Presentation Information
[P23-09]Continuous tremor found in seismograms observed near Akusekijima Island
*Takanori MATSUZAWA1, Youichi Asano1, Hiroshi Yakiwara2, Shuichiro Hirano2, Yukihiro Nakatani2 (1. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, 2. Kagoshima University)
トカラ列島の悪石島付近ではたびたび群発地震活動が発生しており,直近の活動としては2025年6月21日から群発地震活動が開始した.防災科研が鹿児島大学と共同で悪石島に設置している広帯域地震計の記録を確認したところ,10~20分程度の間継続する連続的な微動がみられた.この微動についての速報的な解析結果を以下報告する.
鹿児島大学と防災科研は共同して悪石島に広帯域地震計(Trillium120PH)を鹿児島大学の既設観測点に併設し,2014年10月から臨時観測を実施している(浅野他,2014, 地震学会秋季大会).2025年の群発活動開始以降の上下動地震計記録について,60秒の時間窓でスペクトログラムを確認したところ,0.3~0.8Hz付近に複数のピークを伴って卓越する微動が10~20分程度の間連続してみられた.また同様な特徴をもつ地震波は,気象庁が宝島や諏訪瀬島に設置している短周期地震計においても確認することができ,観測点付近の局所的なノイズでないと考えられる.
こうした微動の発生状況を調べるため,2021年1月1日から2025年8月14日までの,悪石島周辺の上記3点の地震計記録についてスペクトログラムを目視確認し,暫定的な活動の検出を試みた.その結果,計29の微動を検出し,2022年3~8月頃,2023年7~10月頃,2025年7月4~15日頃には微動活動の活発化がみられた.さらに,約半数の14の微動が2025年7月の約11日間にみられた.これらの結果から,この微動自体は今回の群発活動以前から,エピソディックに発生していた現象であることが明らかになった.今回の群発活動期間中の活発化は,他と比べ短期間かつ顕著なものであったことが示唆される.一方,2021年以降の期間においては,2021年12月に群発地震活動が発生しているが,これに伴う微動の活発化はみられない.そのため微動の活発化は,必ずしも群発地震活動に対応するものでないことも示唆される.ただし,微動の振幅は脈動が比較的大きな時期のノイズレベルとほぼ同等であるため,検出能力は海洋波浪や他の地震活動状況等に大きく依存する.活動状況の把握および議論においてはこうした点も考慮し,さらなる検討が必要である.
2021年以降確認された微動のうち,最も顕著なものは2025年7月4日20時台の微動であった.この微動について,悪石島の広帯域地震計記録(TOA)に加え,気象庁の宝島(TAKARA)および諏訪瀬島(V.SWAN)の地震計記録の波形について,0.3~0.8Hzのバンドパスフィルターを適用した波形の比較を行った.TOAとTAKARAのエンベロープ形状は類似しており,時間もほぼ同様かTOAがやや早い傾向がみられる.V.SWANにおいては,これら2つの観測点に比べ若干エンベロープ形状が異なるとともに,波群の到来がやや遅い傾向がみられる.これらの結果から,微動源は宝島と悪石島の間にあることが示唆される.
この微動は,低周波に複数の周波数ピークを持つ地震波が連続的に励起されていることから,通常の地震やプレート沈み込みに伴う微動とは異なる特徴をもつ.むしろ,火山地域で見られる微動に近い特徴を示し,流体の関連する現象である可能性が考えられる.今後発生メカニズムの解明に向け,微動源位置の定量的評価や,地震波形の詳細な解析を通じ,さらなる検討が必要である.
謝辞:悪石島に設置の防災科学技術研究所と鹿児島大学大学院理工学研究科附属南西島弧地震火山観測所との合同による臨時広帯域地震観測点の記録を使用しました.この観測点では東京大学地震研究所共同研究プログラムの援助による衛星通信機器を使用しております.また,気象庁の地震計記録を使用しました.本研究の一部は科研費補助金(JP21H05206)によって補助されました.
鹿児島大学と防災科研は共同して悪石島に広帯域地震計(Trillium120PH)を鹿児島大学の既設観測点に併設し,2014年10月から臨時観測を実施している(浅野他,2014, 地震学会秋季大会).2025年の群発活動開始以降の上下動地震計記録について,60秒の時間窓でスペクトログラムを確認したところ,0.3~0.8Hz付近に複数のピークを伴って卓越する微動が10~20分程度の間連続してみられた.また同様な特徴をもつ地震波は,気象庁が宝島や諏訪瀬島に設置している短周期地震計においても確認することができ,観測点付近の局所的なノイズでないと考えられる.
こうした微動の発生状況を調べるため,2021年1月1日から2025年8月14日までの,悪石島周辺の上記3点の地震計記録についてスペクトログラムを目視確認し,暫定的な活動の検出を試みた.その結果,計29の微動を検出し,2022年3~8月頃,2023年7~10月頃,2025年7月4~15日頃には微動活動の活発化がみられた.さらに,約半数の14の微動が2025年7月の約11日間にみられた.これらの結果から,この微動自体は今回の群発活動以前から,エピソディックに発生していた現象であることが明らかになった.今回の群発活動期間中の活発化は,他と比べ短期間かつ顕著なものであったことが示唆される.一方,2021年以降の期間においては,2021年12月に群発地震活動が発生しているが,これに伴う微動の活発化はみられない.そのため微動の活発化は,必ずしも群発地震活動に対応するものでないことも示唆される.ただし,微動の振幅は脈動が比較的大きな時期のノイズレベルとほぼ同等であるため,検出能力は海洋波浪や他の地震活動状況等に大きく依存する.活動状況の把握および議論においてはこうした点も考慮し,さらなる検討が必要である.
2021年以降確認された微動のうち,最も顕著なものは2025年7月4日20時台の微動であった.この微動について,悪石島の広帯域地震計記録(TOA)に加え,気象庁の宝島(TAKARA)および諏訪瀬島(V.SWAN)の地震計記録の波形について,0.3~0.8Hzのバンドパスフィルターを適用した波形の比較を行った.TOAとTAKARAのエンベロープ形状は類似しており,時間もほぼ同様かTOAがやや早い傾向がみられる.V.SWANにおいては,これら2つの観測点に比べ若干エンベロープ形状が異なるとともに,波群の到来がやや遅い傾向がみられる.これらの結果から,微動源は宝島と悪石島の間にあることが示唆される.
この微動は,低周波に複数の周波数ピークを持つ地震波が連続的に励起されていることから,通常の地震やプレート沈み込みに伴う微動とは異なる特徴をもつ.むしろ,火山地域で見られる微動に近い特徴を示し,流体の関連する現象である可能性が考えられる.今後発生メカニズムの解明に向け,微動源位置の定量的評価や,地震波形の詳細な解析を通じ,さらなる検討が必要である.
謝辞:悪石島に設置の防災科学技術研究所と鹿児島大学大学院理工学研究科附属南西島弧地震火山観測所との合同による臨時広帯域地震観測点の記録を使用しました.この観測点では東京大学地震研究所共同研究プログラムの援助による衛星通信機器を使用しております.また,気象庁の地震計記録を使用しました.本研究の一部は科研費補助金(JP21H05206)によって補助されました.
