Presentation Information
[P22-16]Consideration for establishing visual evaluation criteria for estimating fault planes using gaze information
*Yoshihiro Sato1, Satoru Fukayama2, Takahiko Uchide2 (1. Tokyo City University, 2. National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST))
大規模な地震が発生すると、震源域では本震に続き多数の余震が発生する。これらの余震を含めた震源分布は、地震を引き起こした断層面あるいは応力集中領域に沿って密集する。近年、クラスタリング手法を用いて、震源分布から断層面構造を客観的かつ自動的に推定するアプローチが数多く提案されている(e.g., Ouillon et al., 2008; Piegari et al., 2022) 。クラスタリングを利用した手法では、震源分布に適用することで走向・傾斜といった断層面パラメータを推定する。これらの手法によって、微細な断層構造や複雑に分岐する断層構造をデータに基づいて明らかにすることが可能である。しかし、これらのクラスタリング手法では、どのクラスタを「断層面」と見なす基準や、あるいは手法自体のパラメータ設定(例えばDBSCANにおける探索半径や最小データ数)に結果が大きく依存するという課題を抱えている。
クラスタリング手法の優位性の評価では、各手法が推定した断層面パラメータを比較することが最も直接的なアプローチと言える。しかし、この比較は断層面パラメータの種類によって、客観的な評価が困難になると言える。まず、走向と傾斜といった断層面の「方向」を示す断層面パラメータについては、手法間で比較的安定して比較可能な指標となる。多くの手法では、抽出された震源クラスタに対して主成分分析を適用し、法線ベクトルによって、断層面の方向を決定するため、走向と傾斜はクラスタリングされた震源群全体の全体的な形状から決定される。一方で、断層面の位置(緯度経度)、幅 、長さといった「位置」や「広がり」を示す断層面パラメータは、クラスタリング手法のアルゴリズムやパラメータ設定に極めて敏感であり、客観的な比較を困難にする。これらの断層面パラメータが、クラスタに属する最も外側の震源によって算出されることに起因する。例えば、DBSCANのような密度ベースの手法では、クラスタを形成するための密度閾値(探索半径と最小構成点数)をわずかに変更するだけで、これまでノイズとして扱われていた震源がクラスタに取り込まれたり、逆にクラスタの末端部分がノイズとして分離されたりする。この境界の変動は、クラスタ全体の向き(走向・傾斜)には大きな影響を与えないが、クラスタを囲む矩形の頂点となる震源の位置を大きく変えるため、幅、長さ、そして位置を大幅に変動させる。
本研究では、震源分布からの断層面の検討は、可視化された震源の三次元的な配列や形状を地震学や地質構造に関する専門家によって判読されてきた (古澤 ほか, 2008)ことから、人間の高度な視覚認識能力を評価の基準として導入し、人間が目視によって明確に「面構造」として認識する震源分布を一種の正解データとして構築することで、各クラスタリング手法を断層面パラメータに対して定量的で客観的な評価手法の構築を目的とする。
本発表では、視覚認識能力として視線情報の定量的な取り込みを実装し、hypoDD法(Waldhauser and Ellsworth, 2000)によって再決定された茨城県北部の震源分布より、視線の注目震源データの取得を実施した。
検証実験では、視線情報を取り込むため視線トラッキング装置を用いる。ディスプレイに表示された3次元の震源データに対し、被験者に面構造を探索させる。この時、視線トラッキングによって、どの震源が面構造を成していて、人が注目しているのかを記録する。しかし、常に視線の位置をトラッキングするため、ディスプレイ上のどこを見ていても必要な震源分布として抽出してしまうことになるため、本研究では注視された箇所に対応する投票空間を用意し、注視継続時間を基に指数関数的に重みを付けた投票を実施する。これにより、面構造を「探すために移動する視線」と「実際に面構造を認識して長く注視する視線」との間に、投票値の明確な差が生じさせる。各震源の投票数を定めた基準によって抜粋することで、人による断層面推定された震源分布構造を抽出することが可能となる。
