Presentation Information
[S09-03]Natural time analysis and statistical significance of seismic activity prior to the 2003 Tokachi-oki earthquake
*Kei KATSUMATA1 (1. Institute of Seismology and Volcanology, Faculty of Science, Hokkaido University)
はじめに
Varotsos et al. (2010)は地震活動のNatural time 解析を開発した.Natural time解析では地震の発生順とエネルギーを用いて,Varotsos et al. (2010)の式(3)で定義されるκ1値を計算する.κ1=0.07に達すると間もなくして本震が発生するというのが彼らの主張である.本研究では2003年9月26日に発生した十勝沖地震(M8.0)前の地震活動にNatural time解析を適用し,彼らの主張と調和的な結果が得られるか検証した.またETASモデル(Zhuang et al. 2005)によって合成地震カタログを生成し,観測されたκ1値の統計的有意性を議論する.
手法
κ1の計算には,Sarlis et al. (2013)の手法を用いた.まず,地震カタログから W (≥100) 個の連続する地震を選択する.次にn番目から(n + 5)番目の地震(n = 1, 2,...,W-5)からなるサブカタログを作成し,それぞれのκ1を計算する.信頼性の高いκ1を得るには,少なくとも6個の地震が必要である.7個,8個,...,W個からなるサブカタログに対して同じプロセスを繰り返す.次にこのようにして得られた(W−4)(W−5)/2個のκ1値の平均μを計算し,このW (≥ 100)個の地震におけるκ1であると定義する.このκ1値を(W + 1)番目の地震に割り当てる.κ1値の時間変化は,W個の地震を1地震ずつスライドさせることで計算する.Varotsos et al. (2010)の式(3)の計算には規格化エネルギー q が必要であるが,経験式 logE = 1.5M + 4.8 (Gutenberg and Richter, 1956)を用いてMから地震のエネルギー E [J] を計算した.
データ
気象庁一元化震源カタログを使用した.1993年1月1日から2003年9月26日の本震前までに発生したM3.8以上の地震の内,震央が北緯42.0度,東経143.9度を中心に半径150 km以内で深さ100 km以浅の地震を選択した.選択された地震数は427個である.
結果
W=100個として,1993年1月10日から2003年9月23日までのκ1の時系列329個を得た.この内κ1=0.07以上の値は,1995年10月30日から1995年12月3日までの5個と2003年6月24日から2003年7月20日までの10個であった.
統計的有意性について
気象庁一元化震源データから震央が北緯40-44度,東経141-147度の範囲にあり,深さ100 km以浅,M3.8以上の地震を選択した.これらの地震を用いて,Zhuang et al. (2005)の手法により8個のETASパラメータを決定した.決定されたパラメータを仮定し合成地震カタログを100個生成した.生成された地震カタログに対して,実データと同じ計算を行い,1カタログ当たり平均580.4個のκ1の時系列を得た.κ1=0.07以上の値は,1カタログ当たり平均15.4個,15.4/580.4=2.7%であった.実データでは15個,15/329=4.6%であった.κ1の時系列が定常ポアソン分布だと仮定すると,平均15.4回観測される事象が偶然15回観測される確率Pは,P=0.102である.この確率は十分に小さいとは言えないので偶然の可能性は否定できない.
Varotsos et al., (2010) Natural-time analysis of critical phenomena: The case of seismicity, EPL, 92. doi: 10.1209/0295-5075/92/29002
Sarlis et al. (2013) Minimum of the order parameter fluctuations of seismicity before major earthquakes in Japan, PNAS 110(34), 13734-13738.
Varotsos et al. (2010)は地震活動のNatural time 解析を開発した.Natural time解析では地震の発生順とエネルギーを用いて,Varotsos et al. (2010)の式(3)で定義されるκ1値を計算する.κ1=0.07に達すると間もなくして本震が発生するというのが彼らの主張である.本研究では2003年9月26日に発生した十勝沖地震(M8.0)前の地震活動にNatural time解析を適用し,彼らの主張と調和的な結果が得られるか検証した.またETASモデル(Zhuang et al. 2005)によって合成地震カタログを生成し,観測されたκ1値の統計的有意性を議論する.
手法
κ1の計算には,Sarlis et al. (2013)の手法を用いた.まず,地震カタログから W (≥100) 個の連続する地震を選択する.次にn番目から(n + 5)番目の地震(n = 1, 2,...,W-5)からなるサブカタログを作成し,それぞれのκ1を計算する.信頼性の高いκ1を得るには,少なくとも6個の地震が必要である.7個,8個,...,W個からなるサブカタログに対して同じプロセスを繰り返す.次にこのようにして得られた(W−4)(W−5)/2個のκ1値の平均μを計算し,このW (≥ 100)個の地震におけるκ1であると定義する.このκ1値を(W + 1)番目の地震に割り当てる.κ1値の時間変化は,W個の地震を1地震ずつスライドさせることで計算する.Varotsos et al. (2010)の式(3)の計算には規格化エネルギー q が必要であるが,経験式 logE = 1.5M + 4.8 (Gutenberg and Richter, 1956)を用いてMから地震のエネルギー E [J] を計算した.
データ
気象庁一元化震源カタログを使用した.1993年1月1日から2003年9月26日の本震前までに発生したM3.8以上の地震の内,震央が北緯42.0度,東経143.9度を中心に半径150 km以内で深さ100 km以浅の地震を選択した.選択された地震数は427個である.
結果
W=100個として,1993年1月10日から2003年9月23日までのκ1の時系列329個を得た.この内κ1=0.07以上の値は,1995年10月30日から1995年12月3日までの5個と2003年6月24日から2003年7月20日までの10個であった.
統計的有意性について
気象庁一元化震源データから震央が北緯40-44度,東経141-147度の範囲にあり,深さ100 km以浅,M3.8以上の地震を選択した.これらの地震を用いて,Zhuang et al. (2005)の手法により8個のETASパラメータを決定した.決定されたパラメータを仮定し合成地震カタログを100個生成した.生成された地震カタログに対して,実データと同じ計算を行い,1カタログ当たり平均580.4個のκ1の時系列を得た.κ1=0.07以上の値は,1カタログ当たり平均15.4個,15.4/580.4=2.7%であった.実データでは15個,15/329=4.6%であった.κ1の時系列が定常ポアソン分布だと仮定すると,平均15.4回観測される事象が偶然15回観測される確率Pは,P=0.102である.この確率は十分に小さいとは言えないので偶然の可能性は否定できない.
Varotsos et al., (2010) Natural-time analysis of critical phenomena: The case of seismicity, EPL, 92. doi: 10.1209/0295-5075/92/29002
Sarlis et al. (2013) Minimum of the order parameter fluctuations of seismicity before major earthquakes in Japan, PNAS 110(34), 13734-13738.
