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[P22-02]Optimization of subfault segmentation for fault-slip inversion

*Fumiaki TOMITA1 (1. IRIDeS, Tohoku University)
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断層すべり分布推定では,基本的に断層面上に小断層を均一に配置し,観測量の逆計算により各小断層でのすべり量を求める.その際,正則化条件として空間的に一様な平滑化を与えることが一般的である.しかし,特に空間的に不均質な観測点配置となることの多い測地データを用いた場合,推定されるすべりの空間解像度は高い不均質性を持ち(e.g., Tomita et al., 2018),その空間解像度が高ければ弱い平滑化・低ければ強い平滑化を必要とするため,空間的に一様な平滑化条件は不適当となる場合がある.この問題の解決として,小断層の分割を空間解像度に合わせて最適化するアプローチが考案されている(e.g., Bahnhart & Lohman, 2010; Kimura et al., 2019).しかし,最適な小断層分割を1パターンだけ求める場合がほとんどであり,その小断層分割自体の不確定性は考慮されてこなかった.
一方で,小断層分割の最適化によるアプローチに類似する手法として,断層面をボロノイ分割し,その分割状態を支配するボロノイ核の配置をReversible-jump MCMC(RJ-MCMC)法によってサンプリングすることで,様々な小断層分割を行なった状態でのすべり分布をサンプリングする手法が開発された(Tomita et al., 2021; Kubo et al., 2022).しかし,開発された手法は,どの研究もすべりパラメータを事前に定めた範囲で拘束する打ち切り一様分布が仮定されている.この条件は,すべりパラメータsについての事前分布 p(s)=(1/Δs)^K が与えられ,小断層の数 Kの増加に伴い事前に定めたすべりの範囲Δsの逆数の影響が大きくなることを意味し,小断層の数がなるべく小さくなる条件がΔsに依存した形で現れることになる.そのため,未知パラメータ数を減らすL0正則化スパースモデリングに近い条件であり,上記の空間解像度に応じたすべり分布の適切性は得られず,かつ未知パラメータ数を減らす条件は事前に定めたすべりの範囲に依存するという欠点があった.

本研究では,上記のTomita et al. (2021)によるボロノイ分割RJ-MCMC法の課題を解決するために,空間解像度に応じた分割を実施可能な事前分布の導入とすべりパラメータの範囲依存性をなくす解析上の工夫を実施した.
まず,パラメータの空間解像度に応じたボロノイ分割が行われる条件として,行列式点過程(DPP: Determinant Point Process)事前分布(Kojima & Komaki, 2016)を与えた. DPP事前分布は,カーネル行列(グリーン関数行列)を用いた情報行列の行列式を最大化する条件に相当する.情報行列は,モデル分散共分散行列に相当するため,その行列式の最大化はモデル分散共分散行列の対角成分の総積の最大化と非対角成分の最小化を意味する.モデル分散共分散行列は,ボロノイ分割によってMCMCのループ毎に異なる次元の行列であり,その対角成分の最大化は対角成分の数を増やしつつ,個々の対角成分が同程度になることで達成される.一方で,非対角成分の最小化は互いに相関のあるパラメータを結合することで達成される.そのため,本問題におけるDPP事前分布は,各パラメータのモデル誤差が同程度であり,かつパラメータ間の相関が小さい条件となり,空間解像度を適切に反映することになる.
次に,ボロノイ分割条件が事前に設定したすべりパラメータの範囲に依存することへの解決として,Becerra-Carreno et al. (2022)によるすべりパラメータの折りたたみ手法の拡張を行なった.Becerra-Carreno et al. (2022)では,パラメータの範囲を拘束しない正規分布に従うすべりパラメータを導入し,その絶対値(パラメータをゼロを軸に折りたたむ)を尤度計算(理論値の計算)に用いることで,実質的にすべりの非負拘束を与える条件を考案した.この手法の利点は,元々のすべりパラメータ自体には正規分布以外の事前分布が与えられないことにある.本研究では,この手法を拡張し,すべりパラメータを両側から折りたたむことですべりパラメータの範囲を制約できるようにした.なお,すべりパラメータ自体には,ラプラス分布による事前分布を与えることで,L1正則化に類する拘束条件を与えた.これは,上記のDPP事前分布におけるボロノイ分割下での地震時すべり分布推定を想定しており,多くのモデルパラメータがゼロになりつつも,数少ないボロノイセルでの顕著なすべりを過剰に抑制しないように裾野の広い分布を与えるためである.

本研究では,上記の事前分布を用いたRJ-MCMC法を2024年日向灘地震の地震時すべり・余効すべり分布の推定(Itoh, 2025)に適用した.その結果,観測点が密に存在する陸に近い領域では分割されたボロノイセルの面積が小さく,観測点が存在しない海域では分割されたボロノイセルの面積が大きいことが確認された.また,推定されたすべり分布も先行研究と比較して不自然なものではないことを確認した.このように,今回導入した2つ技法は(主に測地データを用いた)すべり分布推定に有用であり,今後の更なる発展が期待できる.