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[P13-03]Estimation of temporal changes in seismic wave velocity using coda wave interferometry with an accurately controlled seismic source ACROSS
*Chen Feng1, Toshiki Watanabe1, Ryoya Ikuta2, Koshun Yamaoka1, Shuhei Tsuji3 (1. Nagoya University, 2. Shizuoka University, 3. Japan Agency for Marine Earth Science and Technology)
本研究では、ACROSS(Accurately Controlled Routinely Operated Signal System)を波源としたコーダ波干渉法を用いて地すべり地域における地震波速度の時間変化を観測した。ACROSSは、精密に制御された地震波を長時間継続して送信することにより地下構造の時間変化を捉えることを目的とした震源システムである。本研究では静岡県森町に設置したACROSS震源装置から約3 km離れた地すべり地域に複数の地震計を組み合わせたアレイを展開し、2020年10月から2021年8月まで観測を実施した。記録されたACROSS信号を既知の震源関数でデコンボリューションすることにより得られる伝達関数(周波数帯域を限定したグリーン関数と等価)を用いて、P波およびS波の測定を通じた地震波特性の変化検出が可能である。この手法により、地震波の到達に同期した地震波速度の変化(Ikuta et al., 2002)や地震波異方性や減衰の変化(Ikuta & Yamaoka, 2004; Tsuji et al., 2022)、長期間の地震波速度の経年変化(Tsuji et al., 2018)が明らかにされてきた。さらに、降雨に伴う地下水位変化(Suzuki et al., 2021)や気温変化(Saiga et al., 2006)などの気象効果による地震波速度の変化や表面波速度の季節変化(Ikeda et al., 2017)も検出されている。従来のACROSS研究では主に直達P波またはS波の解析に焦点が当てられてきたが、媒質の変化に対してより高い感度を持つ可能性があるコーダ波についてはほとんど未検討であった。本研究では、ACROSSの連続的で安定した信号生成能力とコーダ波干渉法を統合することにより、速度変化の高分解能な時間モニタリングを試みた。速度変化を計算するために、まず1日ごとに伝達関数を平均化して日伝達関数を算出した。次に、観測期間中の全ての利用可能な日伝達関数を平均化して参照伝達関数を求めた。伝達関数から適切な時間窓を適用してコーダ波部分を抽出し、日々の伝達関数と参照伝達関数に対してコーダ波干渉法を適用することで地震波速度の時間変化を得た。鉛直方向成分と水平方向成分のそれぞれについて得られた速度変化と環境要因、特に降水量と気温との比較解析を行った結果、異なる時間スケールの変動があることが明らかになった。長期変動については、複数の環境要因の影響を受けている可能性があるが、本研究では主に降水の影響に焦点を当てて解析を行った。一方、短期変動では、地震波速度の急激な低下とその後の緩やかな回復パターンが観測され、これらは主に降雨と同期していることが確認された。この降雨に伴う短期的な速度変化は、降雨開始から若干の遅延を伴って現れる特徴を示した。この遅延応答は、降雨が地下水位の変動とそれに続く間隙圧の拡散を通じて地震波速度に影響を及ぼすことを示唆しており、間隙圧が岩石内部に拡散する過程に要する時間を反映している。これらの変動メカニズムをより定量的に理解するため、観測前および観測期間中の降水データを用いた間隙圧拡散モデル(Talwani et al., 2007; Rivet et al., 2015)を適用し、観測された速度変化を二つの異なる拡散パラメータにおける応答として表現した。この拡散モデルによって推測された速度変化は、観測された長期および短期の速度変化を良好に再現することが確認された。二つの拡散パラメータの違いを深度による応答の違いと考えると、コーダ波内に含まれる異なる地震波の種類に起因し、表面波によって浅部の短期変動を、実体波によって深部の長期変動を検出しているものと考えられる。本手法はACROSSが生成するコーダ波の新たな利用の可能性を示すものであり、火山地域、浅部断層帯、二酸化炭素回収・貯留サイトなど、様々な地質学的環境での応用可能性を提供する。

