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[S08-27]Estimation of a Source Process Generating the Peculiar Teleseismic P-waves of the 2025 Myanmar Earthquake

*Naohiro Inoue1, Yuji Yagi1, Ryo Okuwaki1, Ryo Yamaguchi1, Bogdan Enescu2, Tira Tadapansawut3 (1. Univ. Tsukuba, 2. Kyoto Univ., 3. RMUTL)
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2025年3月28日、ミャンマー中部において、モーメントマグニチュード (MW) 7.7の地震が発生した。ミャンマー中部では、右横ずれ断層であるザガイン断層が南北におよそ1200 kmにわたって存在しており、アメリカ地質調査所 (USGS) により特定された本震後3日間の余震はザガイン断層にそっておよそ北緯19–23°の範囲に分布する。そのため、この地震ではザガイン断層に沿った南北400–500 kmにわたる範囲を破壊が伝播したと考えられており、その範囲には北緯19.2°から21.5°付近にかけての地震空白帯とされてきた領域も含まれる。Global Centroid Moment Tensor (GCMT) projectにより推定されたこの地震のCMT解は、南北方向の節面が走向353°かつ傾斜60°と東側に傾斜した右横ずれ型のメカニズムを示す。
震源を取り囲むように存在する遠地の地震波観測点のうち、震源より北側に位置する観測点では、P波が到達した時刻から20秒後に振幅が顕著に大きなパルス状の波が観測されている。一方で、震源より南側に位置する観測点では同程度の振幅を持つ複数のピークが数十秒にわたって現れる特徴を持つ。余震分布や地表破壊は、同地震の破壊領域が震源より南方に長く存在することを示し、地震時の破壊伝播の方向は主に南方向であると考えられる。このように、想定される破壊伝播の方向とは逆方向に振幅の大きいパルス状の波形を示す、特異な遠地P波形の特徴を説明することは、1方向に破壊が伝播する単純な震源過程モデルでは困難である可能性がある。したがって、2025年ミャンマー地震の地震波形解析のためには震源メカニズムや破壊の伝播速度、伝播方向の変化を許容する高自由度なモデリングが可能な解析手法が必要であることが示唆される。
近年開発されたポテンシー密度テンソルインバージョン (PDTI) 法は、断層すべりを仮定したモデル面上におけるポテンシーレート密度テンソルの時空間分布によって表現する手法である。ポテンシーレート密度テンソルは5つの基底ダブルカップル成分の重ね合わせによって表現されるため、断層形状の事前仮定を必要としない高自由度な震源過程モデリングを実現している。解析に使用するデータは、震央距離30°–90°の範囲に位置する58観測点で記録された遠地P波形の鉛直成分をSAGE Wilber 3システムよりダウンロードして用いた。得られた観測波形は速度波形に変換して使用し、速度波形のサンプリング間隔は0.7秒とする。震源域の速度構造はak135-Fの1次元速度構造モデルを用いた。モデル平面の長さは余震分布と地表破壊の広がりを踏まえ468 kmとし、幅は36 kmと設定した。震央位置はUSGSにより決定されたものを用い、震源の深さは18 kmと設定した。
得られたポテンシーレート密度テンソルを時空間積分して得られるモーメントテンソル解は走向355°かつ傾斜79°の節面を持つ右横ずれ型を示し、地震モーメントは1.3×1021 Nm (MW 8.0)と計算される。ポテンシーレート密度テンソルの時間積分で得られるポテンシー密度テンソルの分布は南北方向に約450 km広がり、震源より南におよそ10 kmと110 km地点にピークを持つ。震源で開始した破壊は、はじめ断層浅部へと伝播し、震源時間 (origin time; OT) から6秒後には地表に到達した。その後、OT+8秒からは南北の2方向に非対称的に伝播を開始し、南側への破壊はOT+16秒に震源より南75 kmまで到達する。一方、北側への破壊は主に震源より浅い領域を伝播し、OT+20秒に震源より北65 kmまで到達した。OT+24秒から、震源より南120 kmの地点で再び南北の2方向への非対称な破壊伝播が始まり、OT+60秒までに震源より南60–220 kmの範囲を破壊する。OT+60秒以降も震源より200 km以上南の領域で非対称的なバイラテラル破壊が生じた。以上の震源過程モデルから計算される理論波形は、特異な方位依存性を持つ遠地P波形をよく説明する。
PDTI法によって得られた2025年ミャンマー地震の震源過程は、複数の非対称なバイラテラル破壊を含む複雑な破壊進展をもつことがわかった。ポテンシー密度テンソルから得られた走向は、北から南にかけて6°(366°)から352°へと反時計回りに回転する結果が得られた。同様に得られた傾斜もまた、震源付近では60–70°に対し震源より南110km付近では80°以上となり、ザガイン断層の形状が走向方向に不均質であることを示唆する。