Presentation Information
[P08-17]The latest event on the Median Tectonic Line active fault zone, inland Shikoku, inferred from dynamic rupture simulations (Part3)
*Yuko KASE1, Hisao KONDO1 (1. Geological Survey of Japan, AIST)
中央構造線断層帯(MTL)は,日本で最も活動的な断層帯のひとつである.この長大な断層帯は10の区間に区分されて評価されているが,複数区間が連動する可能性についても検討すべき課題として挙げられている(地震調査研究推進本部,2017).この断層帯のうち,四国陸域の4区間(讃岐山脈南縁東部区間,同西部区間,石鎚山脈北縁区間,同西部区間)を対象として,地質学的および地球物理学的データに基づいて活動履歴を考慮した応力場モデルを構築し,動的破壊シミュレーションにより連動可能性とその条件を検討する.この4区間で発生した最新イベントについて,変位履歴からは,讃岐山脈南縁東部区間と同西部区間が連動するイベントと石鎚山脈北縁区間と同西部区間が連動するイベントが別々に,しかし,概ね同時期に発生した可能性が高いとしている(文部科学省・産業技術総合研究所,2023).また,歴史史料からは両イベントを含めて,西から東へと連鎖的にイベントが生じたとしている(文部科学省・産業技術総合研究所,2024).前報(加瀬ほか,2024)の動的破壊シミュレーション結果では,破壊開始点の位置と各区間の最新活動直前の地震後経過率によって5つの連動パターンが得られ,そのうち2パターンは変位履歴と調和的な先発イベントであった.そこで,これらのイベントを得られた震源モデルを対象として,先発イベント後の応力場を初期応力モデルとしてシミュレーションをおこない,続発するイベントの連動パターンが歴史史料からの推測と一致するか否かを検討する.
断層モデルと媒質モデル,広域応力場と摩擦係数,臨界すべり量は,加瀬ほか(2023,2024)と同じものを使用した.その上で,先発イベントのシミュレーションで得られた最終応力場を続発イベント直前の応力場とし,このときの剪断応力と動摩擦応力との差から求めた地震後経過率と先発イベントによる法線応力変化から,続発イベントの破壊開始領域を推測した.この条件下では,石鎚山脈北縁区間と同西部区間が連動するイベントが先発するモデルでは,続発イベントは讃岐山脈南縁西部区間の石鎚山脈北縁区間とのオーバーラップ部分のやや東から始まると考えられる.一方,讃岐山脈南縁東部区間と同西部区間が連動するイベントが先発するモデルでは,続発イベントが始まると考えられる領域が石鎚山脈北縁区間と同西部区間それぞれの讃岐山脈南縁西部区間とのオーバーラップ区間のやや西に存在するため,両方を検討した.
断層面の境界条件には,Coulombの破壊基準とすべり弱化の摩擦構成則(Ida,1972;Andrews,1976)を仮定し,弾性体の運動方程式を差分法(Kase and Day,2006)で解くことによって,断層面上の破壊伝播過程を求めた.
最新イベントとして得られた連動パターンは,先発イベントの連動パターン,続発イベントの破壊開始点の位置と各区間の最新活動直前の地震後経過率によって,「石鎚山脈北縁区間と同西部区間が連動するイベントが先発し,讃岐山脈南縁東部区間と同西部区間が連動するイベントが連鎖」「石鎚山脈北縁区間と同西部区間が連動するイベントが先発し,続発するイベントはなし」「讃岐山脈南縁東部区間と同西部区間が連動するイベントが先発し,石鎚山脈北縁区間のみのイベント,更に石鎚山脈北縁西部区間のみのイベントが連鎖」「讃岐山脈南縁東部区間と同西部区間が連動するイベントが先発し,石鎚山脈北縁西部区間のみのイベント,更に石鎚山脈北縁区間のみのイベントが連鎖」,「讃岐山脈南縁東部区間と同西部区間が連動するイベントが先発し,続発するイベントはなし」の5パターンに整理される.このうち,1番目のパターンが変位履歴とも歴史史料とも調和的である.このパターンを得られるモデルは複数あるが,いずれも讃岐山脈南縁東部区間,同西部区間の地震後経過率が1未満のため,すべり量がやや小さめとなる.最新活動での地表でのすべり量分布を考慮すると,これらのモデルの中でも讃岐山脈南縁東部区間,同西部区間の地震後経過率がより大きいモデルがもっともらしいと考えられる.
謝辞:本研究は,文部科学省委託事業「長大な活断層帯等で発生する地震の評価手法の高度化に関する調査研究」として実施されました.
断層モデルと媒質モデル,広域応力場と摩擦係数,臨界すべり量は,加瀬ほか(2023,2024)と同じものを使用した.その上で,先発イベントのシミュレーションで得られた最終応力場を続発イベント直前の応力場とし,このときの剪断応力と動摩擦応力との差から求めた地震後経過率と先発イベントによる法線応力変化から,続発イベントの破壊開始領域を推測した.この条件下では,石鎚山脈北縁区間と同西部区間が連動するイベントが先発するモデルでは,続発イベントは讃岐山脈南縁西部区間の石鎚山脈北縁区間とのオーバーラップ部分のやや東から始まると考えられる.一方,讃岐山脈南縁東部区間と同西部区間が連動するイベントが先発するモデルでは,続発イベントが始まると考えられる領域が石鎚山脈北縁区間と同西部区間それぞれの讃岐山脈南縁西部区間とのオーバーラップ区間のやや西に存在するため,両方を検討した.
断層面の境界条件には,Coulombの破壊基準とすべり弱化の摩擦構成則(Ida,1972;Andrews,1976)を仮定し,弾性体の運動方程式を差分法(Kase and Day,2006)で解くことによって,断層面上の破壊伝播過程を求めた.
最新イベントとして得られた連動パターンは,先発イベントの連動パターン,続発イベントの破壊開始点の位置と各区間の最新活動直前の地震後経過率によって,「石鎚山脈北縁区間と同西部区間が連動するイベントが先発し,讃岐山脈南縁東部区間と同西部区間が連動するイベントが連鎖」「石鎚山脈北縁区間と同西部区間が連動するイベントが先発し,続発するイベントはなし」「讃岐山脈南縁東部区間と同西部区間が連動するイベントが先発し,石鎚山脈北縁区間のみのイベント,更に石鎚山脈北縁西部区間のみのイベントが連鎖」「讃岐山脈南縁東部区間と同西部区間が連動するイベントが先発し,石鎚山脈北縁西部区間のみのイベント,更に石鎚山脈北縁区間のみのイベントが連鎖」,「讃岐山脈南縁東部区間と同西部区間が連動するイベントが先発し,続発するイベントはなし」の5パターンに整理される.このうち,1番目のパターンが変位履歴とも歴史史料とも調和的である.このパターンを得られるモデルは複数あるが,いずれも讃岐山脈南縁東部区間,同西部区間の地震後経過率が1未満のため,すべり量がやや小さめとなる.最新活動での地表でのすべり量分布を考慮すると,これらのモデルの中でも讃岐山脈南縁東部区間,同西部区間の地震後経過率がより大きいモデルがもっともらしいと考えられる.
謝辞:本研究は,文部科学省委託事業「長大な活断層帯等で発生する地震の評価手法の高度化に関する調査研究」として実施されました.
