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[P23-11]Features of Seismic Activity near the Tokara Islands in 2025 from the F-net Moment Tensor Catalog

*Takeshi KIMURA1, Takayuki MIYOSHI1 (1. NIED)
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九州南方の種子島及び屋久島と奄美大島の間に位置するトカラ列島下には、南西諸島海溝からフィリピン海プレートが沈み込んでいる.トカラ列島では,しばしば活発な火山活動や群発的な地震活動が生じてきた.トカラ列島のうち,北から悪石島,小宝島,宝島と連なる島々の周辺で,2025年6月21日頃から群発的な地震活動が活発化した.防災科研では気象庁マグニチュード3.5程度以上を対象にモーメントテンソル解析を実施し(福山・他,1998; Kubo et al. 2002),カタログとしてwebで公開している(以下,MT解カタログ).本研究では,MT解カタログに基づき2025年トカラ列島近海で生じた地震活動の特徴を議論する.
6月21日から7月31日までの期間で,MT解カタログにはトカラ列島近海で発生した地震が計235含まれており,最大規模の地震は7月2日15:26に発生したMW5.7の地震であった.一連の活動域は,東北東-西南西の約40kmに及ぶ.以下,得られたMT解の特徴についてまとめる.
地震活動は,6月21日頃から小宝島の北方で活発化し,発生した地震のMT解の多くは北西―南東方向に伸張軸を持つ型であった(以下,活動A).6月24日頃にはいったん静穏化したが,6月29日頃から震源域を東方に移動させながら再度活発化した(以下,活動B).活動Bでは,多くの地震の伸張軸は北西―南東方向であったが,活動域の東端付近では南北方向に伸張軸を持つ地震も複数見られた.また,7月2日と3日には最初の活動域から西方に約10km離れた宝島の北~北西方向の海域で活発化し,主に南北方向に伸張軸を持つ地震が発生していた(以下,活動C).
2025年のトカラ列島近海の地震活動におけるMT解の特徴の一つとして,CLVD成分が卓越した地震が多かったことが挙げられる.そこで,モーメントテンソルの非等方成分のダブルカップルからのずれを表すε(=-λ2/max(|λ1|,|λ3|))の特徴を調べた(例えば,Giardini, 1983; 1984).ここで,λ1~λ3はモーメントテンソルの固有値(λ1≧λ2≧λ3)である.εは-0.5~0.5の範囲をとり,0でダブルカップル型,-0.5で圧縮力,0.5で伸張力が卓越するCLVD型をそれぞれ示す.MT解カタログでは等方成分は0を仮定してモーメントテンソルを推定している.2025年のトカラ列島近海の地震活動では,これまでのMT解カタログ全体のεの値の傾向と比べて絶対値の大きな地震が多かった.特に活動の前半に当たる7月上旬までの期間でこの傾向は顕著である.より詳細に見ると,活動Aでは正の値を持つものが多かったが,活動Bでは正負両方にばらついていた.また,活動Cでは地震数は25と少ないものの負の値を持つものが多かった.CLVD成分が卓越する理由として,震源断層が単一の平面でないことや流体の寄与等を反映している可能性が考えられる.また,地震が実際にはダブルカップル型の地震であるにも関わらず,MT解を推定する際に仮定する地下構造モデルが不適切であることで見かけ上生じている可能性も挙げられる.トカラ列島近海でこれまでに発生してきた地震のεの値は,2025年の活動と同様に絶対値が大きい傾向が見られ,この可能性は否定できない.今後,より詳細な検討が必要である.