Presentation Information

[P06-16]The relationship between the S wave radial anisotropy in the magma reservoir and the stress field

*Yutaka NAGAOKA1, Kiwamu NISHIDA2, Yosuke AOKI2, Minoru TAKEO2 (1. Meteorological College, 2. ERI, Univ. of Tokyo)
PDF DownloadDownload PDF
近年、トバ湖カルデラやイエローストーンカルデラ、霧島山といった大規模なカルデラやカルデラ縁の火山において、地下のS波速度構造の鉛直異方性(振動方向が互いに直交する2種類のS波速度VSVとVSHの不一致)が確認されている(Jaxybulatov et al., 2014; Jiang et al., 2018; Nagaoka, 2020)。このような異方性はマグマだまりのシル状構造によって説明でき、一連のシル貫入によってマグマだまりが発達したことを示唆すると考えられている。しかし、どうしてシル状構造となるのか、またこのような構造は大規模なカルデラを形成するような応力場(引張応力場)にある火山のみに共通する特徴であるのか、といったことは明らかになっていない。そこで本研究では、引張応力場にある霧島、圧縮応力場にある浅間山、広域的には圧縮応力場にあるがプルアパート構造を持つ箱根について、マグマだまり内のS波速度鉛直異方性の有無を比較し、応力場の関係を議論する。
 速度構造推定にはambient noise tomographyを用いた。3成分の脈動記録を使用し、地震波干渉法により脈動記録の上下動成分の相互相関関数から観測点間を伝播するRayleigh波を、Transverse成分の相互相関関数からLove波を抽出した。抽出されたRayleigh波とLove波に対して、SPAC法(Aki, 1957)を用いて解析領域全体の平均的な1次元構造の位相速度分散曲線を測定した。次に、各パス(観測点ペア)の位相速度を領域平均構造に対する速度異常として測定し、各パスの位相速度を用いて表面波位相速度トモグラフィーを行った(Rawlinson and Sambridge, 2005)。表面波位相速度トモグラフィーは、複数の周波数帯で実施した。得られた複数の周波数帯の位相速度マップから、各地表点における1次元S波速度構造を推定し、それらを束ねて3次元S波速度構造を推定した。Rayleigh波位相速度マップから3次元 VSV構造を、Love波位相速度マップから3次元VSH構造を得た。
 上記の解析を霧島と浅間山に適用したところ、霧島ではマグマだまりに対応する領域でVSVとVSHに明瞭な不一致が見られ、浅間山では明瞭な違いは見られなかった。また、箱根について表面波位相速度構造までを求めた結果では、深さ10 km付近に対応する周波数帯においてRayleigh波位相速度の方がLove波より低速度となっており、弱い異方性がある可能性がある。今後箱根についても3次元VSV構造とVSH構造を推定し、3火山でS波速度鉛直異方性の有無を比較する。