Presentation Information
[S01-01]Extension of auto-focusing method to three-component seismic array data for cataloging S-wave microseisms
*Kiwamu NISHIDA1, Ryota Takagi2 (1. Earthquake Research Institute, The University of Tokyo, 2. Research Center for Prediction of Earthquakes and Volcanic Eruptions, Graduate School of Science, Tohoku University)
地震計は、周期1〜20秒の帯域において、海洋波浪起源のランダムな背景地震波動場を記録していることが知られている。これらの波動場は microseisms (脈動)として知られており、周期10〜20秒の帯域はprimary microseismsと、周期1〜10秒の帯域をsecondary microseismsと呼ばれている。Secondary microseismsの励起は、海洋波浪間の非線形相互作用 (いわゆるLonguet-Higginsメカニズム)で説明され、近年の海洋波浪モデリングの進展により(e.g., Ardhuin et al., 2011)、励起の定量的な議論が現実的となってきた。
近年、脈動の励起を明らかにするために、脈動実体波の観測が注目されている 。実体は地球深部を伝播するため、表面波に比べて伝播が単純であり、励起源の情報をより保持していると考えられる。我々は、脈動P波のcentroid 位置のカタログ化のため、auto-focusing 法を開発し、2004-2020年のグローバルな脈動P波のcentroid カタログを作成した (Nishida and Takagi, 2022)。励起メカニズムを理解するためには脈動S波の情報も重要であるが(e.g., Nishida and Takagi, 2016)、観測例は個別の事例研究にとどまっている感は否めない。そこで、本研究では、auto-focusing法を3成分データに拡張し、polarization解析を併せて実施することにより、S波脈動のカタログ化をめざす。
Auto-focusing法では、slowness ベクトルと波面の曲率の両方の情報を利用している。 この手法では、まず、beamforming法を適用し、アレー中心でのslowness ベクトルの初期値を、slowness ベクトルに平行なradial成分、直交するtransverse成分、鉛直成分の3成分それぞれについて推定する。
次に、slowness ベクトルを固定した状態で、beam power が最大となるよう波面の曲率を変化させることで、曲率を推定する。これらの値をアレー中心での初期値とし、摂動理論に基づいて、slownessベクトルと波面の曲率の値を反復的に更新していく。更新に際しては、更新されたslowness ベクトルに基づきradial成分とtransverse成分を逐次再計算する。波面の曲率から、アレイ中心と励起源の重心位置との距離を推定することができる。波面の曲率はslownessよりも水平方向の不均質に敏感なため、推定精度は悪くなる。
解析には、Hi-net 速度計3成分の連続データ (2004-2024年) のデータを用いた。機器特性は時間領域のdeconvolution filter を用い (Maeda et al. 2010)、ロガー起源のノイズは Takagi et al. (2015)に基づき、テンプレートを計算し直し差し引いた。連続データを1024秒毎のsegmentに分割し、0.1-0.25Hzの帯域で計算を行った。約6時間ごとにslowness ベクトルと波面の曲率を推定し、その値に基づいてradial成分およびvertical成分の共分散行列を計算することで、振動方向を推定した。Slowness, 震央距離の情報と併せて、脈動P波、脈動SV/SH波の分類を行った。また、推定されたslowness ベクトルを初期値とし、アレー中心から3次元ray tracingすることで、脈動P波、脈動S波の重心位置を推定する。推定に際して、global なVp, VsモデルとしてGyPSUM (Simmons et al., 2010)を使用した。
脈動SV波、脈動SHの重心位置を推定した結果、脈動P波と同様に、海洋波浪の活動が活発な地域での励起が顕著であった。これらの結果は、海洋波浪の活動が脈動S波の励起に寄与していることを示唆している。想定通り、脈動SV波の振幅は脈動SH波に比べて大きかったが、検出数はむしろ脈動SVの方が少ない結果となった。これは、脈動P波の方が振幅が大きくマスクしている可能性と、S-PL波のように、S波がP波とカップルして伝播を複雑にしている可能性が考えられる。脈動SV波の検出については今後詳細な検討が必要であろう。
近年、脈動の励起を明らかにするために、脈動実体波の観測が注目されている 。実体は地球深部を伝播するため、表面波に比べて伝播が単純であり、励起源の情報をより保持していると考えられる。我々は、脈動P波のcentroid 位置のカタログ化のため、auto-focusing 法を開発し、2004-2020年のグローバルな脈動P波のcentroid カタログを作成した (Nishida and Takagi, 2022)。励起メカニズムを理解するためには脈動S波の情報も重要であるが(e.g., Nishida and Takagi, 2016)、観測例は個別の事例研究にとどまっている感は否めない。そこで、本研究では、auto-focusing法を3成分データに拡張し、polarization解析を併せて実施することにより、S波脈動のカタログ化をめざす。
Auto-focusing法では、slowness ベクトルと波面の曲率の両方の情報を利用している。 この手法では、まず、beamforming法を適用し、アレー中心でのslowness ベクトルの初期値を、slowness ベクトルに平行なradial成分、直交するtransverse成分、鉛直成分の3成分それぞれについて推定する。
次に、slowness ベクトルを固定した状態で、beam power が最大となるよう波面の曲率を変化させることで、曲率を推定する。これらの値をアレー中心での初期値とし、摂動理論に基づいて、slownessベクトルと波面の曲率の値を反復的に更新していく。更新に際しては、更新されたslowness ベクトルに基づきradial成分とtransverse成分を逐次再計算する。波面の曲率から、アレイ中心と励起源の重心位置との距離を推定することができる。波面の曲率はslownessよりも水平方向の不均質に敏感なため、推定精度は悪くなる。
解析には、Hi-net 速度計3成分の連続データ (2004-2024年) のデータを用いた。機器特性は時間領域のdeconvolution filter を用い (Maeda et al. 2010)、ロガー起源のノイズは Takagi et al. (2015)に基づき、テンプレートを計算し直し差し引いた。連続データを1024秒毎のsegmentに分割し、0.1-0.25Hzの帯域で計算を行った。約6時間ごとにslowness ベクトルと波面の曲率を推定し、その値に基づいてradial成分およびvertical成分の共分散行列を計算することで、振動方向を推定した。Slowness, 震央距離の情報と併せて、脈動P波、脈動SV/SH波の分類を行った。また、推定されたslowness ベクトルを初期値とし、アレー中心から3次元ray tracingすることで、脈動P波、脈動S波の重心位置を推定する。推定に際して、global なVp, VsモデルとしてGyPSUM (Simmons et al., 2010)を使用した。
脈動SV波、脈動SHの重心位置を推定した結果、脈動P波と同様に、海洋波浪の活動が活発な地域での励起が顕著であった。これらの結果は、海洋波浪の活動が脈動S波の励起に寄与していることを示唆している。想定通り、脈動SV波の振幅は脈動SH波に比べて大きかったが、検出数はむしろ脈動SVの方が少ない結果となった。これは、脈動P波の方が振幅が大きくマスクしている可能性と、S-PL波のように、S波がP波とカップルして伝播を複雑にしている可能性が考えられる。脈動SV波の検出については今後詳細な検討が必要であろう。
