Presentation Information
[P22-05]Detection of small displacements due to fault slip from InSAR and GNSS data by deep learning: Application to the 2019 Hyuga-nada earthquake
*Yutaro OKADA1, Yo Fukushima1 (1. International Research Institute of Disaster Science, Tohoku University)
断層すべり現象の発生メカニズムや断層の物理特性の解明を目指す上で、断層すべりによる地表変位の検出は非常に重要である。1990年代以降、全球衛星測位システム(GNSS)や衛星に搭載された合成開口レーダー(SAR)等、人工衛星を用いた測地観測により、大地震や断層における地震間のひずみ蓄積、スロースリップ(SSE)といった、断層すべりに関連する地殻変動が観測されてきた。さらに2010年代以降、GNSSデータを用いた微小なSSEの検出手法が、数多く提案されている(e.g., Nishimura et al., 2013)。一方、InSARデータはGNSSデータと比べ、継続期間の短い過渡的な微小変動の検出に適さないと従来考えられてきたが、Rouet-Leduc et al. (2021)は、SAR干渉法(InSAR)データに深層学習モデルを適用することで、SSEによるミリメートルスケールの変位が検出できることを示した。このように、微小変動検出手法は、GNSS・SARそれぞれのデータに対し発展してきたが、本来、SARとGNSSは時空間解像度の異なる相補的な観測手法である。そこで本研究では、上述の2つの観測データを用いた面的な微小変位場抽出手法を、深層学習の1手法である畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて開発した。また、実観測データに対する提案手法の有効性を確認するために、2019年5月に発生したMw 6.2の日向灘地震前後のデータに手法の適用を行った。
本研究で開発した手法は、畳み込みによりInSARデータを処理するパート、同様の処理によりGNSSデータを処理するパート、および上述の2つのパートで得られた特徴マップを畳み込みにより結合するパートで構成される。また、均質半無限弾性体中の矩形断層すべり(Okada, 1992)により計算した真の地表変位に、モデルを仮定して作成したノイズを足し合わせた人工データをモデルの訓練に用いた。本研究では、InSARデータの人工ノイズとして、標高に相関するノイズ(cf. 小澤・清水, 2010)、長波長ノイズ、空間相関を持つランダムノイズ(Ghayournajarkar & Fukushima, 2022)、およびデコリレーションノイズを仮定した。また、GNSS座標時系列のノイズを、ホワイトノイズとランダムウォークノイズの和で表現した(cf. Fukuda et al., 2008)。
訓練済みモデルのノイズ低減および空間補間性能が実用上有効であることを、人工データを用いて確認した後(cf. 岡田・福島, JpGU2025年度連合大会)、2019年日向灘地震前後のデータに対して適用した。本研究では、LiCSARの解析したSentinel-1の干渉画像(Lazecký et al., 2020)と、GEONET観測局のF5.0解(Takamatsu et al., 2023)を解析に使用した。これらのデータは、モデル適用前に、一定のノイズ低減を施した(岡田・上田, 2025; Wdowinski et al., 1997; Yu et al., 2018)。
実データに学習済みモデルを適用した結果を図1a-cに示す。各成分において、沖合の低角逆断層すべりとして妥当な変位パターンが得られた。また、得られた変位場がどの程度断層すべりで説明できるかを確認するために、グリッドサーチによる矩形断層モデル推定(cf. Okada & Nishimura, 2025)を実施した。推定された断層モデルから計算された変位は、入力としたノイズ低減後の変位をよく再現している(図1d-i)。このことから、本研究で開発したモデルは、実データ解析においても、十分なノイズ低減精度を有していると考えられる。今後は、推定された断層モデルと、これまでに日向灘地域で発生した大規模な海溝型地震やスロー地震との関係を調査するとともに、本モデルをさらに発展させ、より規模の小さい現象の検出等に用いることを計画している。
謝辞
本研究を実施するにあたり、公益財団法人上廣倫理財団および科研費(24K07165)の支援を受けた。記して感謝申し上げる。
本研究で開発した手法は、畳み込みによりInSARデータを処理するパート、同様の処理によりGNSSデータを処理するパート、および上述の2つのパートで得られた特徴マップを畳み込みにより結合するパートで構成される。また、均質半無限弾性体中の矩形断層すべり(Okada, 1992)により計算した真の地表変位に、モデルを仮定して作成したノイズを足し合わせた人工データをモデルの訓練に用いた。本研究では、InSARデータの人工ノイズとして、標高に相関するノイズ(cf. 小澤・清水, 2010)、長波長ノイズ、空間相関を持つランダムノイズ(Ghayournajarkar & Fukushima, 2022)、およびデコリレーションノイズを仮定した。また、GNSS座標時系列のノイズを、ホワイトノイズとランダムウォークノイズの和で表現した(cf. Fukuda et al., 2008)。
訓練済みモデルのノイズ低減および空間補間性能が実用上有効であることを、人工データを用いて確認した後(cf. 岡田・福島, JpGU2025年度連合大会)、2019年日向灘地震前後のデータに対して適用した。本研究では、LiCSARの解析したSentinel-1の干渉画像(Lazecký et al., 2020)と、GEONET観測局のF5.0解(Takamatsu et al., 2023)を解析に使用した。これらのデータは、モデル適用前に、一定のノイズ低減を施した(岡田・上田, 2025; Wdowinski et al., 1997; Yu et al., 2018)。
実データに学習済みモデルを適用した結果を図1a-cに示す。各成分において、沖合の低角逆断層すべりとして妥当な変位パターンが得られた。また、得られた変位場がどの程度断層すべりで説明できるかを確認するために、グリッドサーチによる矩形断層モデル推定(cf. Okada & Nishimura, 2025)を実施した。推定された断層モデルから計算された変位は、入力としたノイズ低減後の変位をよく再現している(図1d-i)。このことから、本研究で開発したモデルは、実データ解析においても、十分なノイズ低減精度を有していると考えられる。今後は、推定された断層モデルと、これまでに日向灘地域で発生した大規模な海溝型地震やスロー地震との関係を調査するとともに、本モデルをさらに発展させ、より規模の小さい現象の検出等に用いることを計画している。
謝辞
本研究を実施するにあたり、公益財団法人上廣倫理財団および科研費(24K07165)の支援を受けた。記して感謝申し上げる。