検証の結果、「探すために移動する視線」と「実際に面構造を認識して長く注視する視線」として、投票空間の差が得られていることが確認された。しかし、2次元ディスプレイ上に表示された3次元震源ビューワでは、手前と奥の震源どちらを注目しているのか判断ができないため、視線上すべての震源を注視したとして投票空間に投票をされていた。注視によって正確な面構造を抽出するためには工夫が必要であることが確認された。今後、3次元表示可能なディスプレイや利き目に関する視線位置などを考慮し、震源分布の高度な可視化と視覚的評価基準構築を目指す。
謝辞
本研究では、気象庁一元化処理検測値を使用した。本研究は、文部科学省の情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト(STAR-Eプロジェクト)JPJ010217の助成を受けたものです。
クラスタリング手法の優位性の評価では、各手法が推定した断層面パラメータを比較することが最も直接的なアプローチと言える。しかし、この比較は断層面パラメータの種類によって、客観的な評価が困難になると言える。まず、走向と傾斜といった断層面の「方向」を示す断層面パラメータについては、手法間で比較的安定して比較可能な指標となる。多くの手法では、抽出された震源クラスタに対して主成分分析を適用し、法線ベクトルによって、断層面の方向を決定するため、走向と傾斜はクラスタリングされた震源群全体の全体的な形状から決定される。一方で、断層面の位置(緯度経度)、幅 、長さといった「位置」や「広がり」を示す断層面パラメータは、クラスタリング手法のアルゴリズムやパラメータ設定に極めて敏感であり、客観的な比較を困難にする。これらの断層面パラメータが、クラスタに属する最も外側の震源によって算出されることに起因する。例えば、DBSCANのような密度ベースの手法では、クラスタを形成するための密度閾値(探索半径と最小構成点数)をわずかに変更するだけで、これまでノイズとして扱われていた震源がクラスタに取り込まれたり、逆にクラスタの末端部分がノイズとして分離されたりする。この境界の変動は、クラスタ全体の向き(走向・傾斜)には大きな影響を与えないが、クラスタを囲む矩形の頂点となる震源の位置を大きく変えるため、幅、長さ、そして位置を大幅に変動させる。
本研究では、震源分布からの断層面の検討は、可視化された震源の三次元的な配列や形状を地震学や地質構造に関する専門家によって判読されてきた (古澤 ほか, 2008)ことから、人間の高度な視覚認識能力を評価の基準として導入し、人間が目視によって明確に「面構造」として認識する震源分布を一種の正解データとして構築することで、各クラスタリング手法を断層面パラメータに対して定量的で客観的な評価手法の構築を目的とする。
本発表では、視覚認識能力として視線情報の定量的な取り込みを実装し、hypoDD法(Waldhauser and Ellsworth, 2000)によって再決定された茨城県北部の震源分布より、視線の注目震源データの取得を実施した。
検証実験では、視線情報を取り込むため視線トラッキング装置を用いる。ディスプレイに表示された3次元の震源データに対し、被験者に面構造を探索させる。この時、視線トラッキングによって、どの震源が面構造を成していて、人が注目しているのかを記録する。しかし、常に視線の位置をトラッキングするため、ディスプレイ上のどこを見ていても必要な震源分布として抽出してしまうことになるため、本研究では注視された箇所に対応する投票空間を用意し、注視継続時間を基に指数関数的に重みを付けた投票を実施する。これにより、面構造を「探すために移動する視線」と「実際に面構造を認識して長く注視する視線」との間に、投票値の明確な差が生じさせる。各震源の投票数を定めた基準によって抜粋することで、人による断層面推定された震源分布構造を抽出することが可能となる。
検証の結果、「探すために移動する視線」と「実際に面構造を認識して長く注視する視線」として、投票空間の差が得られていることが確認された。しかし、2次元ディスプレイ上に表示された3次元震源ビューワでは、手前と奥の震源どちらを注目しているのか判断ができないため、視線上すべての震源を注視したとして投票空間に投票をされていた。注視によって正確な面構造を抽出するためには工夫が必要であることが確認された。今後、3次元表示可能なディスプレイや利き目に関する視線位置などを考慮し、震源分布の高度な可視化と視覚的評価基準構築を目指す。
謝辞
本研究では、気象庁一元化処理検測値を使用した。本研究は、文部科学省の情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト(STAR-Eプロジェクト)JPJ010217の助成を受けたものです。
