Presentation Information
[S08-26]Rupture velocity transition during the 2025 Mandalay earthquake in Myanmar
*Shiro HIRANO1, Ryosuke Doke1, Takuto Maeda1 (1. Hirosaki Univ.)
2025年3月28日にミャンマーで発生したマンダレー地震 (Mw 7.7) は, 南北に約 450 kmにわたって延びる右横ずれ断層の破壊であった. 震源から南に 246 km, 断層から 2.6 km 離れた GEOFON 観測点で明瞭な強震動波形が記録され (Lai et al., 2025, ESSD), この破壊が平均約 4.9 km/s の supershear で伝播したことが明らかになった. 遠地実体波インバージョンも, この地震における supershear 破壊を描き出している.
2025年5月11日, この地震時の地表断層破壊を捉えた動画がアップロードされた. 録画場所は震源から南に約 124 km, 正確な録画時間は不明である. 動画は, P波らしき微かな揺れ, S波らしき2秒間の強い地動に続き, 数メートルの右横ずれ滑りを示している. 動画解析により, この場所での滑り速度が, 最大 3−4.5 m/s に達する約2秒間のパルスであったことが明らかになっている. Latour et al. (2025, arXiv) は, 震源から録画場所まで破壊が supershear で伝播していた場合, 明瞭なS波は発生しないため, 破壊は録画場所に到達する前に subshear に減速した可能性があると示唆している.
これら GEOFON 記録や動画映像などに基づいて, 我々は破壊が減速した地点を絞り込むことに成功した. そこで本研究では断層直交方向の地表加速度に焦点を当て, supershear で破壊した後に subshear へと減速し, 再び supershear に加速する破壊伝播を仮定して運動学的破壊シミュレーションを実施した. さらに, 我々の結果を衛星画像からの地表滑り分布と比較することで, 破壊の減速地点と滑り分布の対応関係を確認した.
地表の加速度計算には, 300 kmの鉛直な右横ずれ断層に沿った2秒間の滑りパルスを仮定し, 2D境界要素法と3D有限差分法を用いた. 映像では, 断層に垂直な方向にスライドできる車輪付きの門が, S波の到来後に大きく動いている. もしパルス伝播速度が一定の supershear (約 4.9 km/s) ならば, 破壊到来前に予測される地表加速度は, 門の加速度の方向と定性的に一致しない. 対照的に, 破壊速度が震源から約 65 km の地点で 6.0 km/s から 3.1 km/s に減速したと仮定すると, 我々は門の動きを定性的に説明することができた (詳細は Web リンク: Hirano et al., 2025, Seismica).
次に, 衛星画像解析を用いて地表断層の滑り分布を計算した. Sentinel-2 の地震前後の画像にピクセルオフセット法を適用することで, 80 m 解像度の地表変位分布を得た. その後, 断層トレースに沿う変位の, 断層両側での差を計算した. 結果, 地表断層滑りは震源付近で約 6 m に達したが, 震源から南に 40−60 km 地点では 2−3 m に減少したことが示された. さらに南では, 滑り量は平均約 4 m に増加した. これは, 破壊が最初に supershear で伝播し, 最小滑りの領域を通過した直後, 一時的に subshear に減速したことを示唆している (詳細同上).
地表加速度の計算に用いられた上記の決定論的モデルは, 破壊到来前の地動を再現することに成功した. 加えてこのモデルは破壊中に反対方向への2番目の加速度パルスを予測するが, これを動画解析から推定することは困難である. パルスが過度に単純化されていることを考慮し, 我々は震源から動画の撮影地点までの滑りパルスが確率論的な摂動を含むと仮定した. その結果, 2番目のパルスは著しく摂動を受ける一方, 門の動きを引き起こした最初のパルスはほとんど変化しないことが示された. したがって, 最初のパルスは減速を伴う我々の破壊シナリオによって生成されるが, 2番目のパルスはロバストに再現されないと結論付けられる.
2025年5月11日, この地震時の地表断層破壊を捉えた動画がアップロードされた. 録画場所は震源から南に約 124 km, 正確な録画時間は不明である. 動画は, P波らしき微かな揺れ, S波らしき2秒間の強い地動に続き, 数メートルの右横ずれ滑りを示している. 動画解析により, この場所での滑り速度が, 最大 3−4.5 m/s に達する約2秒間のパルスであったことが明らかになっている. Latour et al. (2025, arXiv) は, 震源から録画場所まで破壊が supershear で伝播していた場合, 明瞭なS波は発生しないため, 破壊は録画場所に到達する前に subshear に減速した可能性があると示唆している.
これら GEOFON 記録や動画映像などに基づいて, 我々は破壊が減速した地点を絞り込むことに成功した. そこで本研究では断層直交方向の地表加速度に焦点を当て, supershear で破壊した後に subshear へと減速し, 再び supershear に加速する破壊伝播を仮定して運動学的破壊シミュレーションを実施した. さらに, 我々の結果を衛星画像からの地表滑り分布と比較することで, 破壊の減速地点と滑り分布の対応関係を確認した.
地表の加速度計算には, 300 kmの鉛直な右横ずれ断層に沿った2秒間の滑りパルスを仮定し, 2D境界要素法と3D有限差分法を用いた. 映像では, 断層に垂直な方向にスライドできる車輪付きの門が, S波の到来後に大きく動いている. もしパルス伝播速度が一定の supershear (約 4.9 km/s) ならば, 破壊到来前に予測される地表加速度は, 門の加速度の方向と定性的に一致しない. 対照的に, 破壊速度が震源から約 65 km の地点で 6.0 km/s から 3.1 km/s に減速したと仮定すると, 我々は門の動きを定性的に説明することができた (詳細は Web リンク: Hirano et al., 2025, Seismica).
次に, 衛星画像解析を用いて地表断層の滑り分布を計算した. Sentinel-2 の地震前後の画像にピクセルオフセット法を適用することで, 80 m 解像度の地表変位分布を得た. その後, 断層トレースに沿う変位の, 断層両側での差を計算した. 結果, 地表断層滑りは震源付近で約 6 m に達したが, 震源から南に 40−60 km 地点では 2−3 m に減少したことが示された. さらに南では, 滑り量は平均約 4 m に増加した. これは, 破壊が最初に supershear で伝播し, 最小滑りの領域を通過した直後, 一時的に subshear に減速したことを示唆している (詳細同上).
地表加速度の計算に用いられた上記の決定論的モデルは, 破壊到来前の地動を再現することに成功した. 加えてこのモデルは破壊中に反対方向への2番目の加速度パルスを予測するが, これを動画解析から推定することは困難である. パルスが過度に単純化されていることを考慮し, 我々は震源から動画の撮影地点までの滑りパルスが確率論的な摂動を含むと仮定した. その結果, 2番目のパルスは著しく摂動を受ける一方, 門の動きを引き起こした最初のパルスはほとんど変化しないことが示された. したがって, 最初のパルスは減速を伴う我々の破壊シナリオによって生成されるが, 2番目のパルスはロバストに再現されないと結論付けられる.
