Presentation Information

[S01-03]Tidal strain dependence in seismic attenuation

*Hayato Tero1, Junichi Nakajima1 (1. Institute of Science Tokyo)
PDF DownloadDownload PDF
潮汐による微小な応力変動は,微小地震やスロースリップ等を誘発しうることが多くの研究で示唆されている.これは地球潮汐によって断層面のせん断応力が増加する場合や,海洋潮汐によって断層面の法線応力が低下する場合に顕著である.また,潮汐により岩石のひずみがわずかに変動する(~10-8)ため,特に堆積層などの浅い領域で地震波速度や地震波減衰(Q-1)にも微小な潮汐応答があるとの報告がある(例えば,Takano & Nishida, 2023; Yamamura et al., 2003).一方で,深いほど岩石は変形しにくくなるため,そのような潮汐応答の検出は困難になる.特に,深さ数キロ以深でのQ-1の潮汐応答を報告した研究は存在しない.本研究では,これまで研究の報告がない地殻・最上部マントルにおけるQ-1の潮汐ひずみ依存性を定量化することを目的とする.

 本研究では2008年6月14日から2011年3月10日までに発生した岩手・宮城内陸地震の余震(M3-5)を解析対象とした.まずは気象庁一元化震源カタログを初期震源として,Double-Difference法を用いた相対震源決定を行った.続いて各地震のコーナー周波数(fc)を推定するためにSコーダ波のスペクトル比法を適用した.
 潮汐ひずみは,解析領域において水平方向に0.2°間隔,深さ方向に10 km間隔のグリッドにて,TidalStrain.2(https://www.mri-jma.go.jp/Dep/sei/fhirose/research/TidalStrain.html)を用いて計算した.各グリッドにおける潮汐ひずみを線形補間することにより,各地震・観測点ペアの潮汐ひずみの波線平均を推定した.
 地震波減衰と潮汐ひずみの相関を調査するために,まずは震源間距離≦3 kmである地震ペアを選択し,震央距離≧50 kmの同一観測点における P 波初動のスペクトル比を計算した.次に,Sコーダ波を用いて別途推定したfcに基づき震源スペクトルを補正した後,2つの地震の平均走時で割り,震源距離の影響を取り除いた.最後に,推定された潮汐ひずみの差(Δε (10-8))が特定の範囲内(0≦Δε≦2, 1≦Δε≦3, ...)に収まる全てのスペクトル比をスタックして,観測スペクトル比を計算した.このような異なるΔεに対するQ-1の差(ΔQ-1)を算出するために,観測スペクトル比に対して理論式をフィッティングした.

 得られた結果は,ΔεとΔQ-1に正の相関があることを示している.一般に,岩石のひずみが増加すると減衰も増加することから,この結果は従来の地球物理学的観測と整合的である.今後の展望として,二重スペクトル比法を用いてQ-1の絶対値を推定することで,地球潮汐に起因する減衰の揺らぎを定量化する.さらに,2003年の宮城県沖地震の余震等も同様に解析することで,地殻・最上部マントルにおける減衰の潮汐応答を比較・検証する.