Presentation Information
[P08-20]Long-term simulation of earthquake cycles using a four-scale circular patch model
*Ryoko NAKATA1, Takane HORI2, Hideo AOCHI3,4, Satoshi IDE1 (1. Graduate School of Science, The University of Tokyo, 2. Research Institute for Marine Geodynamics (IMG), Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology (JAMSTEC), 3. Bureau de Recherches Géologiques et Miniéres, France (BRGM, France), 4. ENS-CNRS PSL, France)
【はじめに】
本研究では、観測から示唆されている経験則(GR則や余震に関する改良大森公式)や特徴(繰り返し地震・大地震と小地震の破壊開始過程の類似性)を再現するために、日本海溝沿いの三陸沖で発生する幅広いマグニチュードの地震に、マルチスケール円形パッチモデル [Ide and Aochi, 2005; Aochi and Ide, 2009; Ide and Aochi, 2013]を適用して、準動的な地震発生サイクルシミュレーションを行った。
【手法】
マルチスケール円形パッチモデルは、Ide and Aochi [2013]では、2011年東北地方太平洋沖地震の複雑な動的破壊過程を説明するために用いられたものを参考にした。本研究では、三陸沖に着目するため、最大規模の地震は、1896年明治三陸地震 (M = 8)である。気象庁カタログを基に、1923年1月~2023年3月に発生した、震源深さ60 km以浅、Mj = 5.6以上8.0未満の地震を規模別にグループ分けした。2番目に大きな規模のグループは、Mj = 7.1~7.6の6地震、3番目はMj = 6.6~7.2の9地震、4番目はMj = 5.6~6.5の362地震である。各グループの地震の震源域は、震央を中心とした同じ半径の円で近似するが、ここでは、グループ1・2・3・4でそれぞれ半径80・40・20・10 kmの円形パッチを配置した。本研究では、ほぼ同じ場所で同規模の地震が繰り返し発生していると仮定し、グループ2の地震を3つに減らした。またグループ4の地震は、近くで発生しているものをまとめて28パッチを配置した。
地震発生サイクルシミュレーションの数値計算は、先行研究 [Nakata et al., 2016; 2021; 2023]と同様の物理法則・初期値・境界条件・プレート境界面形状等で実施した。各グループのパッチでは、特徴的すべり量を円の半径に比例して変化させることで、空間的に不均質な階層構造を与えた。A-Bはモデル領域全体で一様に、すべり速度弱化とした。
【結果・議論】
2600年分を計算したところ、M8.15~8.29の地震が43回発生した。平均繰り返し間隔は約61年であった。M>8地震のセントロイドは43回ともほぼ同じ場所であったが、破壊開始点はそれぞれ異なっており、グループ1のパッチ内ではなく、グループ2, 3, 4のパッチのいずれかであった。これは、M>8地震が、小さいパッチから始まるcascade-up過程であることを意味している。また、多くのケースで、破壊開始点付近で発生したM<8地震の余効すべりがトリガーとなっていた。余震は、M>8地震のすべり域周辺に位置するグループ4のパッチで多く発生していた。得られた地震は、M>8地震だけでなく、M6前後の繰り返し地震を多く含み、全体を通したマグニチュードの頻度分布は、b値がおよそ1のGR則に従っていた。前震と余震分布は、妥当なc値、p値で改良大森公式におおまかに従っていた。孤立したパッチで発生するM6前後の繰り返し地震の発生間隔は、3~4年程度であったが、M>7.5地震の発生直後は2年程度まで短くなっていた。本研究の結果は、動的破壊過程だけではなく準動的な地震サイクルにおいても、様々な観測的特徴を再現するには、階層構造モデルが本質的に重要であることを示唆している。
本研究では、観測から示唆されている経験則(GR則や余震に関する改良大森公式)や特徴(繰り返し地震・大地震と小地震の破壊開始過程の類似性)を再現するために、日本海溝沿いの三陸沖で発生する幅広いマグニチュードの地震に、マルチスケール円形パッチモデル [Ide and Aochi, 2005; Aochi and Ide, 2009; Ide and Aochi, 2013]を適用して、準動的な地震発生サイクルシミュレーションを行った。
【手法】
マルチスケール円形パッチモデルは、Ide and Aochi [2013]では、2011年東北地方太平洋沖地震の複雑な動的破壊過程を説明するために用いられたものを参考にした。本研究では、三陸沖に着目するため、最大規模の地震は、1896年明治三陸地震 (M = 8)である。気象庁カタログを基に、1923年1月~2023年3月に発生した、震源深さ60 km以浅、Mj = 5.6以上8.0未満の地震を規模別にグループ分けした。2番目に大きな規模のグループは、Mj = 7.1~7.6の6地震、3番目はMj = 6.6~7.2の9地震、4番目はMj = 5.6~6.5の362地震である。各グループの地震の震源域は、震央を中心とした同じ半径の円で近似するが、ここでは、グループ1・2・3・4でそれぞれ半径80・40・20・10 kmの円形パッチを配置した。本研究では、ほぼ同じ場所で同規模の地震が繰り返し発生していると仮定し、グループ2の地震を3つに減らした。またグループ4の地震は、近くで発生しているものをまとめて28パッチを配置した。
地震発生サイクルシミュレーションの数値計算は、先行研究 [Nakata et al., 2016; 2021; 2023]と同様の物理法則・初期値・境界条件・プレート境界面形状等で実施した。各グループのパッチでは、特徴的すべり量を円の半径に比例して変化させることで、空間的に不均質な階層構造を与えた。A-Bはモデル領域全体で一様に、すべり速度弱化とした。
【結果・議論】
2600年分を計算したところ、M8.15~8.29の地震が43回発生した。平均繰り返し間隔は約61年であった。M>8地震のセントロイドは43回ともほぼ同じ場所であったが、破壊開始点はそれぞれ異なっており、グループ1のパッチ内ではなく、グループ2, 3, 4のパッチのいずれかであった。これは、M>8地震が、小さいパッチから始まるcascade-up過程であることを意味している。また、多くのケースで、破壊開始点付近で発生したM<8地震の余効すべりがトリガーとなっていた。余震は、M>8地震のすべり域周辺に位置するグループ4のパッチで多く発生していた。得られた地震は、M>8地震だけでなく、M6前後の繰り返し地震を多く含み、全体を通したマグニチュードの頻度分布は、b値がおよそ1のGR則に従っていた。前震と余震分布は、妥当なc値、p値で改良大森公式におおまかに従っていた。孤立したパッチで発生するM6前後の繰り返し地震の発生間隔は、3~4年程度であったが、M>7.5地震の発生直後は2年程度まで短くなっていた。本研究の結果は、動的破壊過程だけではなく準動的な地震サイクルにおいても、様々な観測的特徴を再現するには、階層構造モデルが本質的に重要であることを示唆している。
