い,標準偏差σが11.25°(=360°/32)以下となった観測点について,結果を採用した.なお,Hi-net及びF-net以外の観測点については,RF解析に用いた遠地地震波形を用いて簡易的に地震計設置方位の確認を行い,設置方位の評価が困難な観測点の結果は参考値扱いにとどめた.

結果
 本研究で用いたHD解析は各観測点を独立に解析する方法である.したがって,近接する観測点で類似の傾向が見られた場合,その領域での広域的な特徴が得られたと判断出来る.
 九州北部(福岡県,佐賀県,熊本県北部等)の観測点では,速い軸の包囲はほぼ東西を向いているのに対し,別府-島原地溝帯以南の観測点では,南北あるいは北東-南西方向を示した.この特徴は,小地震の発震機構から推定される最大水平圧縮軸方位(Uchide et al., 2022; JGR)と調和的である.しかし,大分県北部では,別府-島原地溝帯の北側を含め,局所的に北東-南西方向を示す領域があった.
 中国地方においては,局所的に大きく変化を示す結果となった.東部(兵庫県,鳥取県,岡山県)では,北西-南東方向ないし北北西-南南東方向を示した.同様の傾向は島根県の日本海沿岸部でも見られるが,同県内陸部および広島県東部は東西方向であった.一方,山口県西部は北北西-南南東方向,広島県西部から山口県東部は北東-南西方向を示しており,南側に位置する大分県北部の方位と調和的であった.
 四国地方については,汐見(2024)の結果から大きな変化は見られなかった.
 中国地方や大分県北部,四国北東部の観測点で見られた特徴はUchide et al.(2022)やこれまでに実施されたS波スプリッティング解析による地殻内異方性解析結果(例えば,Sakakibara, 2004)と一致しない.これらの地域における地殻浅部の地震活動は概して低調であることから,RF解析が有効な領域とも言える.今後はより詳細かつ丁寧な確認を進め,それぞれの解析方法による結果の違いが意味するところを検討する必要がある.

謝辞
東京大学地震研究所,京都大学防災研,高知大学,九州大学,鹿児島大学,気象庁及び産業技術総合研究所が設置した地震計のデータ,USGSが公表している地震カタログ(PDE)を使用した.レシーバ関数のHarmonic decomposition解析には,Jeffrey Park教授が公開されているプログラムを一部改変して用いた.