Presentation Information
[S02-09]Seismic waveform analysis using horizontal and vertical array observations and deep borehole observations using DAS
*Shohei NAITO1, Hiromitsu Nakamura1, Hiroyuki Fujiwara1, Ken Sakurai2, Haruhiko Suzuki2, Chisato Konishi2, Naoto Ogawa2, Masaki Takebe3 (1. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, 2. OYO Corporation, 3. Mitsubishi Electric Software Corporation)
DAS(Distributed Acoustic Sensing;分布型音響センシング)は光ファイバケーブルを利用して、発信した光パルスの後方散乱(レイリー散乱)を観測することにより、ケーブル内に生じた微小な歪を観測する技術である。この技術を利用することにより、ケーブル軸方向に沿った振動を数m間隔で測定することが、約50~100 kmの長大区間で可能となっており、資源探査やインフラ状態監視等、様々な用途に活用可能なセンシング技術として世界的に注目されている。
我々はこれまで、つくば市内の試験場、国道沿い、河川堤防、海底ケーブル、深層ボーリング抗等に敷設されている光ファイバを用いたDASの試験観測を実施しており、大きく以下の3つの観点から有効であることを示してきた。
・DASにより取得された常時微動記録をCMP-SPAC法により解析することにより、数mの分解能で位相速度やS波速度構造の推定が可能である。従って、ケーブルと地表面とのカップリング状態が良く、S/N比が高いデータが得られれば既存の微動アレイ探査よりも効率的に、ケーブルに沿った長大区間の地下探査に活用可能である。
・ケーブルと地表面とのカップリング状態がよければ、水平方向あるいは鉛直方向に敷設された光ファイバケーブルにより、付近で発生したマグニチュード2~3程度の地震や、遠地で発生した地震によって生じたP波、S波の検知に活用可能である。
・ケーブルに沿った地域(道路など)の人間活動(主に車両の走行)によるノイズを検知することが可能であり、交通量の把握等に活用可能である。
本研究では、これまで蓄積された知見を深め、地下構造探査や地震観測の分野においてDAS観測の有効性を実証可能なデータを取得する観点から、以下の実験を行い、その結果について報告・考察する。
(1)試験場における鉛直・水平アレイ観測
つくば市内の試験場(応用地質つくば事業所)において、令和7年8月から9月にかけて地表から水平方向および深さ約200mの鉛直ボーリング孔中に敷設した、それぞれ長さ100~200mの光ファイバケーブルにインテロゲータを接続し、水平および鉛直のアレイ観測を1週間以上実施し、常時微動および人工加振記録の観測を行う。また、取得された観測記録を用いて各観測データの相互相関関数を計算する。なお、計測に用いるインテロゲータは、Sintela社製ONYX petaである。人工加振には、約10Hz~200Hzの周波数範囲で加振できるバイブレータ(IVI Corp. Mini Vib T-15000)を用いて地表面の起振を行い、水平方向および鉛直方向の光ファイバケーブルにより観測記録を取得する。また、光ファイバケーブルに沿ってジオフォン10地点、孔中にハイドロフォン(チャンネル間隔約1m)を設置して、DASと同時に起振記録を取得し、それぞれを用いた相互相関関数を計算し、推定されたS波速度構造モデルの比較を行い、3次元速度構造モデル構築への適用性を検証する(添付図)。
(2)深層ボーリング抗における地震波形解析
