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[P09-07]Comprehensive detection of shallow tectonic tremors using the DONET ocean-bottom seismic network in the Nankai Trough, Japan

*Kodai SAGAE1, Masayuki KANO2, Suguru YABE1, Takahiko UCHIDE1 (1. Geological Survey of Japan, AIST, 2. Graduate School of Science, Tohoku University)
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スロー地震は, 世界中のプレート沈み込み帯における巨大地震発生域の深部延長または浅部延長で発生している (Obara & Kato, 2016). 巨大地震に先行してスロー地震が発生した事例 (e.g., Kato et al., 2012) や巨大地震の前にスロー地震の発生間隔が短くなった事例 (e.g., Ozawa et al., 2025) が報告されていることから, スロー地震の常時モニタリングは, プレート沈み込み帯における応力の蓄積・解放過程を解明するうえで重要である.

スロー地震の一種であるテクトニック微動 (以降, 微動) は, 稠密な地震観測網によって観測され, 高い時空間分解能でモニタリングすることができる. 微動の検出には, エンベロープ相関法 (Obara, 2002) が広く使われている. しかし, 微動と通常地震の信号分類に課題があり, 日本海溝などの地震活動が活発な場所では多くの誤検出が発生する可能性があった. 我々はこの課題を解決するために, 機械学習を用いた微動の検出・震源決定法を開発し, 日本海溝の海域地震観測網 S-net に適用することで従来よりも約 7 倍多くの微動を検出できることを実証した (Sagae et al., 2025, JGR). また, 2024年7月から運用が始まった南海トラフ西端の N-net でも同手法で微動の検出に成功しており, 手法の汎用性が示唆された (Sagae et al., 2025, JpGU). 本発表では, 海域観測網 DONET でも同手法で微動を高精度に検出できることを示し, 検出された微動活動の特徴について報告する.

使用するデータは, DONET 51観測点における3成分速度波形の連続データで, 2014年10月から2025年7月までの期間を解析した.
本手法は, 以下の3要素から構成される (Sagae et al., 2025, JGR). まず, 機械学習モデル DiET が1分間のスペクトログラムを入力として, 地震・微動・ノイズの信号確率を出力する. 本研究では S-net で学習したモデルをそのまま DONET データに適用した. 次に, DiET の信号確率に基づき微動を検出した観測点をクラスタリングする (GrASP). 最後に, 4観測点以上を含むクラスタごとに, 3成分合成エンベロープの相互相関とエネルギー比を同時に最適化するような3次元グリッドサーチを行うことで震源決定を行った. 理論走時の計算には S波速度構造として JMA2020C を使用し, エネルギーの計算には Yabe et al. (2021) で推定されたサイト増幅と地震波減衰パラメータを用いた.

2020年12月から2021年1月に DONET1 周辺で起きた微動エピソード (Tamaribuchi et al., 2022) に着目すると, 本研究では従来よりも約 6 倍の微動の検出に成功した (22,683/3,542). また, 微動エネルギーの空間分布を調べると, プレート走向方向および傾斜方向の変化が明らかになった. 特に, 古銭洲海嶺に沿って走向方向に延びる高エネルギー分布は, 浅部超低周波地震の分布 (Takemura et al., 2025) と調和的であった. さらに, DONET1 のCノード直下では低エネルギー分布のスポットが存在し, Akuhara et al. (2020) で示されている非固結の堆積層が存在する領域とよく一致することがわかった. これらの結果からプレート境界における摩擦強度の不均質と詳細な地下構造との対応関係を議論できる可能性がある.

このように統一的な手法で微動検出を行えているのは, 微動波形の特徴 (e.g., 2-8 Hz が卓越, 長い継続時間) が場所によらず普遍的なものであり, 機械学習モデルがその特徴を学習できているからだと考えられる.

謝辞: 本研究では防災科研の DONET 波形データを使用しました. 本研究はJSPS科研費 JP21H05205, JP21H05203 の助成を受けたものです. 記して感謝申し上げます.