Presentation Information
[S05-02]Subsurface Thermal Structure around the Kussharo Caldera, Hokkaido
*Sei Nakaya1, Hiroaki Takahashi2, Mako Ohzono2, Daisuke Oka3, Takahiro Suzuki3, Noritoshi Okazaki3, Fujio Akita4 (1. Graduate School of Science, Hokkaido University, 2. Faculty of Science, Hokkaido University, 3. Hokkaido Research Organization, 4. AQUA Geotechno Company, Limited)
北海道東部に位置する屈斜路カルデラは、2.5万年から3.5万年前に形成され、1.5万年以降にも火砕流噴火や複数の溶岩ドーム形成などの活動があり、現在も噴気活動や火山性膨張が見られるなど(Ohzono et al., 2025)、火山活動が活発な地域である。また、内陸地震の発生頻度が高い地域の一つであり、1919年以降にマグニチュード6を超える中規模地震が4回発生している。GNSS観測によると、北海道東部は千島海溝での沈み込みによる北西南東方向の広域的な圧縮場となっているが、このカルデラ周辺では短縮速度が特に大きいことが知られている(Okazaki et al., 2021)。この原因として、Itoh et al. (2019)やItoh et al. (2021)は、屈斜路カルデラを含む北海道東部の火山フロント下リソスフェアの不均質粘弾性構造を検討している。リソスフェアの粘弾性特性を変化させる要因の1つとして、地温勾配や地殻熱流量が考えられる。本研究では、屈斜路カルデラ周辺での地下温度構造の空間分布を調査する。
データとして、屈斜路カルデラ周辺で掘削された地熱調査井や温泉掘削井の温度検層データを利用する。まず、全ての井戸について深さ方向の温度プロファイルを作成した。最も深い井戸は2000 mである。温度プロファイルのうち、伝導的な地温上昇を示すものを選択し、直線近似することで地温勾配を求めた。井戸浅部に上昇流や下降流などの地下水流動の影響が見られる場合には、その部分を除いて直線近似を行った。その結果、全85井のうち70井で地温勾配を得た。次に、地温勾配を外挿し地温が350°Cに達する深さを推定した。350℃に達する深さは、先行研究で脆性-延性境界の温度と考えられている温度である。また、地温勾配とひずみ速度を利用して地殻の強度プロファイルを作成した。
得られた地温勾配は最大で21.7 ℃/100 m、最小2.3℃/100 mであり、地温勾配が大きな空間不均質性を持つことが示された。この地温勾配を用いて求められた350℃深度は1.25 kmから11.8 kmであり、空間的に脆性層厚が変化している可能性が示唆された。全般的にはカルデラ内部の地温勾配が高く周辺に比べ脆性層が薄くなる傾向が見られたが、カルデラ内の地温勾配の空間分布は複雑であり、隣接している井戸でも地温勾配が大きく異なる事例も見られた。井戸ごとに求められた脆性層厚をクリギング法で空間補間し空間分布を推定し震源分布と比較したところ、マグニチュード6を超える地震は脆性層厚が変化している領域で発生していた可能性が示唆された。
謝辞:JOGMEC・弟子屈町・小清水町から井戸検層データの提供を受けた。
データとして、屈斜路カルデラ周辺で掘削された地熱調査井や温泉掘削井の温度検層データを利用する。まず、全ての井戸について深さ方向の温度プロファイルを作成した。最も深い井戸は2000 mである。温度プロファイルのうち、伝導的な地温上昇を示すものを選択し、直線近似することで地温勾配を求めた。井戸浅部に上昇流や下降流などの地下水流動の影響が見られる場合には、その部分を除いて直線近似を行った。その結果、全85井のうち70井で地温勾配を得た。次に、地温勾配を外挿し地温が350°Cに達する深さを推定した。350℃に達する深さは、先行研究で脆性-延性境界の温度と考えられている温度である。また、地温勾配とひずみ速度を利用して地殻の強度プロファイルを作成した。
得られた地温勾配は最大で21.7 ℃/100 m、最小2.3℃/100 mであり、地温勾配が大きな空間不均質性を持つことが示された。この地温勾配を用いて求められた350℃深度は1.25 kmから11.8 kmであり、空間的に脆性層厚が変化している可能性が示唆された。全般的にはカルデラ内部の地温勾配が高く周辺に比べ脆性層が薄くなる傾向が見られたが、カルデラ内の地温勾配の空間分布は複雑であり、隣接している井戸でも地温勾配が大きく異なる事例も見られた。井戸ごとに求められた脆性層厚をクリギング法で空間補間し空間分布を推定し震源分布と比較したところ、マグニチュード6を超える地震は脆性層厚が変化している領域で発生していた可能性が示唆された。
謝辞:JOGMEC・弟子屈町・小清水町から井戸検層データの提供を受けた。
