Presentation Information
[S04-02]Mantle Structure Beneath the Japan Sea and its Surrounding Areas Revealed by Multiscale Global Tomography (2)
*Takumi Sato1, Genti Toyokuni1, Dapeng Zhao1 (1. Research Center for Prediction of Earthquakes and Volcanic Eruptions, Graduate School of Science, Tohoku University)
日本海の拡大は,東アジア東縁部の太平洋スラブ上に存在するBig Mantle Wedge (BMW)の活動の一環として説明される (e.g. Zhao et al., 2004).BMWはマントル遷移層で停滞する沈み込んだ太平洋スラブからの脱水とマントルウェッジ内のコーナーフローによって誘発された熱く湿ったマントル上昇流によって形成される.日本海における地震波トモグラフィー研究では,マントル遷移層の上の上部マントル内に広く低地震波速度域が存在していることが確認され,BMWの存在が裏付けられた.この低地震波速度域は中国にある長白山などのプレート内火山の地下に続いており,沈み込み帯から遠く離れた東アジア内陸部の火山活動やプレート内地震の発生を説明可能である.
一方,日本海とその周囲については,十分な地震観測点数がないため,陸域と比較して地下構造に不明な点が多い.こうした中,この地域の地震波トモグラフィー研究ではこれまで,主に近地地震と遠地地震を用いたリージョナルトモグラフィーが行われてきた.リージョナルトモグラフィーでは,計算領域外で発生した遠地地震のデータを用いることで領域内のデータ不足を補うことができるが,相対走時が用いられるため,領域外の不均質構造が領域内の結果に影響を及ぼしてしまう問題があった.一方,絶対走時のみを用いるグローバルトモグラフィーでは,領域外の仮定を必要としないが,領域が大きいため分解能が相対的に落ちるデメリットがある.
佐藤ほか (2025, JpGU) では,マルチスケールグローバルトモグラフィー法 (Zhao et al., 2017) を本地域に適用することで,本地域下の上部マントルの詳細な構造を求めた.この手法は,対象領域のみグリッドを細かく配置することで,リージョナルトモグラフィーと同等の分解能を実現できる.また中国東北部に展開されたNECESSArray観測網のデータを用いることで,分解能を向上させた.本発表ではさらに、(1) NECESSArrayデータの厳選,(2) Synthetic resolution test (SRT) による分解能評価,を行い,結果の信頼度を高めた.
求めた主な結果は次の通りである.(1) 日本海溝から沈み込む太平洋スラブが,地震波高速度域として明瞭にイメージングされた.沈み込んだ太平洋スラブは,深さ約440 kmで滞留し,切れ目なく西へと伸びている.(2) 日本海下の深さ100 kmにおける速度構造が北緯約40°を境に南北で変化していることが確認された.特に南側ではBMWを反映すると思われる明瞭な低速度域がみられた.(3) ユーラシア大陸下の上部マントルにスポット状の高速度域が確認された.これは高密度化した大陸リソスフェアのデラミネーション等を反映している可能性がある.
またリージョナルトモグラフィーを用いた先行研究では,沈み込むスラブの高速度異常を先験情報として与えることが多く行われてきた.しかしマルチスケールグローバルトモグラフィーでは,これまで初期速度モデルとして1次元速度構造(IASP91)のみが用いられていた.本研究では,対象領域内に先行研究 (e.g., Hayes et al., 2018) で明らかにされているスラブの情報を初期モデルとして入れ,初期モデルにおける先験情報の有無による結果の比較を行う予定である.
一方,日本海とその周囲については,十分な地震観測点数がないため,陸域と比較して地下構造に不明な点が多い.こうした中,この地域の地震波トモグラフィー研究ではこれまで,主に近地地震と遠地地震を用いたリージョナルトモグラフィーが行われてきた.リージョナルトモグラフィーでは,計算領域外で発生した遠地地震のデータを用いることで領域内のデータ不足を補うことができるが,相対走時が用いられるため,領域外の不均質構造が領域内の結果に影響を及ぼしてしまう問題があった.一方,絶対走時のみを用いるグローバルトモグラフィーでは,領域外の仮定を必要としないが,領域が大きいため分解能が相対的に落ちるデメリットがある.
佐藤ほか (2025, JpGU) では,マルチスケールグローバルトモグラフィー法 (Zhao et al., 2017) を本地域に適用することで,本地域下の上部マントルの詳細な構造を求めた.この手法は,対象領域のみグリッドを細かく配置することで,リージョナルトモグラフィーと同等の分解能を実現できる.また中国東北部に展開されたNECESSArray観測網のデータを用いることで,分解能を向上させた.本発表ではさらに、(1) NECESSArrayデータの厳選,(2) Synthetic resolution test (SRT) による分解能評価,を行い,結果の信頼度を高めた.
求めた主な結果は次の通りである.(1) 日本海溝から沈み込む太平洋スラブが,地震波高速度域として明瞭にイメージングされた.沈み込んだ太平洋スラブは,深さ約440 kmで滞留し,切れ目なく西へと伸びている.(2) 日本海下の深さ100 kmにおける速度構造が北緯約40°を境に南北で変化していることが確認された.特に南側ではBMWを反映すると思われる明瞭な低速度域がみられた.(3) ユーラシア大陸下の上部マントルにスポット状の高速度域が確認された.これは高密度化した大陸リソスフェアのデラミネーション等を反映している可能性がある.
またリージョナルトモグラフィーを用いた先行研究では,沈み込むスラブの高速度異常を先験情報として与えることが多く行われてきた.しかしマルチスケールグローバルトモグラフィーでは,これまで初期速度モデルとして1次元速度構造(IASP91)のみが用いられていた.本研究では,対象領域内に先行研究 (e.g., Hayes et al., 2018) で明らかにされているスラブの情報を初期モデルとして入れ,初期モデルにおける先験情報の有無による結果の比較を行う予定である.
