Presentation Information
[P09-03]Foreshock Occurrence Rate and Location Characteristics Based on Different Definitions
*Motomasa Murata1, Satoshi Ide2, Ryosuke Ando2 (1. Department of Earth and Planetary Physics, Faculty of Science, the University of Tokyo, 2. Graduate School of Science, the University of Tokyo)
大地震の直前には近傍で発生する前震は, 地震の予測可能性に関わる現象として注目されている. しかし, 全ての地震に前震が伴うわけではない. 前震に関する先行研究は多数あるが, その多くで前震を伴う本震の割合は全本震中の10~50%程度とされている(Abercrombie & Mori, 1996 ; Reasenberg, 1999 など). ただし, 前震にはユニークな定義はなく,論文によってさまざまな定義が用いられている. そこで本研究では, 気象庁の震源カタログを用いて, 複数の定義に基づく前震についてそれぞれ解析し, 前震がどれほど普遍的な現象と言えるのか, 前震の定義の違いによって結果にどのような違いが生まれるのかを考察した. また, 解析結果をもとに日本における前震の特徴を調査する.
本研究では, 気象庁の1997/10〜2022/12の震源カタログに含まれる日本の浅い内陸地震を対象に, 以下の4つの方法で前震を定義し, 解析を行なった.
(1) Zaliapin & Ben Zion (2013)で提示された地震の時空間的クラスタリングを行い, 各クラスタ内で最大マグニチュードの地震を本震とした時, クラスタに本震より前に起きた地震が含まれていれば前震があったと定める.
(2) Trugman & Ross (2019)などで行われた方法を用いる. 具体的には, イベント間時間(IET)がガンマ分布に従うと仮定して背景地震活動率を求め, 99%有意水準で有意な地震活動率の上昇が直前に見られた本震を前震が伴っていたと定める.
(3) static triggeringの効果を考慮し, 影響度M0/r3 (M0 : 地震モーメント, r : 本震からの距離)の高い地震を各本震に対して抽出し, (2)と同様に活動率の有意な上昇があるものを前震ありと定める.
(4) 時空間ETASモデル(Ogata, 1998)を簡易的に導入し, transformed timeを用いる異常判定法(Ogata, 1992 ; Ogata, 2005など)によって有意な活動率の上昇を評価する. 具体的には, transformed timeと累積地震数は地震がポアソン過程で発生する場合は比例関係にある. 背景活動から予測される比例関係を基準に, 統計的に有意な活動率の上昇があるものを前震活動があったと定める.
解析の結果, 前震を伴う本震の割合は, (1)では約4割, (2)では1〜2割, (3)では1.5〜3割, (4)では1〜2.5割, という結果になり, 冒頭に挙げた先行研究での割合に整合的であった. したがって, 今回考えた前震の4つの定義方法では, いずれでも前震は普遍性の高い現象だと結論づけることはできなかった. 一方で, それぞれの手法には留意すべき点がある. (1)では本震震源と100km以上離れた地震が同じクラスタに含まれたために前震がある判定になったケースがある. (2)の方法ではマグニチュードの情報を用いずIETの情報のみを用いているため, 発生する地震のマグニチュードの範囲が大きな日本において適切な判定法か疑問が残る. (3)の方法は, (2)での疑問点を踏まえて検討したが, 抽出する影響度の閾値や前震期間とする期間の長さによって値が大きくばらつく他, パラメータ設定によっては統計的扱いに十分な地震数が得られない. (4)についても,パラメータ設定の任意性や統計的扱いの問題が生じてしまう.
また, 上記の前震の定義方法による差異も踏まえつつ, 日本の内陸地震における前震の特徴について議論する. 具体的には, 前震を伴う地震は, 比較的震源が浅いことが多い, 火山地域など地下の温度の比較的高いところに発生する, などの報告がある(Mogi, 1967; Chen and Shearer, 2016; Hirose et al. 2021). 本研究でも同様の傾向は確認される. 発表ではさらに詳細な分析を報告する予定である.
本研究では, 気象庁の1997/10〜2022/12の震源カタログに含まれる日本の浅い内陸地震を対象に, 以下の4つの方法で前震を定義し, 解析を行なった.
(1) Zaliapin & Ben Zion (2013)で提示された地震の時空間的クラスタリングを行い, 各クラスタ内で最大マグニチュードの地震を本震とした時, クラスタに本震より前に起きた地震が含まれていれば前震があったと定める.
(2) Trugman & Ross (2019)などで行われた方法を用いる. 具体的には, イベント間時間(IET)がガンマ分布に従うと仮定して背景地震活動率を求め, 99%有意水準で有意な地震活動率の上昇が直前に見られた本震を前震が伴っていたと定める.
(3) static triggeringの効果を考慮し, 影響度M0/r3 (M0 : 地震モーメント, r : 本震からの距離)の高い地震を各本震に対して抽出し, (2)と同様に活動率の有意な上昇があるものを前震ありと定める.
(4) 時空間ETASモデル(Ogata, 1998)を簡易的に導入し, transformed timeを用いる異常判定法(Ogata, 1992 ; Ogata, 2005など)によって有意な活動率の上昇を評価する. 具体的には, transformed timeと累積地震数は地震がポアソン過程で発生する場合は比例関係にある. 背景活動から予測される比例関係を基準に, 統計的に有意な活動率の上昇があるものを前震活動があったと定める.
解析の結果, 前震を伴う本震の割合は, (1)では約4割, (2)では1〜2割, (3)では1.5〜3割, (4)では1〜2.5割, という結果になり, 冒頭に挙げた先行研究での割合に整合的であった. したがって, 今回考えた前震の4つの定義方法では, いずれでも前震は普遍性の高い現象だと結論づけることはできなかった. 一方で, それぞれの手法には留意すべき点がある. (1)では本震震源と100km以上離れた地震が同じクラスタに含まれたために前震がある判定になったケースがある. (2)の方法ではマグニチュードの情報を用いずIETの情報のみを用いているため, 発生する地震のマグニチュードの範囲が大きな日本において適切な判定法か疑問が残る. (3)の方法は, (2)での疑問点を踏まえて検討したが, 抽出する影響度の閾値や前震期間とする期間の長さによって値が大きくばらつく他, パラメータ設定によっては統計的扱いに十分な地震数が得られない. (4)についても,パラメータ設定の任意性や統計的扱いの問題が生じてしまう.
また, 上記の前震の定義方法による差異も踏まえつつ, 日本の内陸地震における前震の特徴について議論する. 具体的には, 前震を伴う地震は, 比較的震源が浅いことが多い, 火山地域など地下の温度の比較的高いところに発生する, などの報告がある(Mogi, 1967; Chen and Shearer, 2016; Hirose et al. 2021). 本研究でも同様の傾向は確認される. 発表ではさらに詳細な分析を報告する予定である.
