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[S06-04]Detailed structural evolution due to plate bending-related faulting in the outer trench area of the Japan Trench

*Gou FUJIE1, Seiichi Miura1, Yuka Kaiho1, Ryo Miura1, Jin-Oh Park2, Yasuyuki Nakamura1 (1. JAMSTEC, 2. AORI)
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海洋プレートは海溝から大陸プレートの下に沈み込む直前に下方へ屈曲する。その際、プレート屈曲に起因する正断層(アウターライズ地震断層)が発達する。日本海溝、千島海溝、中米海溝、南米海溝、アラスカ海溝、アリューシャン海溝、トンガ海溝など、世界各地の沈み込み帯において過去20年余りの間に多数の地下構造調査が実施され、プレート屈曲域で海洋プレート内部の地震波速度が低下することが明らかになってきた。この地震波速度の低下は、正断層の発達に伴う破砕、ならびに海水の浸透や水和作用によって説明できると考えられている。特に水の浸透と水和作用は、海洋プレートが地球内部へ輸送する水量に大きく関与するため、その実態を定量的に把握することは島弧の発達や地球全体の水循環等を議論するためにも非常に重要である。
 アウターライズ地震断層の上端は海底面に達するため、その断層トレースは地塁地溝構造として海底地形上で明瞭に確認できる。海底地形データから読み取られるアウターライズ断層の間隔は数km〜15km程度で、累積変位を反映する断層の比高は数百メートルにも達する。すなわち、プレート屈曲に伴う歪みは数km〜15km間隔で分布する断層によって解消されており、海洋プレートの構造変質や水の浸透や水和作用も断層付近に集中していると考えるのが自然である。しかし、これまでに世界各地の海溝域で明らかになってきた地下構造(地震波速度構造)の空間解像度は断層間隔よりも遥かに粗く海溝付近の広域で地震波速度が低下することが分かっているのみであり、断層の発達に伴い地下でどのようなプロセスが進行しているのかについてはよく分かっていないのが実態である。
 この課題に対処するためには、各断層に対応付け可能な高解像度で地下構造をイメージングすることが求められる。その有効な手法として注目されるのが、人工震源地震探査データに対するフル波形インバージョン(Full Waveform Inversion; FWI)である。FWIは走時のみならず振幅や位相を含む観測データ全体を利用できるため、走時のみに依拠するトモグラフィーに比べて抽出可能な情報量が格段に多く、イメージング結果の空間分解能も大幅に向上すると期待される。ただし、FWIの適用には高密度な波動場観測が不可欠である。沈み込み帯における実データを用いた検討(藤江ほか、2025)によれば、約1 kmの解像度で地下構造を把握するためには、2 km以下の間隔で海底地震計(Ocean Bottom Seismometer; OBS)を設置して構造探査を実施する必要があることが示されている。そこで我々は、日本海溝を横断する測線において2 km間隔でOBSを設置した構造探査を実施し、日本海溝に沈み込む直前の太平洋プレートにおける構造進化の詳細を解明することを計画した。
 本調査を実施する上での主な課題は、日本海溝における極めて大きな水深であった。日本海溝は、水深7,500mに達する地点を含む、世界的にも特異な大水深海溝であり、例えば中部(宮城県沖)で海溝軸を横断する測線を設定した場合、6,000m以深の海域が60km以上にわたって連続する。このため、日本海溝中部を横切る測線に沿って2km間隔でOBSを設置し構造探査を実施するには、30台以上のOBSを6,000m以深に配備する必要がある。
 しかし、海洋研究開発機構が保有するOBSの大部分は耐圧性能が最大6,000mに制限されており、それを超える水深での設置が可能な超深海型OBSは約20台に限られている。この制約により、当機構が保有するOBSのみを用いて1回の調査で海溝軸全体を横断することは困難であった。そこで、本研究では調査を2回に分割して実施する戦略を採用した。ただし、新たに2回の調査を計画するのではなく、2015年に6km間隔でOBSを設置して実施された既存の構造探査を第1回調査と位置づけ、その後、既存OBSの間に2台ずつ追加設置することで2km間隔を実現する第2回調査を2024年に実施した。
 この結果、2015年および2024年に取得された探査データを統合することにより、2km間隔でOBSを設置した稠密な構造探査データを構築することに成功した。ただし、使用したOBSや調査船(エアガンアレイ)の世代が異なるため、両者は観測条件の異なる二つのデータセットとなった。しかし、波形インバージョン(FWI)の適用に際しては、震源波形(震源スペクトル)を各OBSごとに算出する手法を採用しており、解析上の問題は生じない。本講演では、FWIの予備的成果として得られた断層の海底面トレース(地塁地溝構造)と地下の地震波速度不均質性の対応関係に基づき、プレート屈曲に伴う構造進化プロセスの詳細について議論する。