Presentation Information
[S09-06]Shear strain energy changes and seismic moment release of the 2016 Kumamoto earthquakes sequence
*Tomotake UENO1, Tatsuhiko Saito1, Sachiko Tanaka1, Angela Meneses-Gutierrez1 (1. NIED)
被害を及ぼす規模の大地震が内陸部で発生すると、その震源域および周辺で地震活動が活発化することが広く知られている。この活動は、本震によってクーロン応力変化が増大した領域で顕著となることが多い(e.g., King et al., 1994)。しかし、大地震後の地震活動が必ずしもクーロン応力変化の増大域に限られるわけではない。また,余震活動の特徴は、大森則(Omori, 1895)に基づいた経験則(例えば,宇津, 1957)、地震発生の累積レート、あるいはグーテンベルク–リヒター則(Gutenberg and Richter, 1944)などで評価されることが多い。しかし、これらの指標は地震活動の規模の扱いが曖昧であり、その物理的背景も十分には解明されていない。地震を引き起こす主な原動力は弾性リソスフェア内のせん断応力であり、その大きさは地震によって解放されるせん断ひずみエネルギーと密接に関係する。複数の地震が発生する余震活動の場合でも、それぞれの地震によって変化した応力を積算することで、せん断ひずみエネルギー変化を推定でき、これを活動規模の指標とみなすことが可能である。そこで本研究では、地震活動の規模推定の一例として、2016年熊本地震を対象に余震活動に伴うせん断ひずみエネルギーを推定した。比較のため、各余震の地震モーメントおよび余震全体の総地震モーメントも算出した。
せん断歪エネルギー変化を求めるには、断層運動による応力変化だけでなく、背景応力場の影響も考慮する必要がある。本研究では、先行研究を参考に、最大主応力軸をおおよそ東西方向、最小主応力軸をおおよそ南北方向と設定し、応力比を0.5、差応力を100 MPaと仮定して計算を行った。本震および最大前震の断層モデルは、地殻変動データから推定されたモデル(Kato et al., 2016)を用いた。余震については、F-netモーメントテンソルカタログを基に経験式で断層モデルを推定した。解析対象は、最大前震後の余震24個と、本震後の余震240個である。
推定の結果、最大前震(Mw 6.1)のせん断歪エネルギー変化は約−1015 J、本震(Mw 7.1)は約−1016 Jであった。Mw3.5からMw6.0未満の余震はそれぞれ約−1012〜−1014 Jの範囲であり、最大前震後28時間と本震後7年間の総せん断歪エネルギー変化は、いずれも約−1015 Jであった。これらは、本震のエネルギー解放量よりも1桁小さい値である。最大前震とその余震のせん断歪エネルギー変化はほぼ同程度で、その比率は約110%であった。一方、本震に対するその余震の比率は約10%にとどまった。前震活動では、最大前震の数時間後に近接して発生したMw 6.0の地震の影響が大きかった。地震モーメントでは、最大前震が約1018 Nm、本震が約1019 Nmであり、最大前震後および本震後の余震の総地震モーメントはいずれも約1018 Nmであった。最大前震とその余震の比率は約52%、本震とその余震の比率は約4%であった。せん断歪エネルギー変化と地震モーメントはいずれも本震が1桁大きい結果となったが、余震との比率は異なっていた。このことは、せん断歪エネルギー変化と地震モーメントは必ずしも比例しないことを示している。
この不一致の要因として、当該余震の断層走向やすべり角が本震断層とやや異なっていたことが挙げられる。そのため、設定した背景応力場に対するせん断方向の整合性が低くなり、地震モーメントに比べてせん断歪エネルギーの解放が小さくなったと考えられる。理解を深めるため、同じ背景応力場のもと、以下の2つの条件で比較計算を行った。1.位置のみ異なる5枚の同一幾何をもつ断層が活動した場合2.条件1と同じ断層位置・形状・すべり量だが、走向と傾斜をランダムに変化させた場合2つの条件ともに、すべり方向は最大せん断応力の方向とする.この結果、地震モーメントは同じでも、せん断歪エネルギー解放量は条件1の方が大きくなる。これらのことは、地震は地殻内に蓄積された弾性エネルギーの解放現象と捉える場合、背景応力の影響を考慮したせん断歪エネルギー変化の評価が重要であることを示している。
せん断歪エネルギー変化を求めるには、断層運動による応力変化だけでなく、背景応力場の影響も考慮する必要がある。本研究では、先行研究を参考に、最大主応力軸をおおよそ東西方向、最小主応力軸をおおよそ南北方向と設定し、応力比を0.5、差応力を100 MPaと仮定して計算を行った。本震および最大前震の断層モデルは、地殻変動データから推定されたモデル(Kato et al., 2016)を用いた。余震については、F-netモーメントテンソルカタログを基に経験式で断層モデルを推定した。解析対象は、最大前震後の余震24個と、本震後の余震240個である。
推定の結果、最大前震(Mw 6.1)のせん断歪エネルギー変化は約−1015 J、本震(Mw 7.1)は約−1016 Jであった。Mw3.5からMw6.0未満の余震はそれぞれ約−1012〜−1014 Jの範囲であり、最大前震後28時間と本震後7年間の総せん断歪エネルギー変化は、いずれも約−1015 Jであった。これらは、本震のエネルギー解放量よりも1桁小さい値である。最大前震とその余震のせん断歪エネルギー変化はほぼ同程度で、その比率は約110%であった。一方、本震に対するその余震の比率は約10%にとどまった。前震活動では、最大前震の数時間後に近接して発生したMw 6.0の地震の影響が大きかった。地震モーメントでは、最大前震が約1018 Nm、本震が約1019 Nmであり、最大前震後および本震後の余震の総地震モーメントはいずれも約1018 Nmであった。最大前震とその余震の比率は約52%、本震とその余震の比率は約4%であった。せん断歪エネルギー変化と地震モーメントはいずれも本震が1桁大きい結果となったが、余震との比率は異なっていた。このことは、せん断歪エネルギー変化と地震モーメントは必ずしも比例しないことを示している。
この不一致の要因として、当該余震の断層走向やすべり角が本震断層とやや異なっていたことが挙げられる。そのため、設定した背景応力場に対するせん断方向の整合性が低くなり、地震モーメントに比べてせん断歪エネルギーの解放が小さくなったと考えられる。理解を深めるため、同じ背景応力場のもと、以下の2つの条件で比較計算を行った。1.位置のみ異なる5枚の同一幾何をもつ断層が活動した場合2.条件1と同じ断層位置・形状・すべり量だが、走向と傾斜をランダムに変化させた場合2つの条件ともに、すべり方向は最大せん断応力の方向とする.この結果、地震モーメントは同じでも、せん断歪エネルギー解放量は条件1の方が大きくなる。これらのことは、地震は地殻内に蓄積された弾性エネルギーの解放現象と捉える場合、背景応力の影響を考慮したせん断歪エネルギー変化の評価が重要であることを示している。
