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[S06-01]New image of seismic structure in the Kuril Trench axial zone off Nemuro, Hokkaido, Japan, revealed from an acoustic FWI

*Ryosuke AZUMA1, Gou Fujie2, Ryota Hino1, Shuichi Kodaira2 (1. RCPEVE, Graduate School of Science, Tohoku Univ., 2. JAMSTEC)
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北海道東部の太平洋沖で発生した17世紀千島海溝巨大地震は、2011年東北地方太平洋沖地震と同様に、プレート境界浅部の大すべりを伴ったことが指摘されている。我々は、このような海溝近傍の地震時大すべりの発生条件を明らかにするために、震源域東部に位置する根室沖セグメントにおいて取得された屈折法・反射法地震探査データの精査を進めている。既往の走時解析 (既往Vpモデル) および反射法解析から、海溝から30-60 kmの範囲のプレート境界上に、互層状の反射帯 (Reflective zone, RZ; Yamaguchi et al., 2024) が存在し、プレート境界反射波とともに負の反射極性を示すことから高間隙圧状態が示唆され、その背景Vpの急低下、すなわち剛性率の低下が明らかになった (Azuma et al., 2025)。この特徴的な構造は千島海溝地震の深部固着域と浅部すべり断層の境界部に対応し、津波地震的なすべり様式の発現に必要な条件のひとつであると考えられる。しかし、既往モデルの空間分解能の限界のために、Vpに基づく上盤内の流体分布やRZの実態解明には至っていない。そこで本研究では、走時解析より高分解能な音響波全波形インバージョン (acoustic full waveform inversion, FWI) を適用し、プレート境界浅部の詳細構造をイメージングする。
 本研究では、海洋研究開発機構の研究船「かいれい」KR19-07航海で取得された千島海溝の前弧域(水深200m)から海溝(水深7400m)を横切りアウターライズに至る全長208 kmの測線沿いにOBS 80台を約2 km間隔で設置して取得したデータに周波数領域の音響波FWIを適用した。FWIは、multiscale layer-stripping workflow (例えば、Górszczyk et al., 2017) に基づき、4種のオフセット範囲、4種の時間減衰、6種の周波数帯 (min=2.5 Hz, max=3.5–8.5 Hz, 1 Hz刻み) を用いて実施した。初期モデルには、初動走時トモグラフィにより得られたVpモデルを採用した。その結果、沈み込む海洋マントルに至る深さにわたり、水平方向3 km×鉛直方向1 km、RZ周辺は 1.5 km × 0.75 kmの高い空間分解能を持つモデルが得られた。
 FWIによって得られた上盤プレートの全体的な構造は、既往モデルと整合的でありつつ、浅部堆積層やfrontal wedge内部にはより短波長のVp不均質がイメージングされ、それらの特徴が反射法イメージング結果とよく一致した。また、RZ内部には複数の速度逆転が反射面に沿って分布することが初めて確認された。RZの成因としては、付加体堆積物の固化 (Jamali Hondori & Park, 2022)、構造侵食による地殻破砕 (von Huene et al., 1994)、下底付加 (Vannuchi et al., 2001)、あるいはそれらの複合作用が考えられる。さらに、RZ直下で海洋プレートの傾斜角が増加する様子 (東・他, JpGU 2025) から、陸側と下盤の地殻同士の衝突による寄与の大きさが推察される。沈み込み直後の海洋地殻上部では、圧密に伴うVp上昇(Azuma et al., 2025) が観測されており、そこで発生した流体やプレート間堆積物由来の流体が互層構造に浸透し、RZの強い反射性を生じさせた可能性がある。今後、得られたVpモデルをもとに間隙水圧分布を推定することで、有効応力を通じて規定されるプレート境界断層の力学的状態の理解につなげる。