Presentation Information
[P09-09]Toward a Comprehensive Tectonic Tremor Catalog for the Shallow Nankai Trough by Exploring Seismic Signal Classification Features
*Akiko Toh TO1, Aitaro Kato2, Eiichiro Araki1 (1. Jamstec, 2. ERI Univ. of Tokyo)
プレート沈み込み帯の浅部では、「普通地震」と「微動」の少なくとも二種類の地震イベントが発生する。これらの時空間分布を継続的に把握することは、巨大地震発生域周辺のプレート境界における応力の蓄積・解放過程を理解するうえで重要である。南海トラフ浅部にはDONET(海底地震・津波観測監視システム)が展開され、直下で発生する微動や普通地震をM1未満の小さなものまで記録している。しかし、既存のカタログに掲載されるのは比較的大きなイベントに限られ、地震波形記録に見られるイベントの2~3割にとどまる。その一因は、小さなイベントほど波形に基づく普通地震と微動の判別が難しくなるためである。他方、小さなイベントを含む包括的カタログは、前述のモニタリングに有用であるだけでなく、微動と普通地震という異なる活動が生じる要因の解明にも資する。
本研究の目的は、DONETで記録されたイベントを網羅した、南海トラフ浅部の包括的な普通地震・微動カタログを作成することである。とくに小さなイベントの判別精度向上をめざし、波形特徴に基づく新しい分類指標を検討した。既知の特徴として、微動は①シグナル継続時間が長い、②10Hz以上の高周波成分に乏しい、③震央近傍で距離減衰が大きいことが挙げられる。従来は主として①にもとづく分類が行われてきたが、継続時間の短い微動も存在し高精度化が難しかった。そこで新たに④似た波形イベントの反復の有無、⑤水平動の粒子軌跡を指標として加え検討した。④・⑤は、微動震源近傍に強い散乱を生む短波長パッチ構造が局在する場合に有効と期待される(Toh et al., 2023)。
これまでに、2016年1年分のDONETデータにエンベロープ相関法(Mizuno&Ide,2019)を適用し、種類を問わず約25,000件のイベントを検出したうえで、指標①・②・④・⑤による分類を試みた。検出されるイベントには、対象とする浅部の普通地震・微動のほか、遠地地震やT相イベントも含まれる。各指標は以下のように求めた。①はエンベロープ相関法の出力を使用。②は2–5Hzと15–30Hzの最大振幅比を用いた。④は継続時間15秒以下の約13,000件に対し、Matched Filter Technique(Yamaguchi et al., 2019)で全組み合わせの相互相関係数を算出。⑤は水平動の粒子軌跡の長軸・短軸比を用いた。得られた結果として、④は微動と普通地震の分類に有効であることが分かった。すなわち、「④似た波形イベントが反復する地震」は「②高周波成分が卓越する地震」と対応し、普通地震として分類できる。⑤は、普通地震で線形に近い軌跡を示す傾向はあるものの例外も多く、微動との判別にはほぼ無効であった。ただし⑤はT相イベントの除去には有効であることが確認できた。
本研究の目的は、DONETで記録されたイベントを網羅した、南海トラフ浅部の包括的な普通地震・微動カタログを作成することである。とくに小さなイベントの判別精度向上をめざし、波形特徴に基づく新しい分類指標を検討した。既知の特徴として、微動は①シグナル継続時間が長い、②10Hz以上の高周波成分に乏しい、③震央近傍で距離減衰が大きいことが挙げられる。従来は主として①にもとづく分類が行われてきたが、継続時間の短い微動も存在し高精度化が難しかった。そこで新たに④似た波形イベントの反復の有無、⑤水平動の粒子軌跡を指標として加え検討した。④・⑤は、微動震源近傍に強い散乱を生む短波長パッチ構造が局在する場合に有効と期待される(Toh et al., 2023)。
これまでに、2016年1年分のDONETデータにエンベロープ相関法(Mizuno&Ide,2019)を適用し、種類を問わず約25,000件のイベントを検出したうえで、指標①・②・④・⑤による分類を試みた。検出されるイベントには、対象とする浅部の普通地震・微動のほか、遠地地震やT相イベントも含まれる。各指標は以下のように求めた。①はエンベロープ相関法の出力を使用。②は2–5Hzと15–30Hzの最大振幅比を用いた。④は継続時間15秒以下の約13,000件に対し、Matched Filter Technique(Yamaguchi et al., 2019)で全組み合わせの相互相関係数を算出。⑤は水平動の粒子軌跡の長軸・短軸比を用いた。得られた結果として、④は微動と普通地震の分類に有効であることが分かった。すなわち、「④似た波形イベントが反復する地震」は「②高周波成分が卓越する地震」と対応し、普通地震として分類できる。⑤は、普通地震で線形に近い軌跡を示す傾向はあるものの例外も多く、微動との判別にはほぼ無効であった。ただし⑤はT相イベントの除去には有効であることが確認できた。
