Presentation Information

[P25-01]Active foreshocks of large/great earthquakes in the southern Kuril Trench

*Tomoya HARADA1, Takeo ISHIBE2,3 (1. N/A, 2. Association for the Development of Earthquake Prediction, 3. The Institute of Statistical Mathematics)
PDF DownloadDownload PDF
2025年7月29日(UTC)に発生したカムチャツカ地震(マグニチュード(M)8.8)の9日前の7月20日には,本震の震源の約30 km北東でM7.4のプレート間地震が発生していた.本研究による暫定的な検討結果によれば,M7.4の地震の余震活動は同地震のすべり域より南南西に約100 km程度まで広がっており,また,M8.8地震の本震は,M7.4地震のすべり域の南端付近に位置することが分かった.
 2025年カムチャツカ地震と同様に,千島海溝南部で発生する(巨)大地震には発生前に顕著な地震活動を伴うものがある(以下,顕著な前震活動と呼ぶ).原田・他(2015JpGU)は,1950〜2010年に当該地域で発生したM>7.5の地震(15地震)に対して顕著な前震活動を伴ったかどうかを調べた.発生前に震源域内で数個程度の地震を伴った(巨)大地震があったとしても,定常的な地震活動との区別が難しいので,数10個以上の多数の地震を伴う(巨)大地震を対象とした.顕著な前震活動を伴った(巨)大地震は,7地震[2006年シムシル島沖のプレート間地震(Mw8.3)とそれに続く2007年のアウターライズ地震(Mw8.1),1963年択捉島沖地震(Mw8.6),1991年ウルップ島沖の地震(Mw7.6),1995年択捉島沖の地震(Mw7.9),1978年択捉島沖の地震(Mw7.8),1969年北海道東方沖地震(Mw8.2)]である.一方,顕著な前震を伴わなかった(巨)大地震は,8地震[1973年根室半島沖地震(Mw7.8),1952 年と2003年の十勝沖地震(Mw8.1,Mw8.1)といったプレート間地震,1958 年択捉島沖地震(Mw8.4), 1978年国後水道の地震(M 7.8), 1993 釧路沖地震(M 7.7), 1994年北海道東方沖地震(Mw8.3)といったスラブ内地震]である.
 顕著な前震活動に対して,活動度の時間推移を調べるためのETASモデル(Epidemic Type Aftershock Sequence;Ogata, 1988,1992)による解析,前震の空間分布の時間推移を調べるための前震・本震・余震の震源分布の比較,前震活動域と本震の破壊域との関係を調べるために前震の震源分布と本震のすべり量分布との比較を行った結果,以下のことが分かった.
 顕著な前震活動は,マグニチュードの大きな地震とその余震によって構成され,本震直前における顕著な活発化や静穏化などは見られなかった.また,2007年シムシル島沖のアウターライズ地震に先行した前震は,2006年のアウターライズ域での余震活動で説明でき,本震直前の活発化や静穏化は見られなかった.顕著な前震活動は,時間と共に一定の方向へ広がる傾向にあった.しかしながら,拡大の方向は地震により様々であり,本震直前に拡大速度が顕著に変化することもなかった.前震活動域は本震のすべりが大きかった領域とは棲み分けているようである.2007年シムシル島沖のアウターライズ地震に関しても,地震時のすべりが大きかった場所では,前震活動(2006年のプレート間巨大地震の余震活動)の活動度は低かった.今後,2025年カムチャツカ地震も含めた詳細な検討を行う予定である.