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[S08-29]Comprehensive estimation of radiated energy for deep low-frequency earthquakes in Japan

*Masaki Orimo1, Keisuke Yoshida1 (1. Tohoku University)
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深部低周波地震 (DLF)とは通常地震と顕著に異なる特徴を持つ地震群である (e.g., Hasegawa & Yamamoto, 1994; Shelly et al., 2006; Ukawa & Ohtake, 1987). 同規模の通常地震に比べて地震波の卓越周波数が低く, 主に火山直下のモホ面付近やプレート境界深部など通常地震と異なる場所で観測される (e.g., Aso et al., 2013; Hasegawa & Yamamoto, 1994; Rogers & Dragert, 2003).
通常地震については,震源パラメータに基づいた地震波放射過程の定量化が多くの研究により行われてきた (e.g., Abercrombie, 1995; Orimo et al., 2025; Shearer et al., 2006; Yoshida et al., 2017). 地震波放射エネルギー (ER) を地震モーメント (M0) で規格化した規格化エネルギー (eR) に着目すると, 通常地震のその典型的範囲は 10-5 から 10-4 である (e.g., Abercrombie, 1995; Ide & Beroza, 2001; Kanamori et al., 1993; Yoshida & Kanamori, 2023). しかしながら, DLF については, eR の系統的な推定が行われていないため, その範囲や特徴が十分よくわかっていない. 本研究では,日本国内で発生した DLFおよび比較対象とした通常地震の eR を網羅的に推定することにより,DLF の地震波放射過程への理解を進展させることを目的とする
各地震の観測地震波形を用いて通常地震 (2.0<Mjma<3.0) と DLF (Mjma>0) の eR を推定する (Orimo et al., 2025; Takahashi et al., 2005; Yoshida et al., 2017). 初めに, 地震波の後続波を使用するコーダ規格化法 (Aki, 1980; Aki & Chouet, 1975) に基づき,サイト特性と地震波減衰 Q-1 を推定した. 次に, 観測スペクトルからサイト特性と非弾性減衰 Q-1 の影響を取り除くことにより震源スペクトルを推定した. 最後に震源スペクトルを用いて各地震の ER と M0 を推定することにより eR を推定した.
解析対象とした各地域において, 400~6000個の通常地震の eRと 20~1000個の DLF の eR を推定することができた. 得られた通常地震の eR は 10-5 ~ 10-4 の範囲に分布しており, 先行研究 (e.g., Abercrombie, 1995; Ide & Beroza, 2001; Kanamori et al., 1993; Yoshida & Kanamori, 2023) の推定値とよく似ていた. 一方,DLF の eR は,およそ場所によらず 10-7 のオーダーであり, 通常地震のそれより系統的に 2 から 3 桁小さかった. この結果は, 2008 年岩手・宮城内陸地震震源域における DLF の eR を推定した Orimo et al. (2025) の結果と同様であった.
eR の系統的差異を通常地震震源域と DLF 震源域の Q-1 の違いで説明することは困難だった. 加えて,DLF 直下のスラブ内地震やDLF に隣接して発生した通常地震の eR は,典型的範囲である 10-5 ~ 10-4 の範囲に分布していた. これらの結果は, 得られた通常地震と DLF の eR の系統的違いが,地震波減衰 Q-1 の考慮の不足による見かけの特徴ではなく,実際の震源過程の違いを反映していることを示唆している.
火山直下とプレート境界深部で発生した DLF の eR はどちらも概ね 10-7 のオーダーであった. プレート境界の DLF は主にプレート境界の剪断破壊により発生する (e.g., Ide et al., 2007; Shelly et al., 2006, 2007). 一方, 火山直下の DLF の場合, 剪断破壊に加えてマグマや流体に関連した非剪断破壊がその発生に関与していると考えられている (e.g., Aki et al., 1977; Aso & Tsai, 2014; Ikegaya & Yamamoto, 2021). 得られた結果は, 破壊過程は異なるが, 両者の地震波放射過程に共通点があることを示唆している.
本研究で得られた結果は, DLF の eR の典型値が 10-7 であることを示唆する. eR が応力降下量 (Δσ) や放射効率 (η) と相関することに基づくと (e.g., Kanamori & Brodsky, 2004; Rivera & Kanamori, 2005), eR の系統的違いは, DLF の Δσ や η が通常地震のそれよりも最大で 2 ~ 3 桁小さいことを示唆する.