令和5年度にHi-net真岡観測施設の深層ボーリング坑(約1648m)内で実施したDAS計測データを解析し、ノイズレベルの時間変化、地震観測記録のスペクトル解析、地震波干渉法によるグリーン関数解析等の計算を実施し、観測されたデータの特徴について分析する。また、上記データを用いて、データ内に含まれるノイズを除去し、地震波形を抽出する手法を開発する。ノイズ除去の手法としては、フィルタリングやウェーブレットなど周波数領域における特徴抽出、波形の相関性(相関係数、センブランス解析など)、機械学習による分類(CNNなど)、統計的手法(スタッキング、空間平均など)等の中から適していると考えられる複数の手法を試行し、比較検討を行う。また、リアルタイムでのDASデータ活用を想定し、ノイズ除去後の波形に対して、P波到達予測時刻を検出する手法を開発する。検出方法については、時系列データに対し短時間ウィンドウによる移動平均(STA)および長時間ウィンドウによる移動平均(LTA)の比など、複数の特徴量を比較検討し、設定したしきい値を超過する時刻を、P波の到達時刻として検出する。
謝辞:本研究は、内閣府特定重要技術研究推進事業の助成を受けたものである。
我々はこれまで、つくば市内の試験場、国道沿い、河川堤防、海底ケーブル、深層ボーリング抗等に敷設されている光ファイバを用いたDASの試験観測を実施しており、大きく以下の3つの観点から有効であることを示してきた。
・DASにより取得された常時微動記録をCMP-SPAC法により解析することにより、数mの分解能で位相速度やS波速度構造の推定が可能である。従って、ケーブルと地表面とのカップリング状態が良く、S/N比が高いデータが得られれば既存の微動アレイ探査よりも効率的に、ケーブルに沿った長大区間の地下探査に活用可能である。
・ケーブルと地表面とのカップリング状態がよければ、水平方向あるいは鉛直方向に敷設された光ファイバケーブルにより、付近で発生したマグニチュード2~3程度の地震や、遠地で発生した地震によって生じたP波、S波の検知に活用可能である。
・ケーブルに沿った地域(道路など)の人間活動(主に車両の走行)によるノイズを検知することが可能であり、交通量の把握等に活用可能である。
本研究では、これまで蓄積された知見を深め、地下構造探査や地震観測の分野においてDAS観測の有効性を実証可能なデータを取得する観点から、以下の実験を行い、その結果について報告・考察する。
(1)試験場における鉛直・水平アレイ観測
つくば市内の試験場(応用地質つくば事業所)において、令和7年8月から9月にかけて地表から水平方向および深さ約200mの鉛直ボーリング孔中に敷設した、それぞれ長さ100~200mの光ファイバケーブルにインテロゲータを接続し、水平および鉛直のアレイ観測を1週間以上実施し、常時微動および人工加振記録の観測を行う。また、取得された観測記録を用いて各観測データの相互相関関数を計算する。なお、計測に用いるインテロゲータは、Sintela社製ONYX petaである。人工加振には、約10Hz~200Hzの周波数範囲で加振できるバイブレータ(IVI Corp. Mini Vib T-15000)を用いて地表面の起振を行い、水平方向および鉛直方向の光ファイバケーブルにより観測記録を取得する。また、光ファイバケーブルに沿ってジオフォン10地点、孔中にハイドロフォン(チャンネル間隔約1m)を設置して、DASと同時に起振記録を取得し、それぞれを用いた相互相関関数を計算し、推定されたS波速度構造モデルの比較を行い、3次元速度構造モデル構築への適用性を検証する(添付図)。
(2)深層ボーリング抗における地震波形解析
令和5年度にHi-net真岡観測施設の深層ボーリング坑(約1648m)内で実施したDAS計測データを解析し、ノイズレベルの時間変化、地震観測記録のスペクトル解析、地震波干渉法によるグリーン関数解析等の計算を実施し、観測されたデータの特徴について分析する。また、上記データを用いて、データ内に含まれるノイズを除去し、地震波形を抽出する手法を開発する。ノイズ除去の手法としては、フィルタリングやウェーブレットなど周波数領域における特徴抽出、波形の相関性(相関係数、センブランス解析など)、機械学習による分類(CNNなど)、統計的手法(スタッキング、空間平均など)等の中から適していると考えられる複数の手法を試行し、比較検討を行う。また、リアルタイムでのDASデータ活用を想定し、ノイズ除去後の波形に対して、P波到達予測時刻を検出する手法を開発する。検出方法については、時系列データに対し短時間ウィンドウによる移動平均(STA)および長時間ウィンドウによる移動平均(LTA)の比など、複数の特徴量を比較検討し、設定したしきい値を超過する時刻を、P波の到達時刻として検出する。
謝辞:本研究は、内閣府特定重要技術研究推進事業の助成を受けたものである。

