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[P08-08]Rupture velocity estimates of the 2024 Noto Peninsula earthquake using seismic stereometry

*Kazuki Takahashi1, Hiroe Miyake2,1, Claudio Satriano3 (1. Earthquake Research Institute, The University of Tokyo, 2. Interfaculty Initiative in Information Studies, The University of Tokyo, 3. Institut de Physique du Globe de Paris)
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地震における断層破壊伝播速度の推定は、震源過程の解明や地震動予測の高度化において極めて重要である。2024年能登半島地震(Mw7.5)では、震源から南西方向および北東方向に時間差を伴って破壊が進行した可能性が指摘されており、Ma et al. (2024)による波形インバージョンおよびバックプロジェクション解析では南西方向に約3.4 km/s、その後北東方向に約2.8 km/sと推定された。一方、Xu et. al. (2024)の解析では南西方向2.38±0.4 km/s、北東方向2.06±0.17 km/sが得られており、その差異は議論の対象となっている。従来用いられる波形インバージョンは高分解能な震源像を提供できる一方で計算コストが高く、地下速度構造モデルへの依存度が大きい。バックプロジェクション法は速度構造依存性が比較的低いが、解析対象波長に対して十分に密な地震計アレイを必要とする。これらの課題に対し、本研究では地震ステレオメトリー法(Mordret et al., 2020)を適用した。地震ステレオメトリー法は、断層走向に沿って近接配置された観測点ペアに着目し、震源からの初期パルスと破壊終端付近のパルスにおける到達時間差を観測点間の幾何学的配置と組み合わせることで破壊伝播速度と破壊長を推定する手法である。グリーン関数を明示的に計算する必要がないため計算コストは低く、断層走向と直交する観測点配置を選べば速度構造依存性をさらに抑えられる利点を持つ。一方で、適用には高コヒーレンスな波形を得られる近接ペアが必要であり、複雑な破壊形態や鉛直成分の影響には弱いという制約がある。本研究では、波形間の時間差抽出にMorletウェーブレットを用いたクロスウェーブレット変換(Mao et al., 2019)を用い、得られた周波数平均の時間差とコヒーレンスを基にパルス区間を特定してステレオメトリー方程式を適用した。解析には、防災科研MeSO-netの霞ヶ浦-富士山測線に設置された観測点記録の上下成分速度波形を用い、断層走向に平行かつ隣接するペアを選定した。サンプリング周波数は200 Hzとし、0.01–0.5 Hzの帯域でChebyshevフィルタを適用した後、Morletウェーブレット変換を行い、時間–周波数平面上で高コヒーレンスを示す領域を抽出した。また、本研究では破壊伝播速度の推定に際し、P波を解析対象とした。対象は、2023年5月5日の前震(Mw6.2, 深さ約12 km, 逆断層型)、2024年1月1日の本震(Mw7.5, 深さ約16 km, 逆断層型)、2024年6月3日の余震(Mw5.8, 深さ約10 km, 逆断層型)の3地震である。前震解析では、選定ペアにおいて破壊長・破壊伝播速度ともに小さい値が得られ、震源域がほぼ点震源的に見える結果となった。これは、ステレオメトリー法が破壊方向の特定に強い感度を持つことを示す。一方、余震解析では北東方向への進行が確認され、破壊長は約23.6 km、破壊伝播速度は2.52 km/sと推定された。本震についても同手法を適用し高コヒーレンス波形を得たが、複雑な破壊形態の影響が大きく、明確な速度値の解釈には数値テストを含む慎重な検討が必要である。このように、地震ステレオメトリー法は速度構造モデルへの依存度を抑えつつ破壊伝播速度の推定が可能であり、前震・余震を含む複数イベント解析により破壊様式や方向性の違いを識別できることが確認された。