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[S08-24]Sequence of the Noto Peninsula Earthquakes from 2007 to 2024 and beyond
*Mayuko Emori1, Ryosuke Ando1 (1. The University of Tokyo)
2024年1月1日に能登地方を震源としたMw7.5地震が発生した。余震分布は北東から南西方向に約150 kmにわたって広がっており(Yoshida et al., 2024, GRL)、震源は能登半島北岸断層帯で開始し、門前断層帯門前沖区間および富山トラフ西縁断層にまで破壊が伝播したと推定されている(Ando et al., 2025, EPS)。一方、2007年3月25日には、2024年能登半島地震の震源域の南西端付近に位置する能登半島北岸断層帯猿山沖区間において、横ずれ成分を伴う逆断層型のMw6.6の地震が発生した。この地震を引き起こした断層は北東-南西走向で南東方向に傾斜していると推定され、これは2007年能登半島地震発生前に推定されていた門前沖区間の特性と一致していた(Horikawa, 2008, EPS)。また、先行研究によれば、2007年能登半島地震の余震分布は半島内陸部にまで広がっているものの(Kato and Obara, 2014, GRL)、震源断層に対応する陸域の活断層は確認されておらず(Hiramatsu et al., 2008, EPS)、門前沖区間の東端についても確認できていない(地震本部, 2025)。本研究では、2007年の破壊が門前沖区間のみに沿って進展し、猿山沖区間には伝播しなかった要因を明らかにすることを目的とする。そのために、門前沖区間と猿山沖区間の分岐構造を含む非平面断層形状モデルを仮定し、FDP-BIEM(Ando, 2016, GJI)を用いた動的破壊シミュレーションを実施した。これまでの2次元モデルによる研究では、分岐断層上での破壊経路伝播は破壊伝播方向、初期応力場、分岐角、破壊伝播速度に依存することが示されている(例えば、Kame et al., 2003, JGR, Xu et al., 2015, Tectphys)。しかし、自然地震の実際の観測例を再現してこの理論を定量的に検証した研究は少ない。このような検証は、ハザード評価への応用を考慮したとき、動的破壊シミュレーションの破壊シナリオ予測性能を客観評価するためにも重要である。そこで、本研究では3次元分岐断層上での観測された破壊パターンを再現するために必要な物理条件を検討し、余震分布など独立した観測結果との比較によりモデルの妥当性を議論する。解析には、地震本部(2024)の断層トレースデータを基に、NPHFZから羽咋沖断層までの断層形状モデルを構築した。猿山沖区間の傾斜角および門前沖断層区間東端の位置を変化させた感度解析を行った。広域応力場は、応力独立6成分の内主応力軸方位と差応力比については、日本全国一律の応力テンソルインバージョン解析(Uchide et al., 2022, JGR)から得られた応力パラメタを三次スプライン関数で空間的に補間したモデルを用いた。これは、推定された門前沖領域の応力場が猿山沖区間以東の応力場とやや異なった傾向を示していることを反映させるためである。さらにAndo et al. (2025)の標準化手法に則り、鉛直応力は静水圧を差し引いた静岩圧を仮定し、鉛直応力比は門前沖区間での平均応力降下量が数MPaとなるように仮定した。震源核は2007年地震の観測を考慮して門前沖区間中央部に設定した。まず、断層面上の初期条件を定めるために動摩擦係数=0.35および静摩擦係数=0.2を仮定して、断層面上の初期せん断応力、法線応力を計算したところ、猿山沖区間の傾斜角が小さいほど、強度超過量が小さく、応力降下量が大きくなることが示された。次に、門前沖区間と猿山沖区間の接続形態を変えた二つの場合でシミュレーションを実行した。その結果、猿山沖区間が門前沖区間に滑らかに接続し屈曲を形成する場合、破壊は猿山沖区間へと伝播しやすくなった。一方で、猿山沖区間が門前沖区間から分岐する場合、傾斜角が十分に小さくない限り破壊は猿山沖断層区間には伝播しない。片方の分岐で破壊が生じた際に他方の分岐で破壊が伝播しないという結果は、ストレスシャドウ効果によって破壊が抑制されるという結果と整合的である。この結果は、門前沖区間と猿山沖区間の分岐断層形状が2007年地震における破壊過程を決定し、破壊が門前沖区間内に限定されたことを示唆する。推定された地震時のすべり分布および余震分布は、モデル化された分岐断層形状と整合的であると考えられる。また、猿山沖区間の断層傾斜角を変化させて感度解析を行ったところ、上記の初期条件にみられる傾向を反映して、ある傾斜角を超えると破壊が猿山沖区間に伝播しないという傾斜角の閾値があることがわかった。さらに、摩擦パラメタおよび広域応力パラメタに対する感度解析を行い、シミュレーションのロバストさを検討した。